hak,overrideなど(ゲームシステム関連)



○ゲームシステム追加overrideに関する全般的留意点

 NWN1がそうであったのと同様、NWN2にもゲームシステム(追加のルール対応や、プレステージクラス等)を追加するようなoverrideが数多く作られている。NWN1がそれらの追加でコンフリクトをかなり起こしやすかったのに対して、NWN2は余裕を持って作られているようで、追加データの作成が容易である。NWN2についてもUIやシステム変更のoverrideが多数作られ、vaultなどで配布されている。例えば、NWN1のPRC同様に多数のクラスを追加するKaedrin PRCなどは有名で、対応モジュールも多い。

 が、このサイトの別ページでも述べている「日本語化」を行ったNWN2では、上記Kaedrin追加ファイルをはじめ、vaultなどの追加overrideのカスタマイズファイルは、うまく機能しないことも多い。この日本語化は、dialog.tlkファイルを一括で日本語化しているため、対応するdialogが存在しないエントリーは、英語や空白になる以前に、エントリー自体が表示されなかったりする(例えば追加のクラスやルールは、選択肢が現れなかったりする)のである。(訳者氏によると、NWN1同様に、dialogに対応箇所がないものは原語(英語)表示にするといった対策は可能だが、当面は手が回っていないらしい。)カスタムtlkの類も時にうまく表示されないことがある。

 そのため、hakやoverrideを重視するNWN2のヘビーユーザーは、あえて日本語化せずに英語のままプレイすることもあるというが(D&Dのゲームシステムは英語でもさして理解に支障はなく、またオフィシャルキャンペーンを終えてしまえば、あとは他のユーザーモジュールはどのみち英語なので日本語のままにする利点を感じないプレイヤーも多い)英語版を用いたとしても、ここでもうひとつ問題がある。
 NWN2は、NWN1に比べるとエディタが複雑などの理由で、中断してNWN1に戻ったり他のエディタに移った作者が多いのだが、拡張1、2が出る前に作成され、拡張に対応しないまま中断したhakもかなりの数がある。これらは、拡張1、2の入ったGOG版のComplete Editionとはコンフリクトを起こすものも多い。例えば、「クラス表」の設定ファイル(2da)を本体OCのファイルをベースに作っているため、GOG版のNWN2に入れると拡張で追加されたクラスが空白や別クラスで上書きされて使えなくなったりするのである。こうした不具合は、ある程度ドキュメントやダウンロードサイトから判断できることもあるが、中には動かしたり2daファイルを確認するまでわからないものも多い。

 一方、dialogのテキストを参照しないような追加要素(例えば、内部数値調整のみや追加のグラフィック、モンスター等)で、かつ拡張1、2までに対応している・衝突しないファイルならば、問題なく導入できるものもある。そうしたもので有用なものは今後ここで紹介していく。

 また、上記の不具合、日本語dialogがないファイルや拡張非対応のファイルも、ユーザーの手でそれほどの手間ではなく修正が可能なこともある。が、それはすでにユーザー個々のカスタマイズの範疇なので、別のページの方で述べる。



〇導入の留意点(hakとoverride)

 ユーザーのカスタムコンテンツのhakpakには、「override」と「hak」で配布されている場合がある。
 overrideは多くの場合、NWN2のゲーム全体(全てのモジュール)に適用するためのもので、多くは複数のファイル(又はフォルダ)からなっており、overrideフォルダにそのまま入れることで適用される。NWN2では、キャンペーン形式のモジュールであれば、overrideのファイルをcampaignフォルダ中のそのキャンペーンのフォルダに入れることで、そのキャンペーンモジュールだけ適用することもできる。
 一方、hakとは、override同様の特殊システムを、特定の単発モジュールだけで(多分にNWN1の名残である)使用するためのものである。内容を1ファイルにまとめた「.hak」ファイルとなっており、モジュール側でこのhakファイルの使用を指定するようになっている。
 ユーザーコンテンツの配布場所では、overrideとhakの両方が用意されている場合もあるが、どちらか片方しかないものも多い。特に、3Dモデル(グラフィック)等は、hakの形でだけ配布されているものが多い。そもそもこれらがhakpakと通称されていること自体がそうだが、これはNWN1の頃の名残と思われ、NWN2のキャンペーンではhakの必要性はそれほど高くないが、引き続いて使われているものと思われる。

 hakファイルしか配布されていない場合どうすればいいかというと、hakファイルはoverrideと同じようなファイル群がまとめられているだけなので、展開してoverrideとしても使用できる(勿論、hak同士の時点でIDなどがかぶっていると機能しないことはある)。例えば、nwn2packerなどのhakファイルを編集できるツールがあるので、これを用いてhakファイルの内容を展開し、1つのフォルダ内に入れておく。この展開したフォルダごと、overrideフォルダや使用するキャンペーンのフォルダにそのまま入れれば使用できる(NWN2では、overrideが多層フォルダ構造になっていても普通に機能する)。

 また、アイテム等を追加するものにしても、そのままOC等ですぐに使用できるものと、そうでないものがある。例えば、後述する宿帳やテレポーテーションのアイテムを追加するhakは、ブループリント(アイテムやクリーチャーの性能等の、使用できる状態のデータ)も追加されるので、ファイルをoverrideに入れるだけで後はコンソールコマンド等で 入手しすぐに使うことが可能である。が、別ページで述べているアイテムの外観変更などは、そういう外見を持ったアイテムを新たにツールセットで作成し、自分でモジュールに登場させなくてはならない。そういう意味では敷居は高い。




○Companion Multiclass (新vault配布サイト、v1.21

 これは定番、基本のカスタマイズ要素のひとつで、コンパニオンの成長時のマルチクラスを可能にする。
 OCやMotBをはじめ、多くのPC1人用のモジュールやキャンペーン内で加入する旅仲間「コンパニオン」は、デフォルトのシステムでは、レベルアップ時には既に持っているクラスを一本伸ばしで上げることになり、自由にクラスを選ぶことはできない。OCなどは強力な複合ビルドをしないと突破できないほど難易度が高いわけではなく、一本伸ばしのキャラはそれなりに強力で、またOCでは様々な各クラスそれぞれのコンパニオンが揃っているため、一人がマルチクラスで多くの役割を持つ必要性などは薄い。
 が、3.5eの大きな魅力がキャラの自由なビルドやカスタマイズにある以上、コンパニオンにもその選択肢は欲しいと感じることもあるだろう。NWN1ではHotUやヘンチマンエイジoverrideを使えば会話選択肢などでヘンチマンのマルチクラスもできたので、NWN2でできないのは物足りないという声もある。また、OC以外のモジュールのコンパニオンの人数や構成によっては、戦力不足のためにマルチクラスさせたいと思うことも多い。
 OCのコンパニオンでは、キャスター系やニーシュカ(ただでさえレベル調整値つき種族なのでローグから寄り道すると成長が遅れる)は一本伸ばしの方がいいが、イメージからビショップにアサシンや、アモンにSoZ追加のヘルファイア・ウォーロックのクラスを入れるというのがしばしば聞かれるパターンである。
 モジュールに元から準備されているマルチクラスの仕掛け(OCのケルガーのMnk転職イベントや、BG Reloadedのパーティー会話でプレステージクラスを取得するイベントなど)が無駄になるので、あまり導入を好まないゲーマーも多いが、どちらかというとNWN2のビルドの面白さの余地が増える利点の方が大きいように思われる。



○Universal Companion  (新vault配布サイト、v0.9

 単独(PC1人)用モジュールでも、プレイヤーが自作したキャラ複数でパーティーが組めるようにする。
 すなわち、自作キャラをデータベース(そのままdatabaseフォルダ内)に登録しておくことができる。データベース内のキャラは、他のモジュールで呼び出してコンパニオンとすることができ、またモジュール内で変更された(成長した、新たなアイテムを持った等)データをデータベースにアップデートすることもできる。

 NWN2のデフォルトでは、OCやMotBのようなモジュール内で用意されたNPCのコンパニオンだけでなく、自分で作成したキャラで複数人パーティーが組めるキャンペーンとしてはSoZがある。OC, MotBなどキャンペーン形式のモジュールであれば、ツールセットによって自作キャラの複数人パーティーを組めるように改変したり、人数を変えたりすることは可能である(SoZ形式のパーティー作成のカスタマイズ方法については、別のカスタマイズ記事で述べる)。
 が、キャンペーン形式でない単体modファイルだけでできたモジュール(NWN1と同じタイプ)では、PC1人しか作成できず、モジュール内での既成のNPC以外のコンパニオンを加えることはできない。(ツールセットの設定によって可能になったことがある、との報告もあるが、モジュール個々や起動するたびに異なるなど、方法としては確立されていない。)
 それに対し、このoverrideは、自作キャラをコンパニオンとして登録し呼び出し可能とすることで、単体モジュールであっても、またキャンペーン形式のPC1人用であっても、自作キャラで組んだパーティーを作成可能とするものである。overrideに導入すれば、モジュールの側は特に改変する必要がない。

 機能や操作はやや複雑なので、付属ドキュメント(Readme)を読んでおいた方がよい。単体mod形式のモジュールでも機能することができるよう、全体のoverrideフォルダに適用することが多いだろう。
 overrideに適用した状態で、コンパニオンとしてdatabaseに登録したいキャラでなんらかのモジュールを起動する。登録したいキャラを画面右に表示されているキャラアイコンから「選択」し、メニューに追加された登録ボタンを押す(後述するが、日本語化しているとボタンの名前が表示されないことがあるので、ReadMeでボタンの位置を確認する)。
 別のモジュールを起動し、databaseからrosterへの追加ボタン(ボタン名が空白なら、空白のうち一番下のボタン)を押してから、OC同様のコンパニオン選択画面(roster)を開くと、先程databaseに登録したキャラがOC同様の選択可能コンパニオンの中に追加されている。

 NWN1のヘンチマンエイジも同様の使い方ができたが、コンパニオンとのアイテムの受渡し等も自由にできることから、誰かをモジュール相互を架け渡す「パシリキャラ」にすることもできる。例えば、モジュール進行中にポーションを買い忘れた場合、別のキャラがポーションを買って、パシリキャラ経由で受け渡すということもできる。また、単独キャラ用モジュールで、そのキャラではクラス等の問題で使い道がない強力なアイテムが入手できたりするのはよくあることである(同様にプレイヤーキャラがソロの*bandで、修行僧や魔法系でプレイしている時に限って超級武器が出るように)。その場合、パシリキャラにこれを渡しておいて、そのアイテムを使えるキャラが別のモジュールでパシリキャラを呼び出して受け取る。といったこともできる。要はギルガメッシュ酒場に待機していたりバトルネットの複数アカウントによくストックされている、共有アイテム「倉庫」キャラである(なお、コンパニオンは所持金は持てないので、「金庫」キャラにすることはできない。そのため、所持金を持っているPC用と、持っていないコンパニオン用のキャラは分けて考えておく必要がある)。無論、やりすぎるとモジュール作者の意図しない範囲まで難易度が下がるが、キャラをモジュールの対象レベル等に合わせて調整する際に無造作に訓練場で強アイテムを持たせるのも味気ないという場合、上記ギルガメッシュ酒場やバトルネット感覚で使用するという遊び方ならできる。

 注意する点は多々ある。まず、なんらかのhak等とコンフリクトを起こしているのか、機能しないモジュールもよくある。メニューにボタン自体が出ない、データベースのアップデートができない等である。
 全体的に不安定である。例えば自作コンパニオンの出し入れやデータベースへの登録を1回の起動内で複数回繰返すと、突然NWN2が落ちることがある。これは操作の直前などの際は、頻繁にセーブやクイックセーブしておき、事故が起こったら再起動後、ロードするなどで回避できる。
 日本語化したNWN2のバージョンとの相性にも例によって問題があり、プレイ環境によるが、ボタン名がうまく表示されなかったり空白になることもある(どのボタンが何の機能にあたるかはこの場合、マニュアルなどを頼りにボタンの並び順から推測するしかない)。
 すでにモジュール内に居るコンパニオンとコンフリクトを起こすことがある。例えば、ボタンを押し間違って自作キャラでなくすぐ下にいたベヴィル(OC序盤の主人公の友人の青年)をデータベースに登録してしまい、別のモジュールでベヴィルを呼び出せたのはいいが、操作することができず(「NPC」というフラグが何か不具合を起こしているらしい)おまけにクリックしたときのボイスがベヴィルの声ではなく「ピヨピヨ」とかいうのになっていた。なお、不具合で削除ボタンが機能せず、削除することができなくなっている。
 SoZのような元から自作キャラのパーティーが作成できるモジュールで、パーティーキャラとこのコンパニオンを併用すると、おかしなことが起こったりする。例えばコンパニオンがSoZのパーティー編成場面にも表示され、そこから操作によってはNWN2が落ちたりする。

 「モジュールによっては」自作コンパニオンの使用が可能であり、毎回PC1人用モジュールを一人だけ操作するのも味気ない場合、自作キャラが使用可能になる可能性もある、といった程度で、動くモジュールであればもうけもの程度に捉えておいた方がよいだろう。
 本格的な自作パーティー編成、PoRやIWDのような多人数パーティー作成冒険を行いたいなら、SoZ形式の複数キャラ作成可のキャンペーンや、あるいは別箇所で述べるが、ツールセットでそうしたキャンペーンへの設定変更を行った方がよい。



○cdaulepp's random loot generator (新vault配布サイト

 これはNWN2全体に適用するoverrideである(後述するが、キャンペーンモジュールならば、個々のキャンペーンごとに適用することもできる)。適用すると、敵を倒した際に、すべての敵が(デフォルトのドロップに加えて)ランダムドロップするようになる。具体的には、敵の強さ(CR)に応じてランダムに選択されたアイテムをドロップする他、ランダムに魔法効果が付与されたアイテムもしばしばドロップするようになる。すなわち、*bandやDiabloのごとき様相で敵からランダムアイテムを入手できるようになる。


 実のところ、既成のユーザー製のキャンペーンモジュールには、すでにこれが追加で導入されているものもある。本体OCや拡張1本目のMotBもこれを導入した状態でプレイする人もいる。
 しかし、特に、ひたすら大量に敵が無限湧きで出てくるようなモジュール(例えば、拡張2本目のSoZや、他記事で紹介しているLegacy of White Plume Mountainのような戦闘モジュール)にこれを適用すると、NWN2全体がまるで別のゲームと化す。それこそ*bandやDiabloのような、戦闘とアイテムハントを延々とエンドレスで繰り返すことのできるハクスラゲームと化すのである。


 もっとも、魔法効果は多様な効果から無作為に付与される可能性があるため、必然的に「ロングソード+○」のようなごく普通のアイテムが出てくる可能性は低くなっている。*bandのようなエゴアイテム(有利な魔法効果の一定の組合わせ)があるわけでもないため、強力な魔法効果アイテムも全て*bandのランダムアーティファクトのような単純に出鱈目な能力持ちである。「追加特技:《上級武器開眼(グレートアックス)》 使用可能:ウィザード」といったものすごく強力な魔法で高価だが全く何の役にも立たなそうなアイテムが次々と出てくるのを楽しむという側面はあるが、ドロップだけに頼って装備を整えるというのは現実的ではなかったりする。上記SoZ等のように、このドロップ以外にもきちんとしたアイテム調達・強化手段のあるモジュールに適用するのが有効である。

 NWN2全体に適用するには、readmeなどに書かれているように、アーカイブを展開すると生成される「cdaulepp」フォルダ自体をユーザーフォルダ等のoverrideフォルダ内に置く。一方、特定のモジュールにのみ適用するのは、そのモジュールがキャンペーンシナリオであれば容易に可能である。「cdaulepp」フォルダの中身をcampaignsフォルダ内の該当キャンペーンのフォルダ内に置く。



○The Complete Catalogue of Comrades, Companions, and Cohorts (新vault配布サイト


 SoZ形式のパーティーをアイテムを使用すればどこでも組める「携帯用宿帳」を追加する。SoZ形式でないパーティー制でないキャンペーンモジュールの場合、キャンペーンの方を改変しないと意味がない。詳しくは別ページ参照



○Teleportation Items (新vault配布サイト


 テレポーテーションアイテムを追加する。アイテムの機能を発動し、クリックした箇所にテレポートできる。無論、通常のモジュールで使用すると逆にイベントを飛ばしてしまってモジュールの流れが破綻することもあるので、主に移動イベント関連が壊れているモジュールのバグなどに対処する際に使用する。リングとロッドがあり、ロッドの方が装備しなくとも、またクラスを問わず使えるので便利である。
 留意点としては、移動先が見えている箇所でないとクリックできない。壁の向こうでもいいが、部屋にまだ入っていなくて暗いままになっている(マップが埋まっていない)箇所にはテレポートできない。また、クリックすると、まず通常移動でその場所めがけて走っていってから、それ以上移動できなくなった時点でテレポートが発動する。そのため、敵と戦わずその向こう側にテレポートしようと思ってクリックしたら、まずその方向に走る=敵に向かって突っ込んでいくなどということも起こる。デバッグコマンドのjumptopointなどを(こちらは座標を調べるのが面倒だが)併用せざるを得ないこともある。



〇MetaRod of Preparations (新vault配布サイト


 複数の呪文や能力(主にバフ)を登録しておき、毎回1回の発動操作で続けて発動できるようにするもの。

 D&Dシリーズでは膨大なバフ、自己強化の呪文や能力があり、休息後や戦闘直前などのタイミングで大量に重ねがけするのが常套である(CD&Dではかなり少ないが、元々OD&D〜AD&D1st〜3.Xeでは非常に数が多く、必要以上にバフに戦力が依存するとして、4〜5版では削減される傾向にある)。当然、毎回ひとつずつ呪文等を選んで発動するのはかなりの手間なので(PnPのゲームならDMに発動する呪文・能力のリストを書いて渡せば済むことだが、PCゲームでは選択して発動する操作を繰り返さなくてはならない)NWNシリーズやBGシリーズでも、一括で複数のバフを発動できるよう、外部のキーボードマクロなどを組むプレイヤーもいる。
 一方、hakの類でもNWN1/2ともに、アイテム等の使用により1回の操作で多数のバフを発動できるようなものが、複数作られている。(余談ではあるが、特にNWN1では2のようなクイックキャストが無く、クイックスロットの数も限られているため、こうしたhakにはより需要がある。)しかし、hakによっては特定の呪文や能力についてはうまく登録できない(発動しない)もの、モジュールや他のhakとコンフリクトして発動しないものなどがあり、一長一短である。

 上記overrideはNWN2用の中では、特に問題なくほとんどの能力を登録でき、多くのモジュールで動作し、管理もしやすいものである。そのぶん発動は少々ややこしく、よくドキュメントを読む必要がある。



〇Item Appearance Changer (新vault配布サイト


 これも純然たる嗜好hakに近いのだが、一応『システムの拡張』なのでこちらの記事で説明する。
 手持ちの装備アイテムの「外観」をプレイ中に変更する。アイテムの外観は多くの場合「ベースアイテム」に依存するが、クラフトや別項目のランダムアイテムなどで良い能力の装備を入手したが見た目がいまいちへぼい場合、目立たせたい場合、単に好みの問題などで、既存の装備の外見を変更したい場合は多いと思われる。
 このhakは定番のもので、Wulverheimなど多くのキャンペーンにも機能として導入されている。

 ただし、変更先の外観は、デフォルトのベースアイテムの外観など一部に限られ、通常、嗜好品ページで新たに追加した(デフォルトとは別IDの)外見などには変更できない(自力で改変することはできないでもない)。
 NWN2ではアイテムの外観はベースアイテムごとに設定されているが(例えば短剣に#1-XX, 斧に#1-XXなど)これをまたぐような変更(短剣の外観を「斧#5」に変更するなど)もできない。
 また、変更時のダイアログにも出ているのが、ベースアイテムが特殊素材などの場合、素材のプロパティが変更される(多くの場合まっさら、例えば冷たい鉄の剣もただの鉄の剣に変わる)。これは、このhakではベースアイテム自体が変更されるためと思われる。
 アイテムのアイコン(インベントリで表示されるもの)を変更する機能もない。

 結局、どうしても欲しい外観の装備は、ツールセットを用いて自作するのが最も無難である。アイテムクラフト(強化)のための「ベースアイテム」として、様々な外見ものを準備しておくのが手である。



〇Level Cap Increase to 160 (新vault配布サイト


 キャラクターレベル30lvが上限だったNWN2のレベル上限を「160lv」に変更する。
 JRPGのゲーマーには、なぜか「99」lvという字面を「最強」の代名詞だと完全に刷り込まれている向きが存在しており、このサイトにも他所にも、とにかく頻繁に寄せられているFaqに、*bandにせよNWN1/2にせよ「レベルの上限を『99』にするにはどう改造すればいいですか」というものがある。
 そこにもってきてこのhakは99どころかいきなり160である。160というlv上限値がいったいどっから沸いて出てきたのかというと、NWN2では4クラスまでマルチクラスできるので、「40lvが4つ」を想定して160にした、とのことである。さらに、その40lvがどこから出てきたかという話は推測になるが、NWN1-HotUやGoldBoxやInifinityなどで、エピックの一例として「40lv」が区切りとなっているゲームがD&D系にもすでにある。これらのゲームの40lvのそのさらに発想元は、さらに推測になるものの、非エピックの20lvの2倍と思われる。

 サーバーや個人hakによっては、NWN2 MotB以降の30lvよりも上の40やそれ以上のレベルを設定してあるものがすでにあるが、NWN2のプログラム上では30lvが上限なので、それ以上は、DM権限で各キャラの能力を加算することとして、丁寧に各クラスレベル上昇に相当するボーナスを設定してある場合や、31lv以上に相当する経験値に達するごとに各種ボーナスを与えたりする(よくあるハクスラやネットRPGのエンドコンテンツ、D&D系では3.0e FRCSの「エピックレベル特典」、5版DMGのオプション「偉業の証」のように)サーバーなどもよく見られる。
 それらに対して、このhakはNWN2main.exe自体のコードを書き換え、プログラム上の上限を変更するものである。

 ただし、現在は調整中であり、実用段階とは言い難いようである。例えば、セーブデータをロードしただけで、セーブ時に満タンだった呪文スロットが全部カラッ欠になっていた、などという実にえんがちょな報告があったりする。
 たとえ完成したとしても、そのレベル域に対応するモジュールなどはないし(別の箇所でも述べたが)どのようにモジュールを作るのか、すなわち、PnPとはバランスが異なるNWN2のエピックのルールで容易にバランスが取れるとも考えにくい。そもそも神格ランクも持たずにキャラクターレベルだけが50をオーバーするようなキャラというのはd20的に不自然きわまりないし、現にそれで99lvだろうが160lvだろうが65535lvだろうが強くもなんともない。そう考えるとこのhakを実際に使うことはまずなさそうだが、システム拡張の可能性の一例として把握しておくべきではある。



〇Level Scaling Challenge (新vault配布サイト


 モジュール内の敵のデータを、プレイヤーキャラの強さにあわせて自動的に強化調整する。
 元からNWN1,2ともに、プレイ中のキャラの強さにあわせた強さの敵を生成するシステムが存在し(基本システムのテンプレートエンカウントにもあるが、ユーザー独自のスクリプト等も多い)PW、戦闘アリーナ類、ランダムダンジョン等の敵の自動生成を行うモジュールでは利用されていたりするが、通常のストーリー型などのモジュールでは、一部の初期のもの(例えば、パーティーの強さが不定なオンラインマルチプレイを重視していたNWN1最初の付属OC)を除くと、最初から固定データの敵が配置されてバランスがとられていることが大半である。一方で、NWN2のこのoverrideは、そうした敵の強さが「固定データ」で本来ならば強さが変動しないようなモジュールに対して、改めて敵の強さを調整し、プレイヤーキャラのlv等に応じて強化する。

 何の役に立つかというと、当然低レベル固定用のモジュールの応用に役立つ。NWN1,2では、vaultに投稿されているユーザーモジュールでは、高lvキャラ用のモジュールは初期lv用よりも少なめである。特にNWN2では、10lv台開始となると多くは元がそのレベル対象だったPnP原作モジュールのコンバートだったり、さらに開始レベルが10lv台後半以上となると既に数えるほどしか存在しなかったりする。より正確には、初期レベルから開始して高レベルに至るような長編キャンペーンは目立つのだが、「高レベルから開始」するものは少ない。別に長編をやってればいいというプレイヤーも多いのだが、初期レベルモジュールをクリアした高レベルキャラが手元に余ってるだとか、高レベル部分のビルドやキャラ操作をもっと体験したいという声も聞かないでもない。
 そうした場合、低レベル専用のモジュールにこのoverrideを適用すると、敵の強さに関しては引き上げられ、一応高レベル対応モジュールとなる。具体的には、1-3lv用の農夫の依頼のオーク撃退モジュールにこのoverrideと20lvのキャラを放り込むと、屈強無比な20lvオーク集団が襲ってくるのを雇い主の20lv農夫が草刈り鎌の《大旋風》で迎え撃つというモジュールになる。

 元々NWN1/2にはデフォルトでキャラの強化テンプレートがあり、レベルを付与すると自動で能力や特技が付与されるシステムがツールセットにもあるので、似たような仕組みでクリーチャーがレベルアップされていると思われる。コボルド等が別の強モンスターに差し変わるのではなく、コボルドそのままで膨大なヒットポイントや少なからぬ攻撃力なども増強される、ハクスラRPGの難易度変更(Diabloシリーズのnightmareやhell)のようになっている。ただし、元の能力差も完全に再現されて強化されるわけではなく(一律プレイヤーキャラに近いlv等になる)、増強も3.Xeのシステム上考え抜かれたものではないので(hpだけが飛びぬけるといった敵も目立ってくる)、作者らのコメントでは「バランスについてはあまり保証できない」とのことなのだが、オークやコボルド退治モジュールを15-20lvキャラでプレイしたところによれば、エピックオークコボルドや超電磁スピンする農民のような不自然さに目を瞑れば充分実用に足るように思える。

 が、敵の強さは変わるが、当然モジュールの他の数値が変わるわけではない。例えば技能のDC(難易度)設定などは変わらない。これも当然だが登場する宝物量やアイテムの強さなども元が低レベルモジュールなら相応である。
 また、敵が強くなったぶん脅威度換算のxpは高くなるが、イベントxpなどは変わらないため、xpの戦闘依存度が低くイベント依存度が高いモジュールの場合は、レベルアップが遅くなる問題も起こる(当然、高lvの方が必要経験そのものが大きいため)。
 例えば、オーバーランドマップを適用したモジュール(SoZ, Whiteplume Mountainなど)では、オーバーランドの敵についてはうまく機能しない。これらのモジュールでは、オーバーランドの敵については敵そのもののxp(低め)と、遭遇のERに応じてボーナス経験が入るようになっているのだが、当然、前者の敵そのものは強化されxpも高くなっているものの、遭遇ERの設定も経験値も低いままなので相応のxpにならない。
 モジュールによっては増強された敵やNPCの名前の表示がおかしくなることがあり、敵ならあまり支障がないが、ストーリー面では倒したり話したりするキャラがわからなくなってイベントが進まないといった重大な問題になる可能性もある。
 結局のところoverrideフォルダに入れっぱなしにする等で全てのモジュールに適用されると、少なからずおかしな点が出るので、特定のモジュールのプレイの時だけoverrideに出し入れしたり、または支障のないキャンペーンのキャンペーンフォルダにのみ放り込んでおくのが無難である。また、言うまでもないがモジュールの初回からこれでプレイするようなものでもないだろう。



〇Complete Craftsman (新vault配布サイト


 OCタイプのクラフトを大幅に拡張するhak/overrideパックである。デフォルトシステムではサポートされていなかった付与可能な多数の印(プロパティ)、高技能による上質(Masterwork)のベースアイテム鍛冶、多数のベースアイテムなどが追加されている。PnPのように魔力付与の際に経験消費などの設定も行える(いくつかの付与要素については、プレイヤー側で設定することもできる)。例えばデフォルトシステムでは付与数が一杯(非エピックで3印)になっているとそれ以上強化ボーナスの増強なども行えないが、このhakでは付与数に関わらず強化ボーナスのアップデートだけは行える、ペナルティー(種族やアライメント使用制限)や素材のプロパティは印数制限に含まれない、特殊素材や上質品は印数増加、などの細かい改善も多い。少し前まで拡張に対応していなかったが、上記のものはComplete (SoZ, MoWまで)に対応している。

 しかし、大規模なhakpakにはよくあることだが、他のhakpakやモジュールによってはコンフリクトが非常に起こりやすい。例えば定番のkaedrin PRCでは一部クラフトにも手を加えてあるが深刻なコンフリクトが起こるのでそのままではほぼ併用できない。同様にクラフトに手を加えているモジュールとは衝突しやすい。そのため、元のoverrideではなく一部モジュールのcampaignフォルダのみに放り込むという手もあるのだが、例えばこのhakで作られたベースアイテムが他のモジュールで機能せずキャラ自体が輸出できないといった状況が発生することとなる。よくできたhakではあるのだが、汎用性が高いとはいえない。

 が、鍛冶用ハンマーでいつでもアイテムの名前を変更できる機能は便利すぎるので、これだけ導入しておいてもよい。具体的にはoverrideにtcm_hammerなどの適当なフォルダを作り(あまりにも低階層のフォルダに入れておくと機能しなくなる)ここにscriptからi_smithhammer_ac.ncs, i_smithhammer_ac.nss,の2ファイル、2daからtcc_config.2daの1ファイルだけをコピーする。前者2スクリプトがハンマーの機能を追加するものだが、後者の2daが設定ファイルとなっており、名前変更機能をonに設定するこの2daがなければ機能しない。そのほか、根気よく検討すれば一部の機能だけを導入することもできるだろう。







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