〇Harp and Chrysanthemum (4lv開始〜約7lv終了、PC1人) 新vaultのDLページ


 これは元から有名なキャンペーンモジュールであるが、有志による日本語化ファイルが存在するため取り上げる。
 レルムを舞台にしたストーリードライブの短キャンペーンのひとつで、テキスト、ストーリーが多いが、日本語化ファイルはストーリー部分が(メイン、枝道ともに)ほぼ訳されている。一部ジャーナルやアイテム解説など訳されていない部分もあるが、進めるのに支障はない部分である。特に、リドルに関連するジャーナルテキストが訳されているので、この和訳のおかげでプレイできる人はかなり増えていると思われる。
 vaultでは2007年(随分と昔ではあるが)のModule of the yearとなったことがあり、割と古いモジュールにあたるためかMotBのみ要でSoZは不要となっている(が、大半のプレイヤーはcompleteなどで全拡張パックでプレイしていると思われるので、あまり意味はない話ではある)。


・導入

 日本語化ファイルは某掲示板アップローダから入手できるが、導入法がやや複雑なので、添付のドキュメントを読む必要がある。
 付記しておくと、同じ掲示板でも報告されていたことだが、というか筆者の環境でもそうだったのだが、導入過程のうち「モジュールをツールセットで開き、フォルダ(ディレクトリ)形式でセーブし直す」というところで、ディレクトリが生成されなかったり、空ディレクトリが生成されることがある。この場合、NWN2のゲームフォルダ(NWN2.exe本体がインストールされているフォルダ)直下に、テンポラリファイルが生成されており、これがきちんと完成したモジュールフォルダになっていることがある。長いフォルダ名の最後にモジュール名(このキャンペーンの場合、「drawnswords」と「backlands」の2本)が最後についたフォルダになっているので、これをモジュール名だけにリネームし、ユーザーフォルダ側のNWN2フォルダのmoduleフォルダに移せばいい。元の英語版のdrawnswords.modとbacklands.modは削除する(退避しておいてもよい)。


・キャラメイク

 このモジュールはキャンペーン形式だが、挑戦するプレイヤー作成キャラは1人である。4lvと指定されており、4lv未満のキャラを参入させると4lvに調整される。
 参加する自キャラのクラス等を考えるにあたっては、モジュール内で参加するコンパニオンの能力を考慮するところだが、ReadMeファイルにも書いてある通り、パラディン、ローグ、クレリック(クレリックのみオプション)が参戦する。なので、秘術系キャラ(Sor, Wiz)で参加するのがバランスが良いのだろうが、クレリックはハーフリングで後衛向きであり、Rogもさほど強くないので、前衛能力が頼りないところである。ただしMoWやBG1などもクラスはともかく能力バランスは決して良くなかったので、こんなものかもしれない。
 留意点として、前述したように、このモジュールはMotBの時点で作られたものである。SoZがインストールしてあるシステム上でも進行自体には支障はないが、SoZ以降のシステムへの非対応、例えば、SoZ追加種族であるグレイオークのキャラをインポートすると特技を正常に所持していない、といった状況が起こる。OCデフォルトやMotBまでの種族を用いた方が無難と思われる。
 また、日本語化ファイルの導入ドキュメントによるとKaedrin PRCには対応していないとのことだが、何にせよ演出重視のキャンペーンはデフォルトのクラスを用いた方が無難だろう。キャラメイクさえ基本クラスや種族であれば、PRCがインストールしてあるぶんには問題がないと思われる。
 ReadMeにはこれらのコンパニオンは全員「4lv」と書いてあるが、それは4lvキャラで参加した場合の話で、実際はプレイヤーキャラと同じ値に調整される。
 日本語化ファイルの導入ドキュメントにも書いてあるが、LA+0で4lvのキャラをインポートした場合、おおむね7lvまで成長するが、プレイヤーキャラの開始xpやサブクエストの進行によりばらつきがある。


・モジュール内容

 モジュール内容は上述のようにストーリー、テキスト中心で進む。適度に仕掛けなどもあるが、詰まるような非常に難しい謎や選択肢などは特にない。
 また、メインストーリー以外にもサブクエストや枝道ダンジョンなども意外に多く、隅々までの探索が有効である。

 元から旅仲間であるという設定のRogのVromanと、村を訪れているスーニーのPalであるIanthがストーリーには深く関与する。NWN1や2のOCでは、(強いて言えばMotBのサフィアを除けば)仲間のストーリーはあるもののあくまで本筋からは枝道扱いであったが、このモジュールでは積極的に関連し存在感がある。ただし、やはり会話選択肢や影響(好感度)によって進めなくなったりといったことは特にないようである。

 戦闘バランスは(OCなどと比べると)やや厳しいが、ボス戦だけが極端に厳しいなどではなく、全体的に緊張感がある、PnPに似た感覚である。前段で秘術系をPCの選択肢として挙げたが、特にラスト付近の戦いのため魔法的な攻撃手段を備えておいた方がよい。日本語版の導入法ドキュメントで「ラストバトル前に特技を取り直したくなるかもしれない」とあるのはそういった意味かもしれないが、前述した秘術系であれば大きな困難とはならないと思われる。


・背景設定

 ストーリー内容は、レルム内陸の小さな村とその周辺のみが舞台となっている一方で、村が巻き込まれる事件には、この(3.5eの)当時のレルムの設定を強く反映させている。そのため、舞台規模が狭い割には小キャンペーンとして適度なボリュームがある。
 舞台のドロウンソード村は、(3.0eのFRCSなどには載っていないが)AD&D2ndの頃の解説書には設定は載っている村である。近くでスーニー女神信仰や、ハーパーズ結社が見られたことなどが設定されている。場所は西ハートランドで、BG1の南ソードコーストの真東、BG2のオームー(アムン)の北東の内陸に位置する。
 以下のようなレルムの用語については、作中でも説明があるが、あらかじめ頭に入れておくと考察しやすいかもしれない。

 イルメイター:モジュールの主要人物アンセルム司祭の信仰で、NWN2OC冒頭にも登場したFRの典型的善神のひとつ。ややこしい話だが、以下説明する他の神性・教団とは特に設定的な関係はないので、イルメイターの名については深読みする必要はない。

 アモゥネータ(アモネイター):1版よりさらに以前の時代の古代太陽神。本モジュールの冒頭から登場するが、BG2をはじめレルムの他ゲームや他のNWN1/2モジュールには、ラサンダー(1−3版の太陽神)やサンソウル・モンクがらみで名前が出ることがある。3.5eから百年以上後の4版ではアモネイターは普通に善の主要神格として復活しており、また神格自身や古代の信仰は善神であったが、1−3版の時点ではまだ古代神であり、本モジュールのように謎のカルト的扱いで怪しい役柄で登場したりすることもことも少なくない。なお、本サイトでは、PCの信仰を(4版の)アモネイターにするカスタマイズについて説明しているが、自分の信仰をアモネイターにしてこのモジュールをプレイすると当然色々と脈絡がおかしなことが起こるので(進行不能になったりはしないと思われるが)避けた方が無難に思われる。

 ベイン:1、3−5版のレルムの代表的悪神。一般にブラックネットワーク(後述する公然の秘密結社ゼンタリゥムの後援。

 シリック(シアリック):2版でベイン神が死んでいた間、ゼンタリム結社を含むベイン信徒らを乗っ取っていた新興邪神。MotBでは2版でマークル(ミアクル)の死によりマークル教団がシアリックに乗っ取られた混乱が描かれたが、同様のことが2版のベインの死によりベイン教団にも起こり、しかも3版のNWN2(本作の舞台の1374DR)現在ではベインが復活したため、ゼンタリム等の内部抗争の原因となっている。

 ゼンタリゥム(ゼンタリム):レルムの広域にわたって100年ほど前(3版の時代から数えて)から存在する悪の結社で、多くの国では(当然)非合法とされる活動を行う。本モジュールの西ハートランドやCRPGシリーズの西岸ソード・コーストからはかなり東に離れた月海近くのゼンティル・キープ(ズヘンティルとりで)を本拠地とするが、ソード・コーストを舞台としたBG, NWNといったシリーズに登場することは珍しくはない。本モジュールを含め、たいがいは悪役だが、別の敵がレルムの現状を崩壊させかねない場合は共闘する(BGの一部キャラの秘密の背景など)こともまた珍しくない。

 スーン(スーニー):Ianthの信仰する善神。レルムの有力な信仰のひとつで、慈愛ではなく恋愛や情愛を権能とする。アライメントが合わないのに「パラディン」を教団に有していることでも有名である。和訳されたストーリーではNWN1のHotU冒頭の勘違いお色気司祭セスタ、『シャドゥデイル・サーガ』のナルシスト男僧侶や『クレリック・サーガ』の発情ショタ食い女僧侶など、恋愛神という側面からふざけたキャラ付けをされた聖職者が目立つが、相互関係や利他を真摯に追求する聖職者もきちんとおり、パラディンらもその一種である。








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