Low Magic Age ルール関連
(2022.09.10)
※ゲーム全体の概要は
こちら
※クラス情報の概要は
こちら
ここでは主にキャラデータや戦闘などのd20システム部分について、未経験者向けにd20の元ルールの基本情報と、経験者(およびd20を調べたプレイヤー)向けに例によって実装の差異(大半は実装不十分のシテオク感)、他の3.Xe系ゲーム(PnPのSRDの元ルールや、NWN1/2, ToEE, IWD2など)との差異などについて述べる。
LMAはゲームシステム部分・3.Xe d20の再現部分が(アドベンチャーの仕掛け部分以上に)アップデートが激しいので、以下の情報はアップデートに伴って無用になるかもしれない。
〇d20システム情報
・高ECL種族
2021年半ばのアップデートで大量に種族・サブ種族が追加され、LMAではなぜか同じ種族のWG世界版とFR世界版と両方が入っているなど、選択できる種族が多くなっている。その中には、3.Xeの元ルールでいう「レベル調整値(LA)」や「種族ヒットダイス(HD)」を有する強力な種族もいる。レベル調整値自体何だかわからないという3.Xe未経験者にはNWN2のキャラメイク記事にも書いたが、要は特殊能力や能力値が多いかわりに成長がLAレベル分遅れる(例えばLA+1の種族は、人間等が5lvになる経験値の時点では4lvとなる)種族である。種族ヒットダイスは巨大なモンスター等を種族として見た場合、身体能力によって後天的クラスと同様のlv(HD)を生来で持っているもので、LAと同様にレベルが調整される。
例えば、トロールのようにLA+5、種族HD6のキャラは、Ftr1lvで作成すると、クラスレベルの箇所には「巨人6lv/Ftr1lv」、その上段のキャラクターlvの箇所には「Lv7+5」と表示される。巨人種族によって6のlv、Ftrで1lvを持つ7lvキャラクターだが、さらに特殊能力によって+5のLAがあり、作成直後の時点で合計で12lv「相当」、実効キャラクターレベル(ECL)=12のキャラということである。(なお、このECLはこれ以上の成長時の必要経験値に関しては12lv相当という意味で、何レベルの人間/パーティーの強さに相当するといった脅威度(CR)とはまた別である。)ちなみにLMAでは、モンスターHDを持っている者はレベルアップ時にモンスターのHDを上げる(例えばトロールでは、巨人を7lv以上に上げる)こともできるが、通常は各クラスの方が有効なのであまり意味はない。
LMAではキャラメイク直後は1lvではなく、ECLのlvという扱いになっている。つまり、LA+1の種族はキャラメイク直後から「2lvキャラ」であり、最初から1000xpを持つ。(一方でNWN2などでは、LA値があるキャラであってもキャラクターlvはあくまでクラス合算分、作成直後は必ず1lvの0xpで、かわりに2lvになるのが非常に遅れる、つまり0xpから(LA+2)lv相当まで蓄積することが必要になっていたのでLMAとは異なる。)
その結果どうなるかというと、アリーナでは、パーティー全員の経験値が一括管理されているので(正確には、雇用した直後のキャラは、現在いる他メンバーの経験値と同じになる。代替スロットに一時預けてあるキャラはその限りでない)、開始時の「1lvパーティー」には2lv相当以上のキャラは参加することができず、強力な種族は作成しても使えない、という事態に陥る。当初はかわりのキャラを使用して2lv以上にパーティーの経験を上げてから、ということになるのだが、かなり微妙である。アリーナでは、強力な異種族混成パーティーを作ろうと思ったら開始時はほとんど別メンバーのパーティーでレベル上げが必要、などという事態になる。
一方、アドベンチャーでは前述したように、「冒険者ギルド」->「冒険者の採用」から、ストック1lvキャラを加入させたりその時キャラを作って雇うことができるのだが、採用させられるキャラのlv(ECL)はその時のパーティーキャラらのレベルに依存して上限がある。また、採用にはlvに応じて結構な金額がかかるので、上記高lv相当キャラの採用も一筋縄ではいかない。とはいえ、アドベンチャーの方はlv混成パーティーもありえるように(xpがキャラごとに)管理されているので、どちらかというと高ECL種族を使用するならばこちらではある。
なお、オプション(ハウスルール)でLAや種族ヒットダイスに関する設定を行う(これらを外すことができるが、敵がボーナスを得る)ことができる。
・マルチクラス
LMAでもマルチクラスには3.Xeデフォルトと同様、種族の適性クラスと、それに応じたマルチクラスペナルティーのルールがある(5版系やPfとは異なる)。
3.Xeのマルチクラスの概要は
NWN2ページで述べているが、NWN1/2で実装されていないシステム(ペナルティー)が適用されているもの、さらにはそれがオプションやハウスルールでon/offできるようなシステムも多いため、オプションやゲーム内wikiを確認する必要がある。例えばオプション(ハウスルール)で、マルチクラスペナルティー自体を外す(Pfなどの一部d20と同様)こともできるが、やはり敵が強くなる(ボーナスを得る)のでそれにメリットがあるのかは一考が必要である。
MnkやPalを入れたマルチクラスのうち、Mnk/Pal以外を一度上げると、Mnk/Palをそれ以上上げられなくなるといった3.XeデフォルトルールがLMAでは実装されている。(これらは、例えばNWN1/2では全く再現されておらず、IWD2など部分的な再現(ミストラのPalだけはWizと自由にマルチクラスできるが、その組み合わせ自体があまり意味がないなど)の場合もあった。また、うっかりMnk/Pal以外を上げてしまったが、またMnk/Palを上げたいという場合は、tips項目(概要ページ、本記事冒頭からリンク)で述べる裏技もある。なお、0.91.57から後のバージョンでは、ex-class restrictionの有無をハウスルール設定で調整することもでき、敵が強くなるなどのペナルティは特にない。
・武器特技
特技の効果にもSRDや他の3.Xeゲームとは多くの相違があるが、武器熟練・開眼系、クリティカル強化系の特技などは、特技一つで全ての習熟済の武器に適用される。
3.Xeでは、ダメージ減少克服等で多彩な武器を必要とすることが多いが、貴重な特技でひとつの武器種類しか伸ばせないとなると、結局は特定の武器ばかり使う・伸ばすといった事態になる場合もある。それに対して、全てについて伸びるというこの実装の方が、様々な武器を使うことができ、またランダムアイテムへの依存が大きく、色々な種類の武器が出るというLMAへの実情には合っているといえる。他方、クリティカル関連はともかく、開眼系はLMAでは他の要素のダメージへの修正が大きすぎるので効果はいまひとつかもしれない。また、序盤ならともかく高lv、特にアリーナでは際限なくレベルが上がるので、結局特技枠は有り余ってしまう事態になりやすい。
一方で、《特殊武器習熟》は(この特技ひとつでバスタードソードからダブルソードまで全く違う武器を全部修得してしまうNWN1/2とは異なり)LMAでは武器ごとに個々に分かれており、一つずつ修得しなくてはならない。
・強化アイテム関連
ブレイサーズ・オブ・アーマー(ファイナルファンタジーで言う「鎧スロット」の「うでわ」)は、元ルールではWiz/SorやMnkなど鎧を着られないキャラがACを補強する手段である。が、LMAではWiz/Sorと異なり、Mnkは鎧を着ない状況でこれらのブレイサーを着用してもACが累積されず良くならない。これは巷のLMAに関する話題では、「バグ」「ルール実装不足」「未完成」などと流布されているが、実は
旧バージョンでは累積されていたが、あるバージョンから意図的にMnkはブレイサーのACが累積されなくなったという大変にえんがちょな経緯がある。より正確には、v0.91.39以降は、ブレイサーズ・オブ・アーマー(他のガントレットは特に関係ない)を装備すると、MnkのACボーナス(クラスlvの1/5およびWisボーナスが加算)が機能しなくなり、よほど強力なブレイサーでない限り装備するとかえってACが悪化する。秘術用ローブも同様にMnkのACボーナスが機能しなくなる。特にレベル限界のないアリーナでは、Mnkに無理矢理秘術系を1lvだけマルチクラスして術者用ローブを着るという技も最初期LMAにはあったが、それも使えなくなっている(Mnk以外のクラスにはデメリットがなく、秘術系呪文など他の利点もあるので、今でもクラスによっては選択される)。
元々NWN1/2などの他のd20ゲームの30-40lvなどのエピック域でも、マジックリッチな環境だとMnkが重戦士よりも遥かにACが良くなるという状況が見られたが(これは元々「重鎧」と「敏捷」による防御効果を区別できないというD&D系のACシステムの宿命である)ことにLMAでは特にアリーナモードでアイテムのボーナスに上限がないので、Mnkのアーマークラスが超高lvではバクレツするという状況が発生していたためだと思われる(そもそも、LMAのアリーナではtierが上がると能力値がどんどん上がっていき、Dexが上がりすぎて当初は重〜中戦士だったはずなのに鎧を薄くした方がACが良くなるという状況が発生する)。そのため主にアリーナの超高lvでのバランスをとったと推測できるのだが、もともとPnPや他ゲームでも大器晩成というか低lvが微妙すぎるMnkが、低lvや、lv限界の低いアドベンチャーモードで輪をかけて微妙になるという状況が発生している。Mnkが他にグローブ・ブレイサー枠に装備するものが特にない(少なくとも現verでは、NWN1/2のように元素拳のグローブが出てきたりはしない)のも上記ルール変更のシテオクにさらに拍車をかけている。
〇BAB(Base Attack Bonus = 基本攻撃ボーナス)
LMAは初期は、物理攻撃(打撃、射撃)に関しては、キャラクターレベル(クラスレベルですらない)に依存してダメージが上がるという3.Xeどころか2nd以前とも似ても似つかない処理で済まされていたが、バージョンv0.91.54から以後は、3.XeのBABシステムがある程度再現されている。一方で3.Xe未経験者には突然異常にわかりにくくなったという声もあるようなので、例によって元ルールとLMAの独自の実装点に触れる。
元ルールの話をすると、BAB(基本攻撃ボーナス)とは、キャラクターのクラスごとに高〜低で決まっている数値で、攻撃命中率のボーナスの最も基本値である。AD&D(PoRやBG)ではTHAC0に相当する。これに各種修正(能力値、特技、魔法等)が加わったものが命中率に関与する。
3.Xeの元ルールでは、戦士系ならばBABは「高」(クラスlvの1倍)、信仰系や技能系ならば「中」(クラスlvの3/4倍)、秘術系ならば「低」(クラスlvの1/2倍)となり、BABはクラスとレベルから合計して計算した値になる。例えば同じキャラクターレベル8lvのキャラでも、FtrならBAB+8,ClrならBAB+6, WizならBAB+4, Ftr4/Wiz4ならBAB+6である。
BABは魔法や能力値の修正と異なり、戦闘能力の最も基本的な値であり、素のBAB自体にある程度の値がないと(能力値や魔法でいくら増強されていても)プレステージクラスや特技が習得できなかったりする。例えば、プレステージクラスのドワーブン・ディフェンダーの取得には「BAB+7」が条件のひとつに入っている。
BABに関して最も重要な点として、全力攻撃で複数回攻撃をする場合、BABが+6以上であれば、BAB-5するごとに1回ずつ追加攻撃ができる。BAB+16のキャラは、BAB+16/+11/+6/+1で4回攻撃できる。そのため、マルチクラスを組み合わせてこの+6以上、+11以上、+16以上の値に持っていくかどうかが、キャラビルドでは非常に重要である。通常の移動の後の攻撃では1回しか攻撃できないが、移動せず又は1歩移動(元ルールでの5フィートステップ)の後は、全力攻撃でこのBABに応じた回数の攻撃ができる。
一方、キャラクターlvが20lvを超える、いわゆるエピックレベルでは、BABや攻撃回数はそれ以上は上昇せず、追加のエピック命中ボーナスだけが増えていくことになり、その増加割合はどのクラスであっても「低」である。そのため、20lvに成長するまでの間にできるだけBABを高くする(できれば4回攻撃できる+16以上を確保する)ため、どのような「順番」でマルチクラスを取得していくかというのがビルド構想の要である。例えば、BAB「中」のClrと「高」のFtrの組み合わせでは、20lvまでにどこかで最低Ftrを4lv入れClr16/Ftr4とすることで、BAB12+4=+16と4回攻撃が確保できる。この場合、Clrを17lv以上に伸ばしたいとしてもエピック以後にした方がよいということになる。
以下、上記に加えてLMA独自の実装の問題だが、前記したように、元ルールでは秘術系などはBABは「低」だったのだが、なぜかLMAでは、Wiz, SorもBABは「中」になっている。この理由は定かではないが、以前のバージョン(BAB導入前)と比べて打撃能力(ゲームバランス)に大差がつきにくいようにしたのと、LMA自体がアリーナ重視なので戦闘能力を高めにしているのかもしれない。いずれにせよ、秘術系と信仰系・技能系・プレステージなどの組み合わせでできるだけBABを高くするというビルド構想では無意味になっているものが多い。
元ルールやNWN1では、例えばWiz20/Ftr20の秘術系魔法戦士を作ろうとした場合、成長前半の20lvに戦士系をどれだけ入れるかでBABや攻撃回数に雲泥の差がついたため、最初の20lvは全部戦士系にする(つまりプレイングの前半は完全な戦士としてしかプレイできない)といった窮屈なプレイとならざるを得なかったが、LMAでは秘術のBABが「中」に上がって緩和されたともいえる。一方でビルドの綿密さ(過酷さ)が削がれたともいえる。日本のLMAプレイヤーの間でも、プレステージクラスが追加されたことを受けてエルドリッチナイト(秘術-戦士系魔法戦士)の優先実装の希望をしばしば聞くが、元ルール時点でエルドリッチナイトがそれほど強くはない上に、ベースの秘術系のBABが「中」と良化していることから、エルドリッチナイトを入れたキャラのBAB面での利点はかなり減退する(エルドリッチナイトを入れずそのままWiz/Sorを伸ばし続けても、BABなどの伸びが激減しない)と予想される。(巷のLMAでのエルドリッチナイトの異常な実装希望・推しは、LMAの元ルールのd20-SRDデフォルトではなく、別ルールのPathfinderのインフレしたエルドリッチナイトと明らかに混同している場合が多い。)
なお、オプションのハウスルールで元ルール通りに秘術系のBABを「低」に戻すことはできる。
20lv以前(非エピック)のクラスの取得順番について、LMAで選べる、別に述べている「種族ヒットダイス」持ちの種族キャラの場合、種族ヒットダイスが最初の20lvに既にカウントされている点も考慮する必要がある。例えば「巨人」はBAB「中」なので、巨人ヒットダイスを持つ種族は(一般に上げないとは思うが)上げる場合は留意が必要である。例えばトロールの場合、「巨人」ヒットダイスを6lv持つので、非エピックの20lvのうち6lvはすでにBAB「中」(6lvでBAB+4)で占められ、残り14lvでビルドを考える必要がある。リザードフォークの「人型生物」ヒットダイス2lvも「中」ですでに2lvでBAB+1である。
この種族ヒットダイスはd20元ルールでもそうなっている点だが、PnPでも他のd20/D&Dゲームでもそんな種族が選べることはほぼないので(PnPではおかしなマニアゲーマーの卓では使用される例が少なくないという説はあるものの、PHBの通常のレギュレーションではない)そんな種族を選べるLMAでは特に留意事項となっている。
なお、BABについて、他の3.XeのPCゲームでは、例えばNWN1は元ルールの通りを再現しているが、一方、NWN2やIWD2では、エピック後もBABやst値が20lv以前と全く同様に伸びていくので、クラスの比率はともかく20lv以前以後や取得順番についてはBABとは関係はない。NWN2やIWD2とは、LMAではビルドの勝手が違うので注意が必要である。
ちなみにクラスを取得する順番を間違った場合、LMAでは、リスペック(再訓練)する手段もある。
移動後の攻撃と1歩以下後の全力攻撃(複数回攻撃)について、LMAのBAB実装以前のバージョンでは、前述のようにBABによる複数回攻撃を採用していなかったので、「移動後に攻撃するとダメージが何割か減少する」などという、非常にいいかげんな再現度になっていた。
また、ヘルプ(エンサイクロペディア)には、「レベルアップしてもたくさん攻撃できるわけじゃない。ただ強くなるだけだ。」といった、この旧バージョンのシステムの説明の文言(現BAB制の複数回攻撃が可能なルールとは合致しなくなっている)がいまだに残っている。
逆に、Tier(10倍数レベルオーバー)ごとにダイスや特技等固定値のダメージ倍率が増大するといった、初期バージョンのために作られたとおぼしきシステム(敵の膨大なhpなどはTier倍率が前提になっている)は、いまだにハウスルールのデフォルトではon(チェック入り)になっており、現状のシステムのd20再現度とはいささか齟齬をきたしている。そのため、3.Xe経験者であれば逆に、現状のシステムがどのようになっているかの把握が必要である。
ハウスルール選択画面のオプションでは、一括で「LMAデフォルト」「3.5e再現」を選択できるボタンもあるが、3.5e再現を選んでも現状では再現率が充分高いとはいえないため考えどころである。
〇呪文システム
上述もしたようにLMAのシステムにはd20のPnPや他の3.Xe系ゲームとはかなり食い違いが多く、呪文についても特に分りにくいものが多い。将来的にアップデートされる可能性もあるが、以下は現状(2022年半ば)のものである。
・InfinityやNWN1/2などのD&Dゲーム(他のd20ゲームではそうとは限らない)では、他のCRPGのような「ダメージを与える呪文」の火力は低く、直接ダメージは前衛に任せ、スペルユーザー、特に秘術系は制御役等に徹した方が効率的だが、LMAではその傾向は特に著しい。(かつてBAB制ではなくキャラクターLvでダメージが増大していた事情から)前衛系のダメージはLvに従ってTierなどの倍率がかかるのだが、秘術系のダメージはそれに比べると伸びない。一方で、Tierの前衛ダメージに応じて敵のhpは増大しており、いわゆるボスキャラ系の単体キャラだと、エピック前でも4桁のhpを持つ者などが出てくる。これに対してはダメージ呪文はリソース以前にラウンドの無駄である。ただし、多数のミニオン(hp1の敵)を薙ぎ払う広域呪文や状態異常と複合された呪文(例えばアイス・ストーム)などについては有用な局面も多い。こうなると多彩な呪文を使えるWizが砲台のSorより有利などとなりそうなのだが、呪文がそれほど多彩でない、というかLMAでは現状Wizがそれほど多数の呪文を修得できないためあまり差がない。
・あるバージョンから、クレリックが治癒等の呪文を「任意発動」(他の呪文を、発動時に呪文レベルに応じたキュアやインフリクト呪文に変換)するシステムが実装されている。が、単体小回復のキュア系呪文は、3.Xeのキュアモデレート、キュアシリアス等はなく、呪文レベル1のキュア・ウーンズ呪文しか存在しない(大回復のヒール系や広範囲回復マス・キュア系は有る)。任意発動は、その場でキュアに変換する他の呪文(高レベル含む)を選択すると、呪文レベル1のキュア・ウーンズ呪文、または広範囲回復のマス・キュア呪文の残り回数が増える、という形となっている。ただし、キュア・ウーンズやマス・キュアは呪文レベルではなくキャラの方のlvに応じて回復量が増大するようになっており、3.Xeの高レベルのキュア系の呪文よりも回復量が相当高くなっている。これは実は、当初は呪文が後述するクールダウン制で管理されており、回復を数ラウンドのクールダウンごとのみに行うため、単体小回復についてはキュア・ウーンズ一種とし、かわりに回復力がキャラクターのlv毎に増加するようにして一括表現されていたためである。そのため、現状ではかえって莫大な回復量のキュア・ウーンズを多数回発動できるものとなっているが、今後、このシステムを3.Xeに近く変更すると大幅なバランス改変となるので、変更されるかは定かではない。また、3.Xeの元ルールでは、クレリックのアライメントに応じて、キュア系かインフリクト系のどちらかを発動するようになっていたが(グッドはキュア系、イービルはインフリクト系を必ず発動し、ニュートラルはクラス取得時に選択した)このLMAではアライメントによらず、どちらでもその都度自分で選んで任意発動できる。
・なおLMAではPnP通り(そしてNWN1/2等では実装されていない点だが)低lvの修得呪文を高lvのスロットに準備することができる。そのため、任意発動ができないDrd, Rng, Palでも、呪文レベル1のキュア・ウーンズ呪文を高lvスロットに準備して高lvの治癒回数を増やすことはできる。
・ドルイドの「任意発動」として、召喚呪文を発動するシステムも実装されている。こちらはサモンネイチャーズアライI-IXの高レベル呪文が存在し、同等の呪文レベルから変換できるという、3.Xeの元ルールに近い形になっている。これはドルイドの実装がかなり後のバージョンだったので、前述のクールダウン制との関係などの事情がないためによる。
・一方で、現状、クレリックの領域呪文は実装されていない。というか、領域そのもの(領域特典)も無い。しかし、呪文ダメージや前述の回復量の増大のシステム上、クレリックの強さに不足は感じにくいと思われる。LMAのデフォルトのCLR呪文リストには、本来はWIZ/SOR呪文リストのものが多く含まれており、おそらく領域呪文などを意識したものかもしれない。
・オプションではd20の呪文スロットシステムではなく、呪文の「クールダウンシステム」を選ぶことができるようになっている。これは強力な呪文の連発ができないだけでストレスがたまるだけでメリットが全くなく、何のためにあるかわからない、というネット上の意見がしばしばある。例えば、「ソーサラーはより頻繁に呪文を発動」という説明のため、てっきりクールダウン時間が減る等と思った、というかこの説明が他の意味などとはどうやっても読み取れなかったなる報告があるが、ソーサラーのメリットは「呪文スロットが多い」ことなので、オプションでスロット制でなくクールダウン制を選択した場合はソーサラーを選ぶ利点そのものが全くない。
ではこのクールダウン制は一体は何のためにあるかというと、アリーナしかなく呪文スロットシステム自体が未実装だった過去バージョンの頃には、呪文はすべてクールダウン制になっており、おそらくはそのクールダウン制でプレイしていた古くからのバージョンのゲーマーのために(過去のオプションは今のところ多くが残されているので)残っているだけだと思われる。
ただし、アリーナに限っては、現状の回数制の呪文や技能を回復するにも大金を払って休息しなければならない、というシステムよりは、かつてのクールダウン制の方が気楽なところもある。
〇技能
LMAでの技能は、アドベンチャーでは罠の感知や解除、クラフトなど重要である。一方アリーナでは「精神集中」技能しか意味をなさないといわれ(下記するように、治療など他にも機能自体はする技能がある)技能全般・技能重視クラスの有用性が大きく下がっている。元のPnPルールには、軽業などの戦闘中に関係する技能もいくつかあるが、LMAでは現状(ver0.91.61)軽業などはin dev(開発中)に入っており機能しない。
なお、ここでも先に断っておくが、LMA(及び、その他のd20系CRPG)の「元ルール」と称してPathfinder和訳が引用され貼り付けられることが日本のプレイヤーらの間では非常に頻繁にあるが、技能ランクの修得・計算法やクラス技能の機能などはPfとD&D/d20デフォでは特に大きく異なっているため、Pfの情報はここでは全く役に立たない。かといって、D&DとLMAの相違点も少なくない。技能についてはNWN2入門記事でも説明しており、技能自体の概要、修得やクラス技能、クラス外技能の別などについては共通する部分があるが、相違点が多いため参考程度で、以下が優先である。
習得については、PnP(3.5eのd20-SRDデフォルト)ともNWN1/2とも全く異なっている。まず、キャラメイクやレベルアップ時に技能を修得できる他、「技能ボタン」(アリーナなら左、アドベンチャーなら右下)でいつでも技能を割り振ることができる。しかし、このどちらもPnPや他CRPGとは全く異なっている。キャラメイクやレベルアップ時には、「そのキャラメイク/レベルアップで取得・上昇させたクラス」のクラス技能(得意な技能)のみが通常に上げられ、そうでないクラス外技能は上げにくい(1ランクに2ポイントを費やす必要があり、最大値も低い)。ところが、通常時の「技能ボタン」では、マルチクラスのキャラは、取得しているどれか1つのクラスにおいてクラス技能になっている技能は全て、1ポイントで1ランク、最大値もキャラクターレベル準拠で上げられる(3.5eのPnPとは異なり、強いて言えば3.0eに近い)。レベルアップ時以外にも通常時の「技能ボタン」で上げられるようになっているのは、後述するようにアドベンチャーで「ギルドで技能を修得するまでポイントをつぎ込めない」ものがあるため、レベルアップに関係なく上げられるようになっていると考えられるが、しかし、なぜレベルアップ時と通常時の「技能ボタン」で上げられるポイントが異なっているなどという実装にしているかは定かではない。(レベルアップ時には「今上げたクラス」でクラス技能かどうかが判定されているが、技能ボタンで上げる際には「直前に上げたクラス」などではなく、「今持っている全てのクラス」しか参照されていないと考えられる。)将来的に修正される可能性もあるが、現状、技能は(特にクラス外技能は)できるだけレベルアップ時でなく、「技能ボタン」で後から上げた方が得である。このため、アドベンチャーでは様々な技能がクラス技能となっているクラス(例えば、罠関係のローグ等)を「1lvだけ」入れておけば、技能ボタンからどの技能も容易に取得・伸ばせるので、補助(後述)用に技能を伸ばしておく場合もある。
技能ボタンでは、非常にわかりにくいが、アドベンチャーでは「各人の技能を上げる」ためのタブと、「パーティー」全員のタブがある。このパーティーのタブの方は、全く機能が異なり、アドベンチャー中で誰が技能判定を担当するか、誰が補助するか(複数が技能を所持していると、1〜2人補助できる場合がある)を設定するタブである。
さらにd20デフォルトや大半のD&D/d20ゲームと大幅に異なる点として、装置無力化、解錠、職能(鍛冶など)、製作(クラフト類)などの技能は、技能ランクをつぎ込んだ後に、実際に「使用」して技能自体の経験を上げていかないと、実際の技能の数値として加算されない。また、アドベンチャーでは、職能や製作技能はギルドで修得する必要がある。なお、マジックアイテム作成については元のd20-SRDデフォルトやNWN2では「特技」となっているが、LMAでは通常の武器や防具の作成と同種の「技能」であり、伸ばしていかなくてはならない。
誰が技能を伸ばすかだが、元のd20ルールでの有用な技能があまり実装されていないにも関わらず、罠・鍵関係や採掘、クラフトなどにはかなり多種類・多数のポイントが必要となり、網羅していこうとすると結局、あまり余裕がない。Intが高く技能のポイントが多くなるWizや、クラスのポイントが高いRog, Brdが集中的に取得するということになりがちである。そして、誰が使うか決めたら使わせていかないと、前述のように使用していかなければ伸びない。
なお、技能説明欄では基本値(つぎ込んだランク)に能力値などの修正を加えた値が「技能ランク」と表示されているがd20の用語では技能ランクに各種修正を加えた技能判定の値は「技能修正値」である。これはPnPのデフォルトルールだが、プレステージの箇所でも書いているが、プレステージ等の前提条件として必要なのは「元の技能ランク」であり、修正後の「技能修正値」ではない。
・治療:これは3.5eのD&D/d20-SRDデフォルトのPnPルールや、他のCRPG(例えばNWN1/2)の実装とは全く異なっている。DC15の技能判定を要するという点はPnPと同じだが、ヒーラーキットを1つ消費し、判定に成功すると「最大hpの1/4の回復」「出血、毒の治療」が行える。1戦闘につき1回しか治療を受けられない(受ける方)。NWN1/2のように判定結果(技能修正値+1d20)が回復するわけではないので、技能修正値が15になるまで上げればそれ以上を必要としない。特に高lvではhpが膨大なLMAでは極めて強力な技能となっているが、アリーナでも強いものの一時のバージョン以後アリーナではヒーラーキットがランダムドロップしかせず入手困難になったので、使用できる機会が少ない。一方アドベンチャーではヒーラーキットは容易に入手できるが、他にも回復手段が非常に多いため、それほど活躍しない。
(以下はゲーム内wikiや攻略サイトにも残っている旧バージョンの説明を含む)
・旧バージョンでは、武器習熟がバルダーズゲートシリーズ(AD&D2nd)のように、剣や斧などグループごとに分かれていた。3.XeのデフォルトではFtrなどの前衛系は、「すべての軍用武器」に自動的に習熟していたが、LMAではならず、Ftrなどでも習熟する武器カテゴリのみに習熟することができた。v0.91.54(BABが導入されたバージョン)以降は、「すべての軍用武器に習熟する特技」(NWN1/2などと同様)が追加され、前衛系は自動的にこれを修得するので、すべての軍用武器を修得できるようになった。
一方、v0.91.54以降でも、前衛系以外がレベルアップの特技枠などで軍用武器習熟を取得する場合は、上記のような剣や斧などグループのどれかを選ばなくてはならず、一度に全て取得はできない。
・(以下はv0.91.57である程度改善され、以前のバージョンの情報である)マルチクラスを行うと、元のd20ルールでも(他の殆どの3.Xeゲームでも)習得呪文や呪文スロットは、クラスごとに完全に別のものとして管理される。しかしLMAでは、厳密に別物として管理されてはいないようである。例えば、クレリックを高lvまで上げてから、ソーサラーなどの秘術系を上げ、ソーサラーの呪文を習得しようとすると、「ディスペルマジックなどの(秘術・信仰の両方で取得可能な)呪文をすでにクレリックで習得してしまっているので、ソーサラーの呪文レベル3の習得可能呪文の枠がすでにそれらの呪文を習得済として埋まっており、ソーサラーのその呪文レベル3をそれ以上習得できない」といった酷い事態が発生することがある。この場合、先にソーサラーを上げ、必要な呪文を習得しておいてからクレリックを上げる(クレリックの方は全呪文が自動習得になる)といった順序が必要である。どのみち重複が生じることはありそうだが、ソーサラー側のヘイストやファイヤーボール等の呪文が欠け続けるといった最悪の事態は避けられる。なお、LMAでは呪文種類・呪文習得機会が少なすぎるのでソーサラーに対してメリットが少なすぎるといわれるウィザードだが、ウィザードの呪文習得時にはどのレベルからでも未修得の呪文を自由に2つずつ選択できるので、先に他クラスで呪文を修得していても上記ソーサラーのような事態が生じることはない。
〇特技
ルール用語全般に言えることだが、このゲームは翻訳が途中で止まっており、後日LMAの本家の方が追加したルールにおいてその翻訳ファイルの用語が引用された際に、内容が全く合っていないことがある。
例えば特技名に《呪文熟練:強化》とあるのは、この「強化」はおそらくenchantmentであり、正しくは《呪文熟練:心術》である(3.Xe以降のD&Dでは、日本のTRPGのように「エンチャント」を「武器を強化する」とイコールでは用いない)。しかも、特技の解説文の方にも「これらの特技はスクール(領域)を強化する」と書いてあるだけでenchantmentのことだとは書いていない。この訳語の状況では、3.Xe経験者でも混乱必至であり、ましてd20系未経験者であれば全くわけがわからないだろう。いっそのこと英語版でプレイした方が無難である。