Low Magic Age情報
 (2022.6.17)


 ※d20ゲームルールに関する詳細はこちら

 ※クラス情報の概要はこちら


〇概要

 Low Magic Age(LMA)はSteamや、GOGでも安価(1000円そこら、セールならさらに安価)で購入できるd20のターン制CRPGである。3.5e d20のシステムで、多対多のタクティカルコンバットを延々続けるアリーナモードや、マップ上に無限沸きする徘徊敵やクエストやダンジョンを延々消化し続けるアドベンチャーモードだけのゲームである。
 現在、Synctum氏による翻訳パッチをもとに一部が公式で日本語化がされており、日本語でゲームするには支障がない程度まで訳されている。

 3.Xeの綿密複雑怪奇なシステムは、仮にプログラムで自動化できる部分は自動化して、ボードウォーゲームのように多対多の戦闘を行っているだけでも、あるいは、DMGなどのランダムダンジョン(PnP用の紙のダンジョンデータだけ自動生成するプログラムならいくつかある)のシステムで自動生成させて延々潜っているだけでも、結構遊べるCRPGになるのではないかというのは、おそらくD&D系CRPGゲーマーの誰もが一度は考えたことがあると思われる。
 AD&D旧版時代なら幾つかのフリーウェア、BGEEのブラックピット闘技場や、また3.Xeでも多対多でなくソロのものならNWN1/2用のメーカー/ユーザーモジュールなど、アリーナやランダムダンジョンを追加要素として実装したCRPGはD&D系でもたまにあり、他のシステムのCRPGでもフリー中心に多くある。が、それだけを本体として特化したという日本のルナドンのようなゲームで、かつ、3.5eの非リアルタイムのタクティクスの再現を行ったというのは有名ゲームにはにわかに見当たらないように思える。
 Low Magic Ageは普通にそれだけを実装したゲームで、まさしく予想できるように結構遊べ、同時に、その予想を上回るような要素も全くない。

 言うまでもなく、3.5eシステムで延々連戦と聞いてそれだけで、結構遊べそうだと俄然期待するような、ごく限られたゲーマー向きである。ほんとにそんなことをやってて面白いのか、という疑問をプレイ前にまず抱く向きには(たとえD&D系CRPGや"TRPG"経験者でも)その時点ですでに向いていない。
 日本の掲示板などでは、後述もするが「ゲームシステムなどよりストーリーや固定シナリオを早く追加しろ」「誰も使いもしない種族や、クラスや特技ばかり追加してアドベンチャーモードのシナリオを追加しないのはもう『完成させる気がない』のか」等が数年前から絶え間なく要望として出続けており、おそらくルナドンやサンドボックス系に似ているという一部の流言から、既知のそれらのような形態が「完成形」といった先入観を強く持たれている可能性が高い。しかし、おそらくこのLMAの実体(最終目的も)とは「単にd20のランダム表を自動化した装置」にすぎない。無駄な種族を追加する等は、「システムを再現する」のがこのシミュレータ全体の優先目的であって「追加によって冒険世界を充実させる」のが目的ではないからである。こうした目的はかつてのアマチュアRPGには多数見られた傾向だが、その方向性(現状では未実装点は多い点を含め)そのものが理解できず、不十分・未完に見えるのならば、おそらくこのLMA自体に向いていないと思われる。
 「d20のシステム(ランダム表の集まり)を活用するために冒険世界が付属している」システムシミュレータであって、「冒険世界を充実させるためにシステムその他が付属している」ゲームなどではない、ということに気付かないと、期待外れが続くことになる。

 Steamでは開発途中版(今も途中だが)から公開されており、実は数年前の闘技場しかない頃から細々と日本でもプレイヤーやパッチ開発があったり、某掲示板Steamスレでも定期的に話題になっていた。開発チームは中国で、ファイルの中には中国語のコメントが残っていたりするものがある。なお、LMAは開発途中で現在もしばしばアップデートがあるため、以下の記載も最新ではない可能性がある。



〇システム

 日本語化以来(NWNコーナーから辿ってではなく)最初から「Low Magic Age」に関して検索してここに辿り着いてくるユーザーがいる。LMAのベースとなるd20 3.Xeのゲームシステムについては、NWN2のルールレファレンス後半に載せたNWNやD&D3.Xeの入門サイトが参考になるかもしれない。他の3.Xe系CRPGとの差異などのさらに細部については別に述べる。


 日本の数少ないLMA紹介サイトやSNSでは、厄介なことに「D&D」「D&D3.5e」のゲームである、という誤った情報で紹介されていることが殆どである。LMAは正確には3.5eの「d20」、すなわち、「D&Dの『数値処理システム』の基本部分のみについて、緩いライセンスで使用可能になっているゲームシステム」を利用しているものである。これらのサイトや掲示板に限らず、日本の"TRPG"界隈では、WotCの「D&D」のライセンスと、システム部分だけが使用可能な「d20」(OGL)のライセンスが別々に存在すること自体理解せず、誤った情報が広められていることが非常に多いため、注意を要する。
 特にLMAについて、「d20」という用語すらも、前記した元日本語パッチのサイトで使用されている以外には、日本のサイトやSNSでのLMAの言及では、現在のところ他には一か所たりとも使用しているのが確認できない。LMAに関する風説には、上記の誤情報のため「『D&Dのゲーム』なのだから、D&Dの市販シナリオや小説等の内容が将来実装される」などというものがあり、混乱をさらに拡大させているが、LMAは「d20」でありD&Dのライセンスではなく、TSR/WotCのD&D商品(多くの場合はシステムではなく、FR世界などの設定をライセンスされたものを期待される)ではないため、(FRなどの)D&Dの世界設定やシナリオなどの内容を使用することはできない。それらについては、BGやNWNシリーズ等との共通点はなく、D&Dに関係ない他のCRPG同様、別世界・別設定である。
 また、d20と本家D&Dとの混同以外にも、掲示板などで「紙版」ルールの経験者を自称する者が、d20デフォルト外のアレンジが著しいベースルールや特定世界ルールのd20(特にPathfinder)、ひいてはネット(dandwikiなど)から拾ってきたサードパーティールールや個人作成データと混同した情報を流していることも非常に多いため、注意すべきである。

 システム部分についても、無論d20の大枠は同一なものの、キャラデータを中心にD&D3.Xeルールは無論のこと、3.5e d20のデフォルトルール(SRD)とはかなりの食い違いが多い。例によってかなり簡略化された部分がある一方で、ちらほらと他のd20に見られるようなシステムもある。例えば、特に戦技の特技のいくつかは(他のd20にも見られるが)ヘルプ(ゲーム内事典)によるとPathfinderを意識しているという。(ただし、クラスの箇所でも述べているようにクラス関連に特に多いが、あくまでd20デフォルトのLMAとPfでは大きく異なる点が多く、日本のゲーマーにはPfのルールを当たり前のように「LMAの元ルール」として貼り付け、Pfとd20デフォルトが異なる点について誤った情報を拡散していることが非常に多いため、注意が必要である。)
 現状(2022年前半のバージョン)3.XeなどのPHB記載のベースクラスは揃っている一方、DMGのコア範囲のプレステージクラスは揃っていない。一見すると「エレメンタリスト」「ヒーラー」などの色々なクラス名が出ているように見えるが、これらは実はクラス自体はいわゆる基本4職で、これらの名はただのビルド例(NWNで言うテンプレート)である。AD&D2nd(BG1,2など)の「キット」や5版(BG3など)の「サブクラス」と混同する向きもあるが、これらのテンプレートを選んでもクラス規定外の追加の能力が得られるというわけではなく、特技等の選択時にテンプレートの名前に相応のものが自動的に選択されるだけである(つまり「成長の自動化」の選択肢にすぎず、街などで雇えるランダム冒険者は通常これらのテンプレートのどれかに設定されている)。
 すなわち、テンプレートのビルド例に従ってレベルアップごとに自動成長させることも、基本職を選んで手動で習得特技や呪文を選ぶこともできるようになっている。キャラのレベルアップをカスタムにするかテンプレートにするかはいつでも変更できるので、作成時にはカスタムで作り、途中からどれかのテンプレートを選ぶことも、また(後述するが)アドベンチャーモードで街で雇ったテンプレートキャラを途中からカスタムにして手動で成長させることも可能である。

 呪文・武器のダメージの計算式など、3.5e/d20のデフォルトとは根幹システムが異なっている点も多く、このあたりはOD&D・AD&Dをベースにしつつ既にアレンジされている黎明期CRPG群(初期Roguelike, Wizardryなど)の感覚に近いかもしれない。

 変更のうち、特に簡略化部分については、開発途中故に未実装な部分も多く、現にSteamのトピックなどでは長期的プランの箇所に書かれているものもある。未実装のコアルール記載クラスやルールなどが書かれているが、ただし、本当に実装の目途が立っているのか、単に未実装のd20ルールが羅列してあるだけなのかは定かではない。

 カーソルを合わせると説明が出るなどのシステム解説が充実しているので、3.Xeに慣れていてもよく読んでおいた方がいい。

 戦闘画面のプレイ感覚としては(同じターン制でもToEE等よりは)GoldBoxによく似ており、無論GoldBoxよりは操作性は現代風に改善されているが、この画面自体とっつきにくいとは(経験者でも)感じるかもしれない。



〇顔グラ、戦闘グラの変更

 自キャラを作れるゲームの例によって顔グラ(ポートレイト)があらかじめ用意されており、BGのように濃い顔しかないというわけでもないのだが、気に入ったものがなければ、steamワークショップにも、過去のD&D系ゲームのポートレイトやアニメ顔など多数アップロードされている。また、これもこの手のゲームの例によって、自作のポートレイトを追加できる。
 アヴァター(戦闘画面のアイコン)も変更できる。といってもアニメーションとかするわけでもないので、文字通り位置情報相当の1枚しかない。しかし、3Dモデルやフィギュアアイコンを改変しなくてはならないNWN,BG等よりも手っ取り早く自イメージのキャラ画像を使えるともいえる。
 FAQにもあるのだが、「(インストールドライブ):\SteamLibrary\steamapps\common\LowMagicAge\gfx」のフォルダの下、ポートレイトは「faces_pc」、アヴァターは「pc_sprites」のフォルダにある。
 なぜかポートレイトはjpg, アヴァターはpng画像でなくてはならず別である。元フォルダに入っているものやSteamで配布されているものは、ポートレイトは72x72、アヴァターは96x96ピクセルが多いようだが、それぞれ正方形なら、大きさは自動調整される。NWN2の正方形顔グラを作っていたならポートレイトには(tgaからjpgに変換しなくてはならないが)流用できる。

 また、ver0.91.29からは、複数のサイズのポートレイトが使用可能になっている。上記72x72のjpg画像のほか、256x256のjpg画像(ファイル名は72x72のファイル名を*.jpgとすると、"*_b.jpg"、320x縦サイズ任意の透過png画像(ファイル名は"*_f.png)を準備しておくと、カーソルを当てた際に256の大型画像、キャラシートの背景に320の画像が表示されるようになる。これらは「faces_pc」ではく、「pc_faces」というまぎらわしい名のフォルダに入れる。これまでのフォルダの画像もそのまま使える(上記72x72をfaces_pcフォルダに入れるだけでも機能する)。こちらの場合、キャラシートの背景は戦闘画面用アヴァターが表示される。
 (なお、ver0.91.39では、グラフィック変更場面では、faces_pcのフォルダ内の単一サイズのポートレートも、現在「旧バージョン」という項目から選択できるが、一方アヴァターの方は、旧バージョンでのunits_pcのフォルダ内は表示されなくなったので、pc_spritesフォルダ内にコピーする必要がある。)

 ポートレイトもアヴァターも、ゲーム開始時の指定の他、開始後もいつでも変更できる。アヴァターはキャラステータス画面の装備欄の左に表示されている姿をクリックすればよいが、ポートレイトは画面一番下に並んでいるパーティーの顔アイコンを右クリックすると「名前とポートレイトの変更」の行がある。



〇アリーナモード

 このゲームは開発当初はアリーナ(闘技場)モードしかなく、アドベンチャーモードとは戦闘・成長システムこそ共通しているが差異が多く、キャラも(成長後のデータは)共有できないなど、思ったほど関連性がない。
 アリーナとだけ言えば把握できる人も多いと思われるが、延々と対戦相手を変えながら連戦を続ける、わかる人にはわかるT&Tのカザンの闘技場、BGEEのブラックピットのようなモードである。実は1980年代からD&D系では似たようなフリーウェアが存在していた。

 アリーナでは戦い続けると名声が上がり、対戦相手がアンロックされていく。BGのブラックピットなどとは異なる点としては、アンロックごとに商店のランダム在庫が切り替わったり、同じ相手と戦っても賞金だけでなくときにランダムアイテム(3.Xeルールに従って、ランダムで印(property)が付与されたレアアイテムなど)が入手できたりと、単調な戦いの繰り返しにも手が伸びるようになっている。

 名声だけでなく、経験値もパーティー全体でおおまかな値が管理されており、インポート(雇用)したキャラはその値に調整される。
 別の言い方をすると、GoldBox, Infinity, NWN1/2のようにキャラデータを経験値やアイテムなど丸ごとエクスポートすることはできない。元々保存されているキャラはいる(自分でキャラメイクすると追加でストックされる)が、全員1lvのキャラで、インポート先のパーティー経験値になる(なので、基本4職の手動成長でビルドを間違った時は、アイテムを外してキャラを解雇して同名の1lvキャラをインポートすると、同じ経験値でレベルアップしなおすことができる)。
 なので、BG等の他Wizardry、DQ3、IWDやNWN2のSoZのように自由に成長途中のキャラを入れ替えながら進める、といったことはできない。パーティー制として好みは分かれるかもしれないが、クリア済の強いキャラをパーティー外から持ってきたりはできなくなっており、他ゲームではToEEなどがこの(1lvキャラのみがエクスポートできる)システムである。キャラを1lvをこえて成長した状態で別に保存しておくには、パーティーごとに存在する「代替キャラクター」の代替スロット枠を購入し、スロットに入れておくことはできる(その間、そのキャラに経験値は入らない)が、パーティーから外に持ち出すことはできない(裏技で移動させることはできるが、tips項目で後述する)。

 なお(アドベンチャーと異なり)アリーナモードにはレベル上限などはなく、しかもボタン1つで再戦できるシステムとも相まって、テンポはかなり速い。作ったキャラがエピックまでどんどん成長していく。そのため、ゲームシステム要素がもっと多ければ(例えばプレステージクラスやPHB外追加クラスなど)様々なキャラビルドを実戦性で試すことができてもっと面白いのに、といった声もある。その期待に応えて今後拡張されるかは、前述のように不明である。
 報告によると、挑戦のランクがwave100を超えても何も変わらず続き、延々とインフレーションが続いていく。延々続けるなり、ゴール(例えばd20の非エピックの限界20lvだとか、他のPCゲームの30-40lvだとか)を設定するなり、このあたりはPnP(TRPG)同様に自分で決めるしかない。




〇アドベンチャーモード

 アドベンチャーモードでは屋外マップを歩き回り、時間を置いて無限湧きするクエスト、徘徊怪物、ダンジョンなどを延々と消化していく。
 かつてのGoldBoxでもPoRなどの屋外マップや、NWN2のSoZに特に良く似ているが、さらにワンダリング敵だけでなく、ランダムダンジョンや町の間の行商クエストも無限湧きする。特に後者から、かつてのPCゲームのルナティックドーンシリーズに似ていると評する日本のゲーマーも多い。LMAそのものを「ルナドンライク」として紹介しその側面のみで捉えられていることもある。といっても、冒頭で述べたように、(おそらくは)このゲームは元から「ルナドンのような自由冒険世界の具現化」を目的に作られたわけでは別になく、「d20のランダム表を自動化する」という単にそれだけを目的に作られていると思われるため、過大な期待は禁物、というよりもシステム面以外の拡充(特に自動表を逸脱したもの)を強く要求するのは「的外れ」ですらある。

 序盤は一連のアドベンチャーギルド加入関連のクエストの連続があるが、5lvあたりでそれが達成できるとそれすら無くなり(後日追加予定とのことではある)、特に目的もなく無限湧きの敵やクエストを消化するのみになる。
 クエストだけでなく、都市ごとに特産資源などがあり、護衛任務の行き来などとあわせて通商を計画したりなども一応できる。ルナドンほどではないが、どのようにこの世界を旅するかを自分で考えて選べるようになっている。

 キャラは6人まで最初からキャラメイクして始めることもできるし(もっとも6人作って始めても、最序盤のシナリオが1人目が他と別れ別れになった状態から始まるが)開始後に、街にあらかじめ待機しているランダムの旅仲間キャラ(NWN2で言えばCohort)を雇うこともできる。前述のようにアリーナのキャラは(1lv時データの他は)エクスポートできないので、アリーナとアドベンチャーや、他のアドベンチャーとの間で育ったキャラを共有したりはできないようである(ただし、いずれも後述tipsのような裏技はある)。
 といっても、街の仲間キャラは、キャラ名もポートレイトもアヴァターも、誰でもいつでも自由に変更できる(前述したように、画面最下段のキャラクターポートレートアイコン->右クリック->「名前とポートレートの変更」。アヴァターはキャラシート上のアヴァターをクリック)。つまり、顔ぶれを変えたければ、それらしい能力のやつを雇ってきて、好きな名前や顔に変えたっていい。
 また、以後のアップデートで、街にキャラを待機させておき(枠を購入する必要があるが)入れ替えたり、アジム市などにある「冒険者ギルド」->「冒険者の採用」からアリーナ等で作成した1lvストックキャラや、その時点でキャラを作成して採用することができるようになっている。GoldBox, Infinity, NWN1/2のようにキャラデータの自由なインポートやエクスポートは(後述の裏技を除けば)できないが、1ゲーム内で複数のキャラを作ったり起用するDQのルイーダの酒場のようなことはできるということである。なお、アドベンチャーモードではアリーナとは異なり、経験値はパーティー管理されておらず、キャラごとに異なるので、PoRやNWN2 SoZのように連れて行ったキャラだけが経験を積む。
 街に待機しているランダムキャラは、名前は(ToEE同様)WG世界のアイコニックキャラ、つまり3.XeのPHBなどで見たような名(ジョウゼン、クラスク、アラミルなど)があるのだが、クラスなどはアイコニックキャラとは無関係なことが多い。D&Dやd20の書物に出てくる様々な名前を、人名のサンプル(4-5版のPHBで「この種族のよくある名前」として羅列されているものと同様)としてランダムに使用しているにすぎないと思われる。

 アリーナモードと異なる点として、開始時のシナリオメイクで最大レベル規模や、難易度、報酬の多寡なども設定できる。ルナドンというかティルナノーグのように、ランダム世界といってもコードを入力することで同様の世界を生成することができる。
 難易度設定はこれまでのD&Dゲームのように彼我のダメージやクリティカルの重大さにはじまり、例えばキャラがhp0になったときに戦闘終了後に低hpで蘇生するか(FFやNWN2のOCのように)、呪文等で蘇生可能か、キャラが抹消されるか、あるいは全滅するとセーブデータそのものが消えるか(Roguelikeモードと名付けられている)といった設定もできる。シナリオメイク時のレベル規模やゲームスピードなどの設定はゲーム開始後は行えないが、戦闘難易度は他のD&D系ゲーム同様、いつでも変更できる。

 なおレベルアップ速度やランダム敵の復活などのゲームスピードは、デフォルト設定だと、アリーナモードはもちろん他のRPGに比べても相当ゆっくりになり、十数時間かけても10lvそこらにならないこともある。かつてのD&Dゲーム、低レベル域をじっくりプレイするPoRやBGではそんなものでよかったが、こちらのゲームはなにせ全てランダムイベントで単調になるため、あまりにも長々となるとだれるかもしれない。報酬やアイテムドロップなども、アリーナモードと比べて渋めで、地味なプレイングになりやすい。そのため、アドベンチャーモードではゲームスピードは速めに設定してもいいかもしれない。
 ゲームスピードの設定、すなわちアドベンチャーの開始時に設定できる経験値量(Character level-up Speed)は、v0.91.50 以後は、「標準」に対して「早い」だと2倍、「faster」だと4倍、「ultrafast」だと8倍、最大の「とても早い」だと16倍になる。(以前のバージョンはNormalに対してFastだと2倍、Fastestだと4倍)
 経験値が多く入った方が「低難易度」「有利」になるのかと思うのかもしれないが、早い話が経験値が他の報酬(資金やアイテム)に比べて16倍のスピードで入るということは、同じレベルでも1/16のアイテム等しか持っていないということで、またダンジョン等のランダム生成はパーティーレベルに応じて生成されるため、高レベルの敵に1/16の貧弱な装備で対峙する羽目になる。つまり、「難易度」ではなく「自分で設定できるゲーム環境・条件」にすぎない。こうした自分でプレイする環境を自分で整備するのは、PnPゲーム準拠のCRPGではごく当たり前であることは、BGやNWNシリーズなどのゲーマーはよく心得ていると思われる。

 レベル限界は、(アリーナモードでは上限が無かったのに対して)アドベンチャーモードでは開始時設定で最大40lvまでの値を設定する。また、最大40lvで、アドベンチャーモードでは現状それ以上に上げることはできない。(レベル上限やゲームスピードは、開始時のほかに裏技で後から変えることはできる。これもtipsで後述する)

 他のRPGやPnPをプレイしていると不自然を感じるかもしれない点として、戦闘以外の画面では回復やバフの呪文などを使うことはできない(ポーションは使用できる。前述した画面一番下のキャラアイコン->右クリック->アイテムの使用)。これはこのゲームの基本がアリーナモードにあるためで、開発時バージョンではアリーナでは1戦ごとに完全回復しており、外で回復等をする必要がなかったのが、そのままになっているためである。なのでアドベンチャーモードでは1戦ごとの負傷が残るにもかかわらず、戦闘外では呪文による回復等ができないということになるのだが、アドベンチャーモードではほぼいつでもどこでも「キャンプ」することで全快し、資材(食料)が減るだけでペナルティー(他のD&Dゲームではよくあるキャンプ中に敵に襲われるなど)もないのでその点は心配には及ばなかったりする。ただし、戦闘前や戦闘時以外の継続的バフなどは再現されていない問題は残っている。本来3.Xeはバフ呪文の比重が大きいゲームで、高レベルになってくると特に防御面が辛くなってくる(大量の敵に先制された際に難易度が高すぎる)という報告もある。アップデートにしたがって、アリーナ含めて「1日x回」使用できる能力などが追加されているので、将来的にはさらに、これら戦闘外行動も可能なように修正されるかもしれない。


〇表技類

 裏技でもなんでもないのだがあまりにも説明不足なので説明しないとわからない情報類

・アドベンチャーモードで街の冒険者を雇ったら成長が全自動で特技も技能もクラスも一切選ぶことができなかったが、一度リスペックして全部最初から成長しなおすと選べるようになった
 某掲示板でオドロキの情報のように書き込まれていたもの。それは街で雇ったキャラはビルドが最初は自動成長のテンプレートのどれかに設定されているからにすぎない。リスペックなどしなくても、単にビルドを変更し、カスタムキャラクターにすれば(アドベンチャーモードなら下部のキャラクターアイコンを右クリック→ビルドを変更→カスタムキャラクター)次回のレベルアップから全て指定できるようになる。
 まったく当たり前だという素振りを見せて、ゲーム中では(ヘルプエンサイクロペディア文書含めて)一切そんなことは説明されていない。日本のゲーマーに対しては若干辛いことを言うようだが、「3.Xe系のd20ゲームなどという複雑きわまりないゲームに手を出すようなゲーマー」が最初から対象である以上は、これくらいの不親切は通常運行だと思われる。


〇tips(裏技類)

・設定類の書き換え
 先ほど、アドベンチャーモードの幾つかの設定はゲーム開始時にしか指定できない(経験値スピード、限界レベルなど)と書いたが、実は、セーブデータ内のコンフィグファイルを書き換えることでゲーム開始後にも変更できる。
 セーブデータは、(steam版ならば、steamアプリが入っているドライブ)\SteamLibrary\steamapps\common\LowMagicAge\savesの中に入っている。「arena」がアリーナモード、「pcs」が作成したキャラのストック(未使用など)、「profile_1」などがアドベンチャーモードのセーブデータである。
 アドベンチャーモードの中には開始(作成)したアドベンチャーごとにadventure_1など、さらにその下にauto_saveやadv_1001などのセーブデータが入っている。
 この下の「adv_cfg.txt」がコンフィグファイルであり、テキストエディタなどで開くことができる。例えば難易度がノーマル、レベル限界値が20、経験値(レベルアップ)スピードがnormalだと、冒頭の3行が以下のようになっている。
 game_diff=2
 pc_lv_max=20
 pc_lv_up_spd=3
 例えば、pc_lv_maxがレベル限界で、40などに書き換えることができる(アドベンチャーモードでは41以上の値を入れても反映されず、40で止まる)。レベルアップスピードは4に書き換えれば「速い(2倍経験)」, 5で「faster(4倍)」にすることができる。
 その下に並んでいる行についても、何となく、どの設定事項に対応するかがわかるだろう。
 当然、そのセーブフォルダにしか適用されないので、以後このフォルダからゲームを続けるか、別のセーブフォルダのコンフィグも書き換えるかする。

・ハウスルールの書き換え
 他の設定類、例えば「ハウスルール」に関しても、開始時やアップデート直後を除いて、一度設定するとゲーム内では変更できなくなっている場合がある(バージョンによりしばしば変更されているようで、アドベンチャーかアリーナかにもより、できる場合とできない場合がある)。しかし、できないバージョンでも、上記セーブデータフォルダ、\SteamLibrary\steamapps\common\LowMagicAge\savesの中、例えばアリーナの中のセーブデータなら「arena\10000001」(一番上のパーティーの場合)、アドベンチャーなら上記auto_saveやadv_1001などのセーブデータファイル内の、「game_vars.txt」のテキストで設定されており、テキストを書き換えることで変更できる。例えば「hr_abis_10=1」などhr_で始まる行がハウスルールの設定である。どれがどれなのかは、だいたい画面上の順番通りに並んでおり、またテキスト自体からどれに対応するのかはなんとなくわかる場合もあるが(例えば上記「hr_abis_10」はアビリティスコアが10lvごとに+1される設定にあたる)テキストだけではわからないものも、=1と=0で機能するのかしないのかどっちなのか等がわからないものも多いので、そのあたりは頑張って画面と見比べでもするしかない。

・キャラデータのコピー
 上記のセーブデータを覗けばわかるが、このフォルダのさらに下にある「units」というフォルダには、1001.txtや1001.uという形でキャラクターデータが入っている。(なお、キャラのことを「ユニット」と呼ぶのは特に深い意味はないと思われるが、D&Dシリーズは色濃くシミュレーションウォーゲームの流れを汲むため、盤上戦闘場面ではウォーゲーム用語のユニット(戦闘単位)と捉えることもできるのと、強いていえば、LMAが開発当初アリーナのみの盤上戦闘ゲームだったためかもしれない。)アドベンチャーモードでこのうちどれが冒険中かは、コンフィグファイルと同じ階層のmy_pty.txtの中に入っている。
 これも先ほど、異なるセーブデータ内ではキャラクターデータのやりとりはできない(1lv時点のデータしかインポートできない)と書いたが、実は、このデータを別のセーブデータ内にコピーして、移動先のデータ名と合うようにリネームすると、成長させたキャラデータを、lvや装備そのままですげかえることができる。具体的には、他のセーブデータの1001.txtと1001.uをコピーして、別のデータの1001.txtと1001.uに上書きすると、1001に相当するキャラ(どのキャラに対応するか覚えていない場合、1001.uを無理矢理テキストエディタなどで開くと、冒頭に人名らしきデータが確認できる)がその他所からコピーしてきたものにすげかわる。1001以外のキャラをすげかえたい場合、1002.txtと1002.uなどにリネームしてから上書きするなどして適宜調節する。
 さらに、アリーナモードのセーブデータに入っているキャラ(同様に1001.txtなどで管理されている)をコピーして持ってくることもできる。
 アリーナなどで新規作成したキャラは、全員が1lvの状態でストックされ、前述したように成長した状態で他のアリーナやアドベンチャーにインポートすることはできないが、前記(steam版ならば、steamアプリが入っているドライブ)\SteamLibrary\steamapps\common\LowMagicAge\savesの中の「pcs」というフォルダの中に、前述のアリーナやアドベンチャーの別セーブデータから.txtと.uファイルを適当なファイル名に変更してコピーすると、成長後の(1lvをこえる)キャラをストックに加えることができる(ただし、アリーナでは、パーティー全体の経験値が管理されており、既にいるパーティーよりレベルの高いキャラをストックからゲーム中の操作で雇用することはできない)。
 アドベンチャーモードのレベル限界を超えるキャラを、アリーナや他のアドベンチャーからコピーして持ってくるとどうなるかだが、一応レベルは維持されるがそれ以上レベルを上げることはできない(レベルはmaxと表示され、次レベルの経験値が莫大な量となっている)ようである。
 また、前記した同じデータの「my_pty.txt」内には冒険者の1001などのIDが入っているので、unitsフォルダ内に他のキャラのデータがあれば(または適当なIDをつけてコピーして来れば)my_pty.txtのIDを書き換えることでもパーティーキャラを変更できる。
 ついでに言うと、ランダムイベントの難易度などはその時のキャラの強さに応じて生成されるので(すでに生成済のイベントはともかく)強いキャラにすげかえてもそれに合わせて難易度が高くなるだけで、チートとして見た場合の実用性はあまりないだろう。

・キャラデータの編集
 前記した1001.txt内に記載されているデータには、書き換えることで途中で変更できるものもある。例えば、「skl_pts=」は残りの技能ポイント、「aln=」はアライメントである。ただし、「init_abis=」の能力値の配列はキャラの「初期能力値」の配列なので、レベルアップしてから後のキャラのここを書き換えても現在値は変わらない(上げることはできない)。
 「last_cls=」は最前に上げたクラスで、これがPalやMnk以外になっていると(つまり、他のクラスを上げた後だと)PalやMnkを上げることができないというシステムに使用されているが、この値を書き換えることで、再びPalやMnkを上げることができる。例えば、Pal10/Ftr4にしたキャラは、「clss=8,10,1,4」となっており、Palの後にFtrを上げたのならば「last_cls=1」になっている(8がPal, 1がFtrを示す)。そこで、「last_cls=8」に書き換えれば、直前に上げたのがPalと同じ扱いとなり、Palを再び伸ばすことができる。
 一方で、キャラのデータには、上記した1001.uの方に入っているとおぼしきものも多く、こちらはテキストではなく別フォーマットで、簡単には編集できない。

 アリーナの各種データも、前記(steam版ならば、steamアプリが入っているドライブ)\SteamLibrary\steamapps\common\LowMagicAge\saves\arenaの中の、パーティーごとに「10000001」等のデータに入っている。このパーティーフォルダのunits内に前記したキャラデータが入っている。
 また、arn.txt内にはキャラ以外のデータも入っている。例えば、このテキスト内のtier=にはアリーナの挑戦のウェーブ、glory_pts=にはグローリーポイントが入っている。ゴールドは別ファイルで、my_pty.txtにパーティーデータと共に入っている。アリーナの戦勝数などはsteamの実績に関連するためあまりに変更するのは憚られるが、現バージョンでは初期に比べてグローリーポイントがあまりにも不足し、非エピックではマジックアイテム購入すらまともに開放できない状態になっているので、グローリーポイント等は編集したい人もいるかもしれない。








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