・lv(レベル)キャップとxp(経験値)キャップ


 NWN2のキャンペーンモジュールにおいては、BGシリーズでもよく知られているような、xpキャップとlvキャップが設定されている。
 lvキャップはMMORPGなどでよく知られているが、xpキャップは何の意味があるのか判らないというプレイヤーの声も多いため、簡単に触れておく。


 例えば、NWN2のOCではlvキャップは(非エピックの基本上限の)20lv、xpキャップは253,000xpである。
 エピック冒険のMotBではlvキャップは30lv、xpキャップは561,000xpである。


 他のキャンペーンはどうかというと、ツールセットからわかる。NWN2のエレクトロン・ツールセットを起動し、上の"Plugins"のメニューから"Campaign Editor"を起動してみる。左にキャンペーン名、右上にキャンペーンのプロパティが出る。プロパティを一番下近くまでスクロールしてみると、"LevelCap"と"XPCap"の設定箇所がある。MotBやSoZ以降に作られたキャンペーンは(たとえ低レベル対象でも)デフォルト的に30lvと561,000xpであることも多いが、非エピックであればあえてそれより低くなっているものもある。例えば公式のMoWはOC同様の20lv, 253,000xpである。ユーザーモジュールでは、Path of Evilを見てみると、lvキャップは30のままで、xpキャップは500,000xpであることがわかる。


 当然、lvキャップとxpキャップの「どちらか低い方」に到達した時点で成長は止まる。xpキャップまでは経験値は溜まり続けるが(xpキャップに達した時点で蓄積されなくなる)、lvキャップに達しているとlvの方は上がらない。
 例えばOCでは、人間であれば、190,000xpで20lvに到達する。xpはこの後も253,000xpまで上がり続けるが、lvが20をこえることはない。
 190,000以降のxpは何の意味があるのかというと、LA(レベル調整値、要はxpに対するレベル成長遅れ)持ちの種族のためである。例えばLA+1のティーフリングは210,000xpで、LA+2のドラウは231,000xpで、LA+3のスヴァーフネブリンは253,000xpで、それぞれ20lvに到達する。逆に言えば、LAが+1-3の種族はLA値にかかわらず(ECLで言えば20lv以上になるにも関わらず)OCのこのxpキャップが高い設定のおかげで20lvになることができるわけである。一方、LA+4のハーフセレスチャルは、キャラクターlvが20lvになるのに276,000xpが必要だが、253,000xpをこえるxpはカウントされないので、19lvまでにしかなることができない。あくまでNWN2のOCのデフォルトで想定されているのは、デフォルト種族ではスヴァーフネブリンのLA+3まで、ということである。
 一方、MotBではxpキャップは561,000xpであるから、LA+4の種族も30lvまで到達する。ここで、上述のPath of Evilの場合、xpキャップは500,000xpだが、LA+3の種族は30lvに528,000xpが必要であるから、LA+2までの種族しか30lvに到達できないということになる。

 つまり、NWN2でlvキャップとxpキャップの両方が設けられているのは、LAの大きい強力な種族であっても人間等と同じlvに達し得るのか、それとも限界lvは低くなるのか、モジュール作者ごとにバランスを取ることが可能となっているのである。この両方でバランスを取るのは、(成長システムは異なるが)クラスごとにxpテーブルが異なり、マルチクラスやデュアルクラスで成長の速さが異なるキャラの成長限界バランスを整えていたBGシリーズと同様である。


 なお、そのキャンペーンのキャップを超えるキャラは、localvaultの中に居たとしても、モジュール開始時のキャラ選択時や、SoZ形式のParty Creation Windowでは表示されない(選択されない)。例えば、MotBをクリアした30lvのキャラで、20lvキャップのOC、MoWやB2:Keep on Borderlandで開始しようとしたり、その他30lv未満キャップのモジュールのParty Creation Windowでインポートしようとしてもできなくなっている。



 カスタマイズ(モジュール作者の意図しない改変)の範疇となるが、さきのLevelCapやXPCapの値は当然、ツールセットのこれらの項目を変更することで改変可能である。変更した後に右上のSave Campaignを押せば反映される。(ただし、パーティーサイズ改変の記事で述べているが、パーティーサイズなどが自動的に4に上書きされるなどのツールセットの不具合があるので注意を要する。理解しないうちは改変には触れない方がよい。)
 例えば、OCのxpキャップを「276,000」xpに変更すれば、ハーフセレスチャルもOCで20lvに到達する。
 逆に、xpキャップを190,000xpに変更すると、人間等は20lvに到達するが、LA+1-4持ち種族は16-19lvまでにしか到達できなくなる。これは他のD&D系ゲームによってはしばしばあるレギュレーションである。
 OCやMoWのlvキャップを30lvまでの値に変更したり、xpキャップを561,000xpあたりに変更したりすることも(モジュールの内容上到達可能かはともかく)設定可能である。
 ただし、LevelCapに30lvをこえる値を入力しても、MotBでNWN2システム自体の上限として設定された30lvをこえてレベルを上げることはできない。


 さて、非常によくある質問、というかおおよそNWNやBGシリーズに言及していて最も多く聞く質問が、「レベルキャップを(NWN2なら30lvを超えるように)外せないのか」というものである。

 上記のcampaign editorでlvキャップについて30lvを超えた値を入力したとしても、成長は30lvで止まる。数値上のレベルが30lv上限であることは、現状のelectron engine上ではプログラムレベルで指定されており、ユーザーhak等では変更できないようである。一方、後述するように、ユーザーhak側で、ある程度xpが蓄積された段階で高レベルに相当する「能力」を付与することで疑似的に30lvを超えるようにすることはできるが、それには別の問題もある。
 NWN2では(NWN1の40lv以上もそうだが)30lv以上についてはキャップを「外す」という表現は適切ではない。30lvを超えるレベルについては、そもそも「データそのものが存在していない」のである。NWN1や2のシステムは、他のCRPGではしばしばあるような「レベルが上がると能力値が加算される」「計算が自動的にレベルx○点になる」などといったものだけでなく、クラスlv・キャラクターlvの1lvごとに、lvを獲得するとどのような能力が得られるか等が逐一決まっており、キャラクターには1lvごとにそれらのデータが記録されている。つまり、データがなければ獲得しようがない。
 30lv以上のルールをhakで準備するにしても、それらのデータを完全に整備する必要がある。すべてのクラスについて30lvをこえた場合のデータ(能力獲得テーブルなど)を整備しなくてはならないし、おそらく他のlvに関係のあるシステムもそうである。
 膨大な手間がかかるが、実行しているPWサーバーなどはある。NWN1やBG2と同じ40lvや、それ以上をサポートしているサーバーもしばしば見かけられる。

 しかし、別の記事で述べたように、NWN2のエピックレベルのシステムは3.5eのPnPの元ルールとは大幅に異なるものであるし、はたしてPnPのエピックレベルでバランスをとる(これ自体が至難である)ためのノウハウが役に立つのか、ひいてはバランスを取れるのかも定かではない。個人的には、手間に見合うような利益が得られるとはとても考え難い。
 一方、上述したように、xpは30lv以降も蓄積されることがあり、またlvキャップの方は30をこえた値を入力してもレベルは上がらないが、xpキャップの方は561,000xpをこえて設定することはでき、xpだけは蓄積が続くようにすることはできる。このシステムを利用して、xpキャップの方だけは非常に大きな値を設定し、30lv以降は元ルールに相当したレベルを設定しているわけではないが、一種のエンドコンテンツとして、一定xpごとに細かいボーナス(特技や能力値、ガイドラインとしては3.0eのFRCSに載っていた「エピック・レベル特典」や、5版の「偉業の証」など)を付与しているPWサーバーなども存在する。







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