Icewind Dale(1作目)のオリジナルは、2000年、BG1と2の間あたりの頃にBGと同じInfinity Engine(AD&D2nd)で作られたゲームである。レベル域もBG1と2の中間あたりまで進む。BGシリーズと比較すると、プレイヤーキャラを6人パーティー全員キャラメークする、NPC旅仲間やそのイベント等はない、キャラ自身の背景や設定に関連するイベントもない、マルチシナリオのBG1,2と比べると一本道の戦闘、それも固定敵をパズル的解法を探して順次倒していくという、BGと同じシステムながら、まったく別のシナリオに仕上がっている。
FRのフェイルーンでも、ネヴァーウィンターやラスカンよりさらに北のアイスウィンド・デイルを舞台としているが、FRの基本設定以外にはBGやNWNのシリーズとの繋がりは特に無い。また、いわゆるドリッズトシリーズの最初のアイスウィンド・サーガ(原題:Icewind Dale Trilogy)と題名は同じだが、ゲームのIWDがはるかに前の時代(IWD1は1281DRで、Trilogyの70年前)であることもあって関わりは(BGやNWNにはあった小ネタなども)ほとんどない。唯一ラスト付近に登場するクリシャル・ティリスやクレンシニボンの話があるが、小説の記述と一致しない。Icewindというタイトルだからといってアイスウィンド・サーガ(ドリッズトシリーズ)の内容を期待するプレイヤーにおすすめできるわけではない。氷雪に覆われた舞台やFR世界自体は共通するとはいえる。
IWD1は本国ではわりと好評だったため、拡張パックのHeart of Winter(HoW)と無料DLCのTrials of the Luremaster(TotL)、続編のIWD2、リメイクのIWD1EE(拡張・DLC分含む)も作られた。IWD2はD&D3.0e準拠だったが、再現度が低くInfinity Engineでは様々な問題があったためか、IWD1EEではリメイク前同様AD&D2ndのままである。なお、ゲームシステム以外に、IWD1,2ともにゲーム画面(背景)や一枚絵(キャラの顔グラなどのイメージ画)、さらにBGMの雰囲気が良いことはよく話題にのぼる。
日本では、IWD1とIWD2の本体の日本語版がそれぞれセガ、ライブドアによってリリースされた。セガのIWD1は拡張やDLCは含まない。本国では上述のように成功しているプロジェクトだが、日本ではBGプレイヤーにも支持者はいるものの、肌に合わないという声も多い。おそらくは日本のゲーマーのAD&D自体の普及度・理解度の低さから、「ゲームシステム」のウェイトがBGに比べてもさらに大きいIWDの方が浸透しにくかったものと思われる。ライブドアのIWD2は(上述のIWD2自体のシステムの問題に加えて)翻訳の質が非常に悪く(同社のToEEと同様である)日本ではセガのIWD1以上に話題になることがなかった。
IWDと拡張・DLC、IWD1EEには有志による(セガ訳を一部流用した)日本語化パッチが存在し、現在はセガの日本語版を探すよりも、拡張入りのこれらを日本語化した方が良い。IWD2のライブドア訳を使った日本語化パッチについては寡聞にして聞かない。