・WG(その2)
さきにFR世界における「あいどるちょうじん」(Ftr1/Rog2/Clr3/Wiz24/Acm5のエルミンスターだの何だの)について触れたが、これに対してWG世界の有名魔法使、モルデンカイネンやビッグバイらもそれ以上の能力なのかと思うかもしれない。なにせ、WG世界に君臨するだけでなく、彼らの名前のついた呪文が基本ルールブックに書かれ、他の世界設定でも使われるような呪文を開発した大術師らである(旧AD&Dでは特にそういう設定である)。『バルダーズゲート』シリーズなどで、WG世界に触れたことはないがその名の呪文を知るプレイヤーは、FRのあいどるちょうじん達と少なくとも同等かそれ以上と予想するかもしれない。実際のところ、LGGなどに書かれた、呪文名の由来となった「八者の円」その他の術者らのデータは以下の通りである。
・現「八者の円」
ウォーンズ Wiz20
アルハマザード Wiz19
ビッグバイ Wiz19
ドロームジ Wiz18
オットー Wiz15/Clr3
ニストゥル Wiz17
セオダイン Wiz17
ジャラージ Wiz15
・九人目
モルデンカイネン Wiz27
・離反
"反逆者(トレイター)"レアリー Wiz24
・死亡確認
オティルーク Wiz16
テンサー(復活後、脱退) Wiz20
・その他
"輝く焔の"メルフ Ftr4/Wiz14
他に呪文の名前になっている術師としては触手マニアの「エバード」がいるが、基本的に悪役なので省く。なお、"愉快な一時"の「ターシャ」はガイギャックスにクレヨンでファンレターを書いて送ってきた幼女の名前であり、デザイナーらの持ちキャラではない。
こうしてみると、塾長モルデンカイネンと、渦中にあったレアリー以外は、それほど極端な高レベルでないことに気付くだろう。八者の円の中にさえも、アークマギ(大魔導士、AD&D 1stの称号で18lv以上のウィザードを指す)は半分しかおらず、オットーとジャラージに至ってはマギ(16lv)ですらない。
その理由としては、WG世界にはデザイナー隠退時期の空白期や、それ以来細部の設定を空白にする伝統ができたことから、塾長以外は能力データもあまり「アップデート」されなかったという、単純な理由もあるのだろう。ただしこの面々の絶妙に高すぎないレベルの値から、(FR世界のような、超高レベルの善玉悪玉や超ハイパワーの集団同士が睨み合って滅多に動かないのではなく)プレイヤーキャラが手の届くような有名NPCが、入り乱れてしょっちゅう暴れたり爆死したり王大人が復活させたり、プレイヤーキャラとじかに対立したり鎬を削ったり背中をあわせて共闘したりといった世界像を読みとろうとするファンもいる。