○OCのキャラメイク(初回プレイ時)


 NWN2の本体付属モジュール、いわゆるOCは、主人公一人をキャラメイクし、進めていくにしたがって次第にコンパニオンが加わり、パーティーを組むことができるようになっている。コンパニオンはNWN1と異なり自分で呪文の記憶や発動まで細かく操作できる。『バルダーズゲート』(BG)シリーズのNPCに近いといえる。


 ここで、(NWN2/3.5eの膨大な選択肢から)主人公をどのようにキャラメイクするか、初回プレイの入門者用(有用かは定かでない)情報を述べる。
 NWN2では、NWN1と異なりコンパニオンはプレイヤーが細かく操作でき、またBGシリーズ(妙に使えない人材等も混ざっている)よりも、一通り「基本的」な能力を持ったコンパニオン達が充実している。NWN1のようにあからさまに「ヘンチマン(NPC)は頼りにならないので単独前衛=重戦士系有利」というわけでもない。そのため、「主人公は必ずこのような種族・クラス・ビルドでなければ、○○能力の持ち主がいなくて困る」といったことはない。

 が、NWN2のOCでは(JRPGのイベントのように)メンバーが強制選択されて戦う場面なども少なくないので、一人で放り出されても詰まないためには、NWN2入門者はやはり前衛か、少なくとも物理戦が可能なクラスにしておくのが無難である。


 前衛では、PHB基本職にはファイター、バーバリアン、パラディンといったクラスがある(なお3.5eのレンジャーは厳密には前衛とは言い難く、初心者には奨められない)。
 それぞれ特殊能力やカスタマイズ範囲に差があるが、キャラメイクやレベルアップ時に初心者用の「推奨」ボタンを押すならどれでも構わない。このうち、(NWN1でも奨められるが)特殊能力が少ないので覚えやすく、最も強靭なのはバーバリアンである。様々なクラスが揃ったOCのコンパニオンにはバーバリアンはおらず、他と被らない。また、OC主人公はウエストハーバーという田舎出身であることがしばしばシナリオ内でも言及されるので、そのイメージにもバーバリアンは合っている。


 前衛以外の物理戦クラスというと、D&Dシリーズのクレリックの防御能力の高さ、特に3.Xeのクレリックの強さは定評があるところである。
 コンパニオンにもクレリックがいるが、(ネタバレを避けるが)参入がかなり遅く能力の癖の上でも色々と問題が多いため、標準的なクレリックとしては運用しにくい。そのため、主人公をクレリックにして補強するというのは定番の選択のひとつである。
 ただし、続編のMotBに入るとコンパニオンに信仰系クラスが2人入るので、OCとは一転して信仰系には不自由しない・激しく役割がかぶることになる。無論、不利になるというほどではない。
 一方、クレリック以外の聖職系はいずれもクレリックよりも防御に難があり、癖が強い。また、モンクは高レベルになれば前衛職を圧倒する近接戦闘能力を発揮するが、低レベルではかなり能力が低く、また能力があらゆる意味できわめて「難解」な職であるため初心者は避けるべきである。


 種族に関しては、強力な「レベル調整値(LA)」持ち種族は成長が遅れる。D&D3.Xeのこの成長が遅れるというのは、*bandや他の洋ゲーによくある、数十パーセント余計に必要といったものではなく、LAが+2=2lv遅れる種族なら、1lv->2lvになるのに2+2=4lv相当の経験を貯めなくてはならないのである。最初からある程度の強さのキャラクターで開始するならばともかく、1lvから開始するOCでは「1lv」の状態が非常に長く続くことになるため、ルールに慣れない最初はLA持ち種族は避けた方が無難である。


 ルールに慣れていない最初のプレイヤーは、マルチクラスや特技や技能の選択について戸惑うかもしれない。
 NWN1,2にはキャラメイクやレベルアップ時の「推奨」ボタンやパッケージという便利なものがある。把握できないうちは、「推奨」ボタンを押し、クラスは1本伸ばし、特技や技能や呪文は推奨されるものだけで全く構わない。たまにキャラシートを開いて、自分の持つ特技や技能の説明を読み、使い方を順次覚えるといい。
 ビルドのカスタマイズにより最適化した様々な能力のキャラや特殊な用途のキャラも作れるとはいえ、一本伸ばしでも充分に強力であり(基本的にルールはそれを基準に作ってある)少なくともOCは、最適化ビルドでないと歯が立たないほど難易度が高くはない。



〇種族選択 〜 クラスとの兼ね合い

 D&Dシリーズのキャラメイクでは、まず種族を決めてからクラスを決定する操作を行う。実際にプレイヤーがキャラ作成を構想する際には、その順番通りに、どんな「種族」をやりたいかを決めてからそれに合ったクラスを選ぶこともあるが、しかし一方で、まず「クラス」を決め、それに合った種族を選ぶ、という手順になることも多い。

 D&Dシリーズでは「クラス」が「職業」や「技能」という意味ではなく、その世界内でのキャラの最も大きな分類(役割)であり、キャラのイメージにおいて最も大きな部分を占めるため、「どんなクラスに向いているか」という考慮を抜きにしては種族の選択もできず、常に併せて考慮しなければならない。これが上記のクラスの方を先に説明した理由である。
 以下、まずは「クラス」の項目として挙げ、どのクラスのキャラを作るかを先に見極めてから、それに合った種族を選ぶ、という形で挙げていく。


・種族の「適性クラス」

 D&D3.0e, 3.5eの種族にはそれぞれ「適性クラス」がある。これは、3.Xe未経験者には字面からはほぼ必ず誤解を与えると思われるが、その種族が適性クラスについた場合にボーナスがある等ではない。これは「マルチクラス」した場合にのみ関わってくる。
 3.0e, 3.5eのマルチクラスのルールは非常にややこしく(Pathfinder等とは全く異なるので、ルール解説の箇所で述べたPfルールを見てもNWN1/2の把握の助けにはならない)、おそらく別の箇所で述べるが、ベースクラスに2lv以上の差があると(つまり「交互」よりも片方を突出させると)そのクラスがひとつあるごとに、獲得xpに20%のペナルティーがつく。ただし、上級クラス(プレステージクラス)は、xpペナルティーを計算する際には考慮されない。つまり、「1つのクラスだけ」を伸ばしていたり、「基本クラス+上級クラス」のマルチクラスなら、ペナルティー等は関係ない。

 そして、「適性クラス」とは、種族ごとに「このマルチクラスのペナルティーを無視できるクラス」である。適性クラスが「ファイター」のシールドドワーフは、もしマルチクラスをしていても、ファイターだけは突出して高かったり低かったりしてもペナルティーがない。適性クラスが「なし」の人間やハーフエルフは、一番レベルの高いベースクラスが自動的に適性クラスとなる。

 逆に言うと、ベースクラスのマルチクラスをしない場合、種族の適性クラスを選んだからといって、特に有利なことは無い。
 「1つのクラス一本伸ばし」や、「ベース1本+上級クラス」とだけマルチクラスするなら、どの種族でも、どのクラスにもなることができる。

 綿密なベースのマルチクラスを考えるならば別だが、おそらく一本伸ばし(+上級クラス)中心の初心者にとっては、適性クラスよりも、その種族の能力値等が目的のクラスに向いているかの方が重要である。


・レベル調整値持ちの種族

 種族にはLA(レベル調整値)のついているものがある。プレインタッチトは(デフォルトだと全種が)LA+1、ドラウがLA+2等である。これらは1lv時から特殊能力(特技)や能力値の良好な修正を持っているが、簡単に言えばLA+1ごとにキャラクターレベルが1レベル分の成長が「遅れる」。AD&D1st(初代PoR)や2nd(BGやIWD)のマルチクラスのように半分になったり、上記3.Xeマルチクラスの20%ペナルティーのようなものがついたり、AD&Dの特殊ルールやそれに影響された他のRPG(例えば*band)のように必要xpが何%増、といったものではない。

 例えば、仮に全員同じ経験値だとして、シールドドワーフ(LA0)のケルガーと、ウッドエルフ(LA0)のエラニーがキャラクターレベル5lvの時、ティーフリング(LA+1)のニーシュカは4lvとなる。OC序盤にこの3人が揃い、ニーシュカが1lvだけ遅れている現象が見られる(そしてNWN2の初心者のFAQでもある)。このとき、例えばOCのこの時点にMotBの仲間がいたとすれば、ハグスポーン(LA+2)のガンは3lv、ハーフセレスチャル(LA+4)のケイリンは(人間等であれば5lv分の経験を持っているにも関わらず)まだ1lvである。
 この後も例えば同じ経験値を貯めてレベルアップしていくと、同様の関係が続いていく。つまり、ケルガーやエラニーが20lvの時にはニーシュカが19lv, ガンなら18lvと、常に1-2lv(LAと同じ値)レベルが遅れた状態が続く。

 レベルアップが遅れるだけなら、余計に稼いだりレベル上げ等すればいいだけだ、とかJRPGのプレイヤーは思うかもしれないが、OC等はそう稼ぎ等ができるものではなく(なにげにSoZ等の稼ぎができるモジュールもある)進行具合に応じた困難が次々と襲ってくるため、進行(つまり、持っているxp)に相応の能力が無いと、延々と不利がのしかかってくる。
 それでも、戦士系や盗賊系の場合は、1lv遅れてもBAB(命中率)や技能ランクが1つ低いくらいで(それらが積み重なって最終的に強力なキャラとなるのだが)戦闘能力を補助する特殊能力や能力値で埋め合わせができることもある。しかし、キャスター系(特に秘術)の場合は異なってくる。キャスターのクラスレベルは他の能力では一切替えが効かず、エピック前ではクラスレベル2lv(使用できる呪文レベル1)の違いで、能力に雲泥の差がある(それはD&D系の、呪文レベル1ごとの膨大な呪文の種類を見ればおのずと明らかである)。特にNWN2はパーティー制なので、一人の成長が遅れることで、一人が弱いだけでなく、当然あるべきこの呪文が無いばかりにパーティー全員の能力が一切発揮できない、ということが起こる。故に、キャスターでは、たとえLA+1の種族でも選択は慎重になるべきで、ましてLA+2以上はよほど選択可能な事情(例えば、これまでよく述べてきているMotBのケイリンのように、エピック近くから開始等)がない限り避けられることが多い。

 成長が何lvか遅れるのは、初期lvほど影響が大きい。例えばLA+3のスヴァーフネブリンのキャラを作ると、人間やドワーフやエルフなら5lvになるときにようやく2lvになるということなので、例えば1lv開始で10lvで終了するモジュールであれば、前半通じてずっと1lvのままで、後半に入ってやっと2lvになる。以降は成長するスピード自体は同じだが、常に人間等より3lv低いレベルのままとなり、7lvで終了する。これでは故意の特殊プレイでない限り、モジュールの通常の進行を体験できるかは疑問である。
 LA持ちの種族を選択する場合、よく考えなくてはならない。

 もっとも、NWN2のOC本編の場合どうかというと、最初のチュートリアルのウェストハーバー収穫祭の競技で2lv-うまくやれば3lv(人間等LA0種族の場合)あたりまでの経験値が入る。なので、延々1lvということはなく、例えばLA+1の種族であれば2lvあたりから本格的に冒険開始となる。
 基本的には初心者にはLA0の基本種族をすすめたいところだが、OCは上記の収穫祭の分のレベルを期待すると、プレインタッチト等のLA+1までであれば、非キャスター系のクラスであれば興味をひかれたら考慮してみてもいいかもしれない。さすがにキャスター系やLA+2以上の種族は、この後の「遅れ」も考慮するとおすすめすることはできない。



○各クラスに向いた種族

 各クラスには重要能力値や、切ることのできない能力値があり、一言で言えば、それらにペナルティーさえない種族なら、どれを選んでもよい。ボーナスがある種族ならなおよい、と言いたいところだが、そういった種族は他に何らかの癖があり、クラスやビルドによってはさらに向き不向きがある。
 面白くない答えだが、人間は何でもできる。大きく不向きなクラスはなく、特技のボーナスは何をやっても有利である。
 以下はデフォルト種族(SoZまでの拡張を入れ、Hak等を導入していないもの)のみが選択肢としてのものを考える。
 また、以下は多くは「一本伸ばし」を想定しており、マルチクラスを想定していないので、種族ごとの適性クラスについては考慮していない。(適性が合わないとマルチクラス時に経験ペナルティーを被る場合があるが、一本伸ばしでは関係ない。)


・バーバリアンに向いた種族

 Bbnに要るのはStrとConのみである。Bbnはレイジ能力でStrが上がるので、それを活用できる(Strダメージボーナスが1.5倍になる)両手武器を持つ(両手では強打ダメージも2倍になる)等と考えていくと、Strに一点突破、という構想がよくある。Conも高い方がよいが、Strほどではない。
 Bbnシングルクラスだと、鎧の習熟が「中装」までしかないので、ACが低すぎないようDexを重視するPnPやNWN1のプレイヤーもいるが、NWN2では最終的に、重装と同じACで中装の熟練で着られる鎧(ミスラルプレートなど)も入手できる手段があるので、StrやConにつぎ込んだ方が良い。各種特技の前提としてDex13か、強いて言えばACがさらに増える14まで入れるか、完全に切るかである。
 Intについても特技の前提として考慮することになるが、ファイターより特技数は少ないので、Intは切る(Int10か、他の能力を上げたければマイナスにする)ことが多い。

 Strが高いといえばハーフオーク、Conが高いといえばシールドドワーフ、両方高い(ただしLA+1)といえばアースジェナシである。ただし、これらはいずれもChaが低い。PnPのゲームであればバーバリアンが交渉に立つようなことはまずないので関係ない話なのだが、NWN2のOCでは主人公しか会話できず、会話技能判定になることがよくある(この場合、Bbnなら〈威圧〉等の技能判定)。しかし、それらの判定に失敗し続けるというのも、らしいと言えばらしい。


・ファイターに向いた種族

 ここでは前衛・重戦士(DexよりStrを重視し、中〜重量の武器と重装の鎧)としてのFtrを考える。軽戦士や遠距離系戦士(4版で言う撃破役の物理系)はビルドが複雑になるので、NWN2やOCの初心者・初回プレイには薦められず、別の機会に述べる。
 前衛なのでBbn同様StrとConが重要だが、Ftrは大量の特技を習得するため、多くの特技の前提となるDex13及びInt13はほぼ必須となる(さらに二刀流にするとDex15等が推奨されるが、これは軽戦士ビルドに関わるのでやはり別機会に回す)。重戦士であればACにDexボーナス+1までしか反映されない重装鎧を着る機会も多く(Bbnで述べたように軽い重装鎧も存在するが、ドラゴンスケイルのような最高級の鎧には重いものが多々ある)Dex13をこえる必要はない。
 種族にもよるが、Ftrキャラの作成中、推奨ボタンを押してお手軽(初心者向)キャラメイクをしていると、IntやDexが13を下回って割り振られることがあるので、注意を要する。そもそもFtrは「全推奨ボタン」の初回プレイや初心者ではなく、少しはルールに慣れてきた頃の方が良い。

 よく誤解されるが、3.Xeにおいてはいわゆる脳筋(もょもと)枠は上記のBbnであり、Ftrの方はあらゆる戦闘行為に関わる技術に通暁した達人・玄人である。身体・技巧・知性いずれも全面的に高い能力を持っていなければ勤まらない。(OCの仲間Ftr、ケルガーはIntが10で多くの特技に前提が足りず、キャラも明らかに脳筋枠だが。)

 デフォルト種族のうち、StrやConにペナルティーがなく、さらにDexとIntにもない(こちらは必須というわけでもないが)種族となると、Bbnよりかなり限られてくる。例えばゴールド・ドワーフはDexが-2なので、シールド・ドワーフほどはFtrには向いていない(Dex13は《回避》特技の前提で、Ftrからドワーブン・ディフェンダーになるにも必要である)。ファイアジェナシはInt+2があり、適性クラスもFtrだが、Int13までしか必要ないFtrでLA+1を払うほどのメリットかというと疑問もある。さらにエアジェナシはDexとIntに+2があるが、むしろDexとIntをより重視する軽戦士向きにも思える。
 人間以外では、特に重戦士Ftr向きというとやはり定番のシールド・ドワーフが挙げられる。


・パラディンに向いた種族

 Palは結果的にBbnやFtrと傾向がまるで異なってくる。前衛系であるのでStr, Conが低くできない(極端に高い必要はない)のは無論として、Chaがありとあらゆる能力に影響するので、1点でも高い方がよい。そのため、当然ながらChaにペナルティーのある種族(ドワーフやノームの一部亜種族、ジェナシ等)は避ける必要がある。ハーフオークのPal(BGEEのドルンのようなブラックガードも)は逆に恰好良いが、相当に割り切ったビルド思想を要し、そう簡単に手を出してよいものではない。
 Pal呪文にはWisが関係するが、それほどウェイトは大きくなく、NWN2ではアイテムでWisを上げて呪文能力を補足できることもあって、少なくともWis14をこえて割り振る必要はない。Wisは完全に切られることもある。また、取得できる特技も多くなく、Pal専用特技以外を取っている余裕はないので、多くの物理戦特技の前提のDexやIntも思い切り切ることが多い。

 NWN2にはChaにペナルティーのある種族が非常に多く、Palの種族選択はLA持ちを入れてすら、きわめて限られてくる。デフォルトでChaにボーナスがある種族はアアシマール(LA+1)、ドラウ(LA+2)、及びユアンティ・ピュアブラッド(LA+2)だが、ドラウは他能力が(というか設定上も)パラディンに向いてはおらず、他の2種族もレベルが遅れることと引き換えにできるかは一考の余地がある。
 アアシマールのLA+1と、Wis+2, Cha+2と他の特殊能力は、人間やゴールド・ドワーフといったLA0でCha+0の種族とどちらを採るかの悩みどころである。


・クレリックに向いた種族

 ここでは前線に立ち、補助呪文で能力を補強し、適度に他の呪文も使うデフォルトクレリックを考える。後列で飛び道具や呪文攻撃を行うビルドも(Clrの多様さから)普通に可能だったりするが、それは他の信仰系クラスにも関係するので別の機会に回す。
 Clrの呪文に最も必要なのはWisであり、前線に立つならばStr, Conは切ることはできず、ターンアンデッドや信仰特技にはChaも必要と、何でもできるクラスなだけ、欲張るときりがない(Dex, Intは低めにせざるを得ない)。が、補助や治癒の呪文をメインにすると考えると、敵にかける(セービングスローを強要する)機会が秘術系やドルイドらより少ないため、Wisは極端に高い必要はないともいえる。作成時にWis15にとどめ、4lvごとの能力上昇で毎回Wis+1すれば、16lvでWis19に達し、17lvの呪文レベル9が使用可能となる。Wisが高いに越したことはないが、Wisボーナス付き(NWN2デフォルトでは、LA持ち種族しかいない)種族を無理に選ぶ必要はないともいえる。

 Str, Con, Wis, Chaにペナルティーがない種族は限られている。パラディン同様の人間、ゴールドドワーフ、アアシマールのほか、ハーフエルフやハーフドラウ(人間の特技や技能に比べてメリットが少ないのであまり選ばれないのだが、能力値が平均的な種族という数少ない選択肢である)、なぜかワイルドエルフ(Conペナルティーがない唯一のエルフ、Clrにメリットは特にないがデメリットもない。エルフ武器習熟のためロングソードやレイピアが使える)といった、並べると妙な顔ぶれになる。このうち、アアシマールはWis+2とCha+2があるが、キャスター系ではLA+1の1lvたりとも遅れは深刻なので、パラディン以上に悩むべきところである。

 しかし、ターンアンデッドや信仰特技は諦め、特技を戦闘系や呪文に傾けるとすれば、Chaを最初から切ってしまう(マイナスでいい)こともできる。こうなると、シールドドワーフやハーフオークも選択肢に入ってくる。Clrが適正クラスであるにも関わらずChaペナルティーがあるグレイオークも、こうした割り振りの上での考慮になると思われるが、LA+1であることは熟考する必要がある。スヴァーフネブリンもWisに+2があるが、LA+3がキャスターに著しく不向きであることは言うまでもない。


・ウィザードに向いた種族

 NWN1であれNWN2であれ、OC等の公式モジュールの初回プレイは前衛可能なクラスが向いていると当サイトにも書いているし、海外の攻略サイトにもしじゅう書いてある。しかし、日本のプレイ日記等を見るとD&D系ゲームの新規プレイを決まって毎回ウィザードで始めているだの、NWN2をいきなり秘術系魔法戦士で始めているだのといったプレイ記録が、やけにあちこちにある。特に日本のD系ゲーマーにはウィザードの人気は(前衛やクレリックよりも)高いが、その理由についてはなんとなくわかる。(なお、「D&D系は戦闘能力においても秘術系が最強」という喧伝が、日本の旧版「TRPG」プレイヤー中心に非常に多く、NWN1/2初回プレイ者にも鵜呑みにされている場合があるが、日本のAD&D2ndの和訳されていた非常に限られたルール(武器技能が2段階までしかない等)が前程であったり、BG2のきわめて特殊なレギュレーションや状況にしかあてはまらない話だったり、海外のNWN2の話題でもビルドの話は実はPvP対戦の話題だったりすることも多く、NWN2のOC含めて多くのモジュールにはあてはまらない。)当サイトでは、初心者のソロ秘術キャラは推奨はしないが、特に止めもしない。

 信仰系の術者クラスがばらけた能力を持っているのに対して、Wizの能力はほぼ全てIntに依存する。鎧の薄さや、呪文が尽きて飛び道具を使う時のため、Dexも全く役に立たないわけではないが、つぎ込むほどではない。そのためIntの一点に集中したいところだが、実は、Intに劣らず重要なのはConである。Intのように1点でも高くというほどではないが、Intとの兼ね合いの許す限りは、Int以外は全部削ってでもConを確保する必要がある。
 Wiz/Sorのヒットダイス1d4(NWN1/2では設定にもよるが、NWN2デフォルトではヒットダイスごと最大値なので、レベルごと4hp。つまり信仰系術者の半分)というのは、3.Xeのゲームバランス上はかなり危険な低い値である。OD&DからAD&D、3.Xeでハイパワーになっていくにしたがって危険度が上がってきた弊害である。(これは同様にルールが拡大してきた*bandにおけるきれもの+知力特化種族が結局術者系クラスには危険になってしまっている様相、さらに手っ取り早くはDQ6で大魔女の末裔バーバラの職選びで魔法使いにすると元の打たれ弱さにHPマイナス補正で死にまくる定番地雷選択を思い出させる。)3.0eの元デザイナーのモンテ・クックも、Wiz/Sorの1d4というHDはあまりにも低すぎ、Wiz/Sorが生き残るために他クラス以上にConを高くしているという明らかな本末転倒状態(Wiz/Sorが他クラスよりも健康でお肌ツヤツヤ)について苦言を呈しており、D&D5版や、3e系d20でもPathfinderなどではWiz/SorのHDが1d6に上がっている理由でもある。

 ともあれ、NWN2では5版でもモンテd20でもPfでもなく、3.5eである以上は、WizのConはできるだけ高くしなければならず、Conにペナルティーのある種族は著しく推奨されない。
 「エルフ」はウィザードが適性クラスであり、世界設定でも、旧版含めて多くのゲーマーの通念でも、Wizに最も向いた種族、Wizがお約束、ということになっている。しかし、3.XeのPnPゲーマーには常に言われてきたことだが、(ワイルドエルフを除き)Conにペナルティーがあるので、Wizクラスには全く向いていない。OCのキャラではサンド(デコロンド)がムーンエルフのWizだが、Conが12しかなく、ロード・ナッシャーに貰ったリザレクションロッドを全部デコロンドのために使い切った、といった報告は多数ある。筆者は初回プレイからクラフトでブーツオブストライディング+8(Con+8)を作り、前衛より優先してサンドに履かせていた。なお、エルフ亜種族でもワイルドエルフのみConにペナルティーがないが、Intにペナルティーがあるので当然Wizには向かない。

 3.5eでは(3.0eのNWN1と異なり)ロック・ノームは適性クラスがWiz (Illu)ではなくなっているが、Con+2があり、いまだに幻術への適性が残っているため、Wiz候補としては依然として優秀である。
 なお、いくらIntやConが高くとも、初回プレイで秘術系術者について、LA持ち種族を選ぶのはきわめて無謀である。特にドラウ(LA+2)は適性クラスがWizだからといって選ぼうものなら大変なことになる。止めはしないと書いたが、さすがにこれは止めざるを得ない。


・ローグに向いた種族

 NWN2(3.Xe)のローグは初代PoR(AD&D1st)やBG(2nd)よりは強くなっているとはいえ、クラス単独では軽戦士や撃破役が務まるほどではなく、初心者やOC等の初回プレイには必ずしもおすすめできない。が、なにせここは「RogueLike」サイトであるし、どうしても(あるいは事情があって)やりたいというなら止めはしないので、一本で伸ばす場合の話をする。

 実の所、ローグに致命的に不利な種族というのは少ない。「ローグの技能」としてはDexを要求される技能が多いので、一応Dexをプラス修正にしておいた方がよいのは無論であるが、それ以外については、技能ポイントが潤沢で、選択肢も広いので、得意な能力にだけ技能をつぎ込むことも可能である。例えば、魅力が高いローグは交渉系や魔法道具使用につぎ込むことができるし、魅力が低ければ(実際、ローグが適性クラスでも魅力ペナルティーのある種族がある)それらは捨ててDexやInt準拠の技能を延ばすだけでも充分に有能なローグとなる。Strの腕っぷしが強ければそれはそれで有用である(ただし、繰り返すが、1本伸ばしでは純粋な戦闘能力はそれほど強くはならない)。かつてAD&D1stでは、どんな種族であってもシーフだけは最大lvまで到達することができ、シーフというクラスの種族適性を問わない多面性を表していたが、奇しくも3.Xeではそれと全く違うシステムによってローグの適応が示されているといえる。

 Dexにボーナスのある基本種族といえばハーフリングだが、Strが低いと前列は無論のこと後列でも戦闘面の能力がさらに下がることは留意する必要がある(Str修正がプラスでも、弓にマイティーがなければダメージにボーナスがつかないが、Str修正がマイナスの場合は、マイティーがあろうがなかろうがペナルティーがつく)。エルフはConがマイナスなのでほぼ後列ローグ専用であるが、視覚系の特殊能力は(適性クラスのウィザード等でなく)むしろローグ向きのものが多い。
 LA持ちの種族は、ローグの場合これまで述べてきた他職ほど不利とは限らない。成長が1lv遅れで技能が1ランク落ちるだけなら、LA持ちの他の強力な能力(例えば対応能力値が2高いとか)でカバーできることもあるからである。が、例えばDexが高いだけならLA0のハーフリングやエルフでもいいとか言ってしまえばそれまでである。



・ウォーロックに向いた種族

 ベースクラス解説でも書いたがウォーロックは砲台としての運用がソロ向きでないというだけでなく、(ユーザーhakなしのデフォルトでは)システム実装上様々な問題を抱えており、このサイトではOCファーストキャラ等の初心者にはおすすめできない。が、それでもやりたいなら止めはしないので、あえてウォーロックを選ぶ場合、どの種族が適切かを述べる。
 また、以下は中〜後列から怪光線砲撃を行う典型的などどん波ウォーロック、砲台型を想定したものである。魔法戦士型や、妖術による状態異常を連発するビルドもありえないでもないが、ある程度知識と工夫が要るので別の機会にする。

 NWN2での直接の出典である3.5eのComplete Arcane(邦訳『秘術大全』)でも、ウォーロックは(先祖などの)他次元界との繋がりに由来する点、ティーフリングやハーフフィーンドに適性がある(ウォーロックの全員がこれらではないが、最も強力なウォーロックはこれらから生じる)等と説明されている。4版のPHBでも、地獄又はフェイワイルドとの繋がりに由来するとある。そのため、「ティーフリング」が真っ先に候補に挙がると思われる。
 が、ティーフリングはChaにマイナス修正があるので、ウォーロックにはかなり向いていない。怪光線の遠隔接触攻撃はDex準拠なのでティーフリングのDexボーナスは良いのだが、妖術の抵抗判定はCha準拠となる。純然たる呪文的な妖術だけでなく、怪光線の修正妖術による付加効果(減速など)は砲台型のウォーロックにはかなり強力で重要なので、これが抵抗されやすいと物足りない。
 同様の理由で、これも「魔の血筋」と思われがちなジェナシも向いていない。(というかPnPのその他の種族でも、いかにもイメージ的にウォーロックに適合しているように見える「謎の血筋を引く」プレインタッチトは、ゼニスリーやケイオンドなども大抵はChaにペナルティーがあるので向かない。)こういうデスクリプションとデータに乖離があるのは、3.Xeには非常によくあることである(なお4版以降は改善され、ティーフリングはウォーロックに適合するようになっている)。

 DexとChaの両方が高い種族が望ましいということになるのだが、両方にボーナスがある種族はNWN2のデフォルトではドラウしかいない。LA+2ということは、デフォルトのLA0の種族に比べると怪光線のダメージが1d6減るということで、他のキャスタークラス(呪文レベルが丸ごと1lv遅れる)ほどには致命的とはいえないと考えるかそうでないかというところである。
 そこで、DexとChaのどちらかが高い種族を探してみるところだが、どちらかというと、怪光線の毎回の命中に影響するDexが重要で、Chaはペナルティーがなければ我慢するところである。Dexにボーナス、Chaにはペナルティーがない種族を探すと各種ハーフリング、各種エルフとなる。このうち、絶望的にイメージに合わないが、ハーフリングが割と向いていたりする。ウォーロックは毎ラウンド怪光線を放てるので、飛び道具すらも使う機会がほとんどなく、体格が小型だろうがStrが低かろうが、何も支障がないためである。
 一方、Chaだけ高いのはアシマール(LA+1)やユアンティ・ピュアブラッド(LA+2)があるが、LAとあわせると高Dex種族や、LA0の人間やハーフエルフ等より大きなアドバンテージはないかもしれない。



・ソーサラーに向いた種族

 ソーサラーに関しては留意する点はウィザードのIntがChaに置き換わっただけで同じである。すなわち、Chaが必須だが、クラスLvが重要なキャスターなので、多少の能力値のボーナスよりもLAが無い種族を優先すべきである点、またConが低くならないよう(SorはWizと同じで、ヒットダイスは1d4でhpが危険なほど低い)留意する必要がある。NWN2のデフォルト種族には、ChaにボーナスがあってLAが0の種族というのは無いので、LA0でChaとConが低くならない種族から選択することとなる。
 なお、ウォーロックの箇所で書いたのとほとんど同じことが言えるが、ソーサラーは来訪者やドラゴン等の血筋を引く等としばしば説明されるにも関わらず、フィーンドの血を引く種族ティーフリングはLA+1で、しかもChaにペナルティーがあるのでまるで向いていない。また、ジェナシも、PnPにも一見ソーサラーに適性がありそうな記載があるが(例えば、3.0e FRCSのカリムシャンの創始者ジンニーの子孫らの記述や、公式NPCのアンサーのニンガルなど)ジェナシもティーフリング同様いずれもLA+1でChaにペナルティーがあるのでぜんぜん向いていない。アアシマールはWisとChaに+2があるが、Wisは特に生かせるでもなく、またLA+1はWiz,Clr等よりさらに呪文習得が遅れるSorには厳しいので悩むところだろう。

 ウィザードの箇所では、サンエルフ、ムーンエルフやドラウが、適性クラスであるウィザードには向いていない旨を書いたが、ソーサラーが適性クラスであるワイルドエルフについては、エルフでは唯一Conにペナルティーが無いので不向きではない。とはいえ特にメリットもなく、多くのLA0でCha, Conにペナルティーのない種族(人間、ハーフエルフ、ハーフリング)と同程度である。ウィザード同様、Conにボーナスのあるロック・ノームが割と優秀である。また、Dexも無いよりはあった方がいいが(遠隔接触攻撃やAC等)必須ではないので、上記のLA0の同程度適性の種族のうち、Dexボーナスのあるワイルドエルフやハーフリングと、ない人間やハーフエルフのどちらかは好みの問題といえそうである。


・モンクに向いた種族

 モンクはたとえ一本伸ばしでも初心者向けでないことは他でも繰り返している。明らかに前衛だが、戦闘能力は決して高くなく、特殊能力(というか特性)が多く、元ルールのPnPやマルチプレイでは、単に戦うのではなく仲間内で特殊能力を生かした立ち回りを考える必要があり容易ではないためである。俗に「16-20lvに到達してようやく人並み」と呼ばれる大器晩成も辛い。
 が、NWN2のOCでは(難易度の低さもあって)無理に立ち回りを考えずとも他のコンパニオンの前衛に混ざって戦っていれば充分といえば充分であり、やがてはNWN1のHotUのグリムノー先生の超俊足瞬殺を夢見てゆっくりMotBまで育てようというならば、特に止めはしない。
 以下はStr重視、素手攻撃で、Mnk一本伸ばしを想定する(戦闘能力だけならDex重視でカマ二刀流の方が強いが、特技の確保からFtrなどを混ぜることになり、またビルド完成にさらに高レベルを要するので、両刀オカマ衆道僧など他記事を参照されたい)。
 素手攻撃について、小型種族は素手攻撃自体のベースダメージダイスが落ち、またNWN1/2の小型種族のノームとハーフリングはいずれもStrにペナルティーがあるので避けたいところである(なお、オカマ僧の場合は小型種族にそれなりのメリットがあるなどまた違ってくる)。
 素手Mnk一本はクラスlvによる素手ダメージの増加や特殊能力が多いので、クラスlvが重要であり、したがってLA(レベル調整値)付きの種族は避けたいところだが、純キャスターほどカツカツな話ではなく、好みにもよるがLA+1程度なら他の能力との兼ね合い次第というところである。必要能力値としては、Mnkは多くの能力値がまんべんなく高い必要がある。Strが優先だが、鎧が着られないのでACを上げるDex, Wis(Mnkの場合ACに影響する)、無論耐久のためのConも高い方がよく、それほどStrだけを高くはできない。一方、Chaは特に要さない。Intについては、特にPnPでは他の前衛と違う局面で活躍するためには技能を重視すべきという意見もあるが、NWN1/2では技能の種類が少なく、技能で活躍する機会自体も少ないので、低めにしてもよいと思われる。

 これらをあわせて考えると、特技を重視するなら人間の他、Chaが低いがConが高いシールドドワーフ、Cha, IntのかわりにStrが高いハーフオーク、IntのかわりにDexが高いワイルドエルフ(なぜか)などが適性がある。LA+1の種族では、Cha,Intが低くStr,Wisが高いグレイオークに一考の余地がある。Wisが低いがStr,Conが高いアースジェナシや、Conが高いウォータージェナシ、グレイドワーフは特殊能力を含めた価値とLA+1との考えどころである。



・バードに向いた種族

 バードはモンク以上に初心者向けでなく、上記のやりたければ止めはしないと書いたクラス群とは異なり、初プレイ等ではいささか危険に思われる。以下はある程度は純前衛・純後衛クラスでゲームに慣れたが次はバードも試そう、という入門者くらいが対象である。
 というより、そもそも初心者や入門者にはバードがどんなクラスか自体が把握できないかと思われるので、ルール解説で詳しく述べることになるかと思われるが、万能(器用貧乏)職で、前衛も後衛もどちらもこなせる。こなせるというが、どちらに重点を置いてキャラメイクするかは決めておいた方がよい。そして、どちらで作るかで向いた種族も決まってくる。
 鎧が軽装で秘術呪文使い、HDも低めなので、一見後衛の方が向いているように見える。つまり、戦闘中は飛び道具や呪文や鼓舞・歌だけを用い、また技能の使用機会に重点を置くタイプである。コンパニオンのうちOCのグロブナーや、SoZのフィンチは思い切りよくこれらに特化している。当然、その場合はできるだけCha、ついでIntやDexが高い種族が良い。
 しかし、NWN2では飛び道具は弱く、呪文も専門クラスほどではなく、技能も(PnPに比べると)使用機会も少なくRogには能力は劣るので、「OCの主人公」の選択としてはどうも物足りないかもしれない。ちなみにBGシリーズで後衛かつサブメイジとして運用していたD&Dゲーマーが多いと思われるが、AD&D2ndと3.Xeでは呪文のレパートリーがまるで異なるので、メイジ(Wiz/Sorの補助)としての運用は全くできない。
 そこで、Brdとしても人気があるのはむしろ「前衛」としてのビルドである。一見前衛としては貧弱に見えるのだが、3.5eのNWN2は、3.0eのNWN1や2ndのBGに比べるとかなり有利な面(鎧や武器の習熟など)が多くなかなか戦える。一人で壁が務まるほど強くもないが、壁に混ざって前に出ようとしたら轢殺されるRogほど弱くもない。さすがにClrやDrdほど強靭ではないが、ClrやDrdのバフ呪文とBrdの鼓舞などが累積するという利点があるため、パーティーにClrやDrdが他にいても存在感がある。
 この場合、Chaに激振りするべきではなく、まんべんなくStr, Conなども各ボーナス+2(能力値14)程度あった方がよい。またDex偏重で軽武器・武器の妙技を使うよりは、StrとDexを均等にして重い武器を使った方が少ない特技で安定する。Chaが低いプレインタッチトの一部、シールドドワーフ、ハーフオークやグレイオーク、Dexが低いゴールドドワーフはBrdとしてはやはり避けるとして、また前衛としてはStrが低いノーム(3.5eではBrdが適性クラスだが)やハーフリング、Conが低いエルフなどを避けると、結局は人間やハーフエルフなどの平均的(器用貧乏的)種族が残る。Str, Int, Chaがどれも高いユアンティピュアブラッドでもいいが、LA+2で成長が遅れhpが伸びず撲殺されることがあるのでこちらはむしろ後衛Brd向きかもしれない。



・レンジャーに向いた種族

 D&D系CRPG(NWNシリーズに限らず)の最多のFAQのうちひとつが、「レンジャーを選べばアラゴルンやドリッズトのような活躍ができるキャラが作れますか」というものであり、もうひとつが「既に選んでしまったけど割とどうしようもない状態なんですがコレなんとかならないんですか」というものである。
 他の記事にも書いているが、アラゴルンをモデルに作られたのがAD&D1stのRng(戦士系の能力全てに盗魔僧の能力を全て少しずつ持つ完全上位互換)であり、その1st準拠で書かれたのがドリッズトである。しかし、以後の版(AD&D2nd以後)のRngは大幅に弱体化された上に根本的に別物となっており、AD&D1st以外ではアラゴルンやドリッズトははっきり言ってまず不可能である。NWN2の3.5eでは、2ndや、明らかにデザイン失敗といえる3.0eよりはやや整理されてはいるが、活用・活躍するにはビルド、運用共に困難を極める。が、どうしても「レンジャーという名前のクラスだけでもやりたい」というなら、選択肢は示す。
 まずは、どの種族が向いているかというより、Rngで一体何をやりたいかという問題になってくる。RngはNWN2では(Hakなしのデフォルトでは)「弓か二刀流」のどちらかのスタイルを選べるが、Rng一本伸ばしの弓の攻撃力は、急所攻撃がなければ下手なRogを下回るといったものである。二刀流の近接タイプであれば、攻撃力自体は低くないが、ヒットダイスも低く鎧も軽装なので耐久性が大きく劣り、二番手どころか、豊富なバフが得られる信仰系に劣る、三番手にすらなりかねない。実際は、この弓や二刀流(手数)と、技能(特に屋外)を組み合わせた利点を最大限に生かすというのがNWN1/2のRngの理想的な運用なのだが、(OCを含めて)Rngの技能の運用を充分にサポートしたモジュールは非常に少ないといえる。結果、戦闘能力でできるだけましになる方向性を探るしかないが、一応、この中では戦闘能力が高めになる二刀流の近接を前提として進める。
 Rngの二刀流技能は、クラスlvが上がると(Dex値が足りなくとも)二刀流技能が上がっていくが、反面、軽装鎧(高Dexに親和性がある)でないと機能しない、という相反する特性(ここも微妙に3.XeのRngのデザイン思想に疑問を感じる点)がある。ここでStrとDexのどちらを重視するかだが、Dexを上げて《武器の妙技》特技で軽い武器の命中率を重視するよりは、Strを上げて命中、ダメージを重視した方が効率は良く、妙技分の特技も節約できる。ただし、軽装鎧なのでDexが低すぎると危険である。なお、呪文能力はWis依存だが、Rngにそれほど有用な呪文はないので重視する必要はないというか、呪文自体を切っても(Wisを思い切り下げても)構わないようにも思われる。
 これを踏まえて向いた種族を考えると、StrやDexにペナルティーがない種族が向いており、できればボーナスがある方がよい。ここでウッドエルフ(適性クラスもRngである)はStr、Dexともにボーナスがあるが、Conにペナルティーがあるので、前述したようにHDが低めで鎧も薄いRngには微妙なところがある。Dexにボーナスのワイルドエルフ、Strにボーナスのハーフオーク、Conのみだがボーナスのシールドドワーフなどは向いている。グレイドワーフ、ファイア以外のジェナシ(アースはStr,Conにボーナス)、ユアンティピュアブラッド、グレイオークもLAが+1以上だが、これらにボーナスがある。LAが高い種族は(キャスターほどは)不利ではなく、多少レベルが遅れても能力値の高さの方が頼もしいという傾向になるが、Rngのヒットダイスが高くないため、キャラクターlvが遅れると前衛としての耐久力が不足するので考えどころである。LA+1だがStr,Conにボーナスのアースジェナシは(Mnkや戦士系のいずれにもだが)悩ましい種族である。くどいようだが金髪エルフ狙いのサンエルフ(Str,Dexにボーナスなし、Con-2)や、何をとち狂ってもドラウ(ダークエルフ)(Dex+2だがCon-2,LA+2)など選んではならない。



・ドルイドに向いた種族

 ドルイドはできることがかなり多く、全て把握することが難しいので初心者向きではなく、また、NWN2のOCではエラニー、SoZでもウモジャがいずれも最初期に加入するため役割がかぶるかもしれない。一方、把握した経験者であれば、バードやレンジャーのように中途半端でもなく一様に能力の水準が高いため、ソロプレイ、例えばNWN1のプレイヤーキャラとしては面白みがあった、という側面もある。ゲームに慣れてから、OCやSoZ以外の特にソロモジュールをプレイする際に選択肢としてみてもいいかもしれない。
 Drdは近接、遠距離物理、呪文、技能のどれかに特化しても、また全てやろうとしても何とかなるクラスで、どれかに特化しようとすれば単純にその対応能力値を高めにすればよい。呪文に関連するWisが低い種族(-2修正のエアジェナシ、アースジェナシ)やLAが高すぎる種族以外は、不向きな種族は特にない。近接、呪文等の目的にあわせてそれらが得意な種族を選んでもよいし、種族の長所を伸ばすように特化してもよいのだが、一見向いていない種族でもなんとかなることもある。
 例えば、近接を考えると、鎧は中装だがClrとは別の防御バフ(バークスキン、ストーンスキン)が揃っているのでそれほど脆さを感じることはなく、Clr同様の前線に出て適度に呪文を使う構想が考えられる。この場合、近接向きの能力値がまんべんなく高い必要があるが、Clrと違ってChaが必要となる機会は少ない。また技能ポイントも高いがIntと技能担当は諦めた方がいいかもしれない。そうすると実は、前述したMnkと特性がよく似ている。人間などの平均種族の他、Chaが低いがConが高いシールドドワーフ、Cha, IntのかわりにStrが高いハーフオーク、IntのかわりにDexが高いワイルドエルフなどである。やはりキャスタークラスなのでLA+1以上の種族は避けた方がいいが、あえて考えると、Wis+2でLA+1となるとアアシマールとグレイオークがいるが、アアシマールはWisの他特に要らないChaにボーナスなので、LAの価値があるかは難しい。グレイオークはStr+2, Wis+2, Int-2, Cha-2なので、近接ドルイドに有効であり、考慮の余地はある。
 一方、後列から飛び道具や呪文をメインとする遠距離ビルドを考えると、前衛向きのStrやConはそれほど高くする必要がない。さらに、禅弓道(弓禅一如)特技を取ってWisで命中判定ができるようにすると、Wisに特化すれば遠距離物理と呪文の両方がこなせるようになるので、Dexもそれほど高い必要はない。呪文を重視するとWisペナルティー種族やLA有り種族は近接狙い以上に避けた方がいいが、それ以外ならば、かなり選択肢は広い。
 無論、デフォルト種族にはDrdが適正クラスの種族はいないため、プレステージ以外のマルチクラスをする場合は注意する必要はある。



・フェイヴァード・ソウルに向いた種族

 フェイヴァード・ソウルは「呪文を記憶せず、ソーサラーのようにその場で任意発動するクレリック」である。ソーサラー同様習得できる呪文の種類が少ないが、呪文スロット(MP)が多いので、初心者は多数の呪文について覚えなくていい(治癒呪文が主になると思われる)、Clrより「勇者」や「聖女」のようなイメージに近いので日本のファンタジー的にとっつきやすい、といったメリットがある。一方、呪文リストの問題から後衛ではあまり活躍できず(CLR系リストは後衛として敵に影響を与えるものが少なく、また領域呪文がないので補うこともできない)、おそらく前衛を目指すべきだが、Clrや戦士系よりあからさまに非力で(鎧が中装な上、習得呪文の種類が少ないので、Clrのようにバフで攻防を底上げすることが難しい)前衛としてもあんまり強いとはいえない。とはいえ、OCはそれでクリア困難になるほど難易度は高くはない。またOCではコンパニオンに信仰術者が足りないことに悩まされ、続編のMotBでは信仰術者はいるがフェイヴァード・ソウルはおらずかぶらない。そのため、プレイしやすさからOCやソロモジュール用のキャラに選んでもいいかもしれない。
 フェイヴァード・ソウルは呪文数がChaにより、相手が呪文を回避(セーブ)する際の難易度がWisにより決まる。そのため両方高いに越したことはないが、CLR系呪文リストの性質上、さらに習得できる呪文の種類が少ないので、「相手にセーブさせる呪文」自体を詠唱する機会がかなり少ないとみてよい。となると、Wisの方はそれほど高い必要はない、ということになる。なんなら切ってしまってもよく、Chaの方を重視すればよい。ただし、デフォルト種族ではWisにペナルティーのある種族(エアジェナシ、アースジェナシ)はどちらもChaにもペナルティーもあり、これらは選択肢にはなりにくい。
 Chaがプラス修正の種族はアアシマール、ドラウ、ユアンティ・ピュアブラッドがあるが、LA(レベル調整値)は+1〜+2である。他のキャスターほど早いレベルアップが要求されるわけではないが(治癒呪文さえ一定数唱えられればいい、という程度なので)ただでさえ非力でもあるので、あまりLAが高く成長が遅れる種族は選びたくはなく、せいぜいがLA+1のアアシマールのWis+2, Cha+2を目当てにするかしないかであろう。それ以外は、Chaにマイナス修正がなく、前衛狙いであまりペナルティの厳しくない種族を選べばいいが(人間、ゴールドドワーフ、ワイルドエルフ、ハーフエルフ)似たり寄ったりで大差がない。



・スピリット・シャーマンに向いた種族

 ルール解説でも書いたが、スピリット・シャーマンとは設定上は(及びPnPの元ルールでは)ややこしい面はあるものの、要は「ドルイド版ソーサラー」こと、「DRD呪文リストを任意発動する術者クラス」である。特殊能力は多いが、ドルイドのように能動的なものが少なく、また近接用の特技が貧弱(単純武器、軽装鎧)なので、ほぼ後衛キャスターのクラスといえる。
 DRD呪文リストは、攻撃・防御・治癒系が適度に揃っており、任意発動クラスは習得呪文数が少なく呪文スロット数が多く、覚えることが少なく能力を行使できる機会が多いので、(ClrやWizほど「強い」わけではないが)プレイしやすい面もある。なお、公式キャンペーン(OC)からMotBまで通してプレイする場合、コンパニオン(旅仲間)にはOCにスピリットシャーマンでかぶるキャラはいないが、MotBではガンがいるため留意した方がいいかもしれない。SoZの旅仲間(Cohort)にはスピリット・シャーマンはいない。
 キャラメイクの特性は、前述した、Drdを後衛向きでキャラメイクする場合によく似ているだろう。ただし、呪文発動能力値は、呪文数がWisで、相手が呪文を回避(セーブ)する際の難易度がChaで決まる。なのでWisが最優先で、Chaも高いに越したことはない。フェイヴァード・ソウルでは敵のセーブ難易度を下げる方の能力値(Wis)はさほど重要でないと書いたが、一方、スピリット・シャーマンのDRD呪文リストには相手にダメージを与える等のセーブを強要する呪文がかなり多いので、敵のセーブ難易度に関連するChaは、完全には切ることはできない。ただし、Drdと異なり後衛専門で技能もさほど重視しない場合、前衛能力やIntにはさほど高い値が必要がない。後衛ならば信仰系でヒットダイスが高めなので、耐久性に不足を感じることは少なく、さほどConにもこだわる必要はない。そのため、WisとChaを両方ある程度の値にする余裕はあると思われる。後衛ならば、ドルイド同様、DexのかわりにWisで命中判定が行える弓禅一如(Zen archery)特技(BAB+3が必要なので4lv以降、取得はおそらく6lvだが)を狙うのも手である。
 どの種族を選ぶかだが、キャスターならLAはできるだけ0の方がいいが、デフォルトルールのLA0の種族ではWisにボーナスがある種族もChaにボーナスのある種族もない。なので、LA0でこれらの能力値にペナルティーがない種族なら、どれでも大差はない。一方、LA+1にまで選択肢を広げると、アアシマールはWis,Chaの両方がプラスなので考慮する価値はあるかもしれないが、ただし、Wiz,Clr,Drdなどより呪文習得lvが1lv遅れるためもあり、LA+1だと経験lv2分の呪文習得の遅れ、すなわち呪文レベル自体が丸1レベル遅れることとなり、推奨できるというほどではない。また、クラス考察でも書いたが、非D&Dゲーマーならあるいは「精霊」と関係あるように感じるかもしれないジェナシ種族各種は、Chaにペナルティーがあるのでむしろ不向きである。他にも、きわだって有利という種族はなく、LA0種族から選ぶのが無難である。








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