わかりにくいルール(システム)の小ネタ(というか実装の厄介な点)、主に特技
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《武器の妙技》
この特技はDexがStrよりも高い場合、命中判定にDexが使われる(命中にStrは使われない。ダメージはStr準拠のまま)というものであり、軽戦士のご用達である。
(1)対象武器
・ダガー、ハンドアックス、カマ、ククリ、ライトハンマー、メイス、レイピア、ショートソード、シックル、(ウィップ)、素手攻撃に適用される。
・つまり「小型武器」などと一律決まっているわけではない。
・素手にも適用される。 中型武器であってもレイピアには適用される。
・上記対象武器であっても、自分よりサイズが大きい武器には適用されない。つまり、自分のサイズが「小型」であるハーフリングやノームが「中型」のレイピアを使った場合は適用されない。 他の対象武器はすべて小型以下なので、ハーフリングやノームでも適用される。
・SoZに登場するラストリ船長(ストロングハートハーフリング)は、上記事情のためレイピアでは武器の妙技が適用されない。デフォルトで持っている「ラストリのレイピア」は分類はショートソードなのでこれを使う分には問題ないのだが、武器熟練を持っているのがショートソードではなく「レイピア」であるという設定ミスがある。
・小型キャラが一回りサイズの大きい武器を使用できる《大業物》特技を習得し、レイピアを用いても、中型キャラと同様には機能しない。詳しく述べると、中型キャラでよく行うようにメイン武器としてレイピアを持ち、もう片方の手に盾やサブ武器を持っても、《武器の妙技》は機能しない。ところが、レイピアだけを持ち、もう片方の手が空いていると、《武器の妙技》が機能する。「片手用武器」として装備した旨が表示され、実際に《強打》などは片手持ちの効果で両手武器扱いにはなっていないが、なぜか両手持ちのようにダメージのStrボーナスが1.5倍になっているという、かなりややこしい状態になる。
(2)習得
初心者は忘れがちな点として、BAB+1が前提条件である。つまり、戦士系以外は1lv時のBABが0であるので、1lv時には取得できない。RogやBrdで軽戦士を作ろうとした際はいきなり躓くことになりがちである。
《武器熟練/開眼》
(1)効果
・武器熟練/開眼には、(通常の)武器熟練/開眼、上級熟練/開眼、エピック級熟練/開眼の3段階があり、6特技で命中+3/ダメージ+6である。
・Ftrの象徴的特技であるが、他の特技やクラスにも戦闘能力の底上げ手段はいくらでもあるとして、PnP版ゲーマーには(「HFOのネタ扱い」を本気で信じ込む等含め)異様な過小評価を喧伝している者がいる。が、他の手段がある程度限られ、少なくとも戦闘回数やスピードがPnPとは比較にならないほど大きいNWN1/2の多くのモジュールでは有効性は圧倒的に高い。
・本来、3.0e(NWN1)には「上級」段階がなく、3.5eでは「エピック」段階は3.0eからのアップデートのデータで充分に整理されていない。NWN2ではこれらを統合して実装した名残か、後述するような宙ぶらりんのルール的不自然(非対称性)やわかりにくい点を多数抱えている。
・3.XeのPnPプレイヤーには周知だが、「開眼」「上級開眼」はそれぞれFtrのクラスレベル自体が4lv, 12lv必要である。「上級熟練」にはFtr8lvが必要である。非PnPゲーマーにはわかりにくい点であるが、FtrLvがこれより低いままBABだけ+4や+12以上だったり、Ftrクラスレベルの取得と同時に特技を取得する、というだけでは、これらの開眼等を取得することはできない。(NWN1の最初期バージョンでのみこれが可能であり、すぐにFixされたが、厄介なことに、NWN1の攻略サイトにはいまだに可能と書かれたまま直っていないことがある。)
・一方で、「エピック級熟練/開眼」はキャラクターレベルさえ21lvより高ければ取得できる(前提特技の上級熟練/開眼のためにFtr8/12lvは必要ではある。次に述べるがファルシオンはバグでこれも必要ないことがある)。
(2)ファルシオン
・エピック級開眼は原則的に「上級武器熟練/開眼」が前提条件となっているが、どういうわけか「ファルシオン」だけは、「武器熟練/開眼」があれば「上級武器熟練/開眼」が無くても習得できる。
ファルシオンでその場合、「上級武器熟練/開眼」の有無にかかわらず、命中/ダメージは+3/+6になる。どうも開眼/上級/エピック級でダメージ+2ずつ累積等ではなく、エピック級の時点で+6に上書きされているようである。
つまり、ファルシオンのエピック級開眼者になるには、Ftr12lvは必要ない。キャラはエピック級である必要があるが、Ftrレベルは6lvほどで済む場合がある。
3.0eやNWN1(上級熟練/開眼そのものが存在せず、通常の熟練/開眼のすぐ上がエピックになっている)を引きずっているとも、SRDの一部記述(3.0eのELHからアップデートされていない)に準拠しているとも考えられるが、どのみちNWN2でファルシオンでだけこうなっている理由は不明である。
ファルシオンはNWN1のデフォルトにはなくNWN2で追加された武器で(NWN1では、ユーザーオプション群hakであるCEPでは追加されている)NWN2ではfeat.2daを見ると最初のOCの時点から特技は存在するものの、特技のIDは他の武器よりもかなり後になっている。さらに、エピック級武器熟練・開眼よりも上級武器熟練・開眼の方がIDが後になっている。おそらく、NWN1のデータをベースにNWN2の武器データを作る際、まずはNWN1の他の武器に倣ってファルシオンの通常とエピック級の武器熟練・開眼のデータを追加し、ついで3.5e準拠の上級武器熟練・開眼を追加した際に、エピック級の方の前提特技を直し忘れてNWN1(3.0e)準拠の「エピック級熟練・開眼の前提特技が、通常の熟練・開眼のみ」のままになったミスではないかと思われる。
なお、Kaedrin PRCなどのユーザーfixではこの前提特技は修正されているので、これらを導入している場合は、ファルシオンだけエピック級開眼を近道するといったことはできず、上級開眼とFtr12lvが必須である。
《追加hp》
NWN1時代からPnPとNWNの差として特に話題にのぼりやすかったのがこの特技である。PnPでは3.0-3.5eの間、効果は「hp+3」となっており、特技ひとつ費やして単に最大hpを3増やすだけというのが、3.0eで他に取る特技のないHFOがこれを大量取得したりしてコケにされまくるネタに使われていたものであったが、実の所、ルールブックのサンプルキャラ達ではウィザードとかがこれを持っている。結局のところ、サンプルキャラらが持っているのはゲームを厳密に考えるとこんなわずかな底上げでも生存率上昇がそれほど重要だからであり、コケにされるべきはHFOなどではなく、OD&D〜CD&Dの頃から続く、コボルドの錆びた槍がウィザードの不運な場所にぶっ刺さればおさらばで御座いますというD&Dの根本的性質(モンテ・クックも自作d20で指摘している)にあったといえる。
かなり脱線したが、NWN1では追加hp特技は1回しか取得できないかわりに「ヒットダイスごとにhp+1」と大幅に変更されており、特に低レベルでは非常に地味だが、レベルが上がれば上がるほど堅実に生存率を上げる特技となっている。なお、上記のhp+3の他に「追加hpの上位特技」として同様又は似た特技を追加するルールは、PnPの方でもクラス本やPFなどにみられるようになっている(日本語で読めるものとしてはr《戦士大全》(Complete Warrior, CW)の《強化版追加hp》がある)。一方、NWN以外のD&Dゲームを見ると、IWD2やToEEなど、PnPのhp+3を忠実に再現してしまっているゲームもある。
NWN2でも基本的にNWN1を踏襲して「ヒットダイス(レベル)ごとにhp+1」であるが、特記すべきは(元のPnPのルールの時点からそうだが)プレステージクラスにはこれが前提特技になっているものがあることである。具体的には、NWN2の重要プレステージであるドワーブンディフェンダーとストームロードの前提特技にこれがある。PnPではこれらのクラスについては、「折角の強クラスが、前提に追加hpが入っている(1回は取得しなくてはならない)というだけの理由で、目指したその時点で大損をしたような気分になる」などと評されることもあったのだが、NWN2では無駄にならない前提特技であり、安心して目指すことができる。クレリックの特典やレンジャーのボーナス特技などで習得できることもあり、地味にありがたい。なお、「追加hp」はPnPのHJ社訳の時点で原語(Toughness)からかなり意訳されているので英語wikiなどを見ていると見逃されることがある。
NWN2と元ルールでは、ヒットダイスの差が大きい。3.Xeでは、例えばヒットダイス1d6/lvのローグやバードと1d8/lvのクレリック等の信仰系では、「期待値1.0点/lvの差」となるよう元ルールではバランスが取られているといえる。ところが、NWN2ではヒットポイントがレベルごとに全て最大値なので、そのままRogで6/lv、Clrで8/lvとなり、「2.0点/lvの差」、Con修正がなければRogはClrの4分の3のヒットポイントにすぎず、生存率に大きく差が出る(これが、一般に大量の敵が群がるNWN2の戦闘において、Rog系が前衛に向かない、とこのサイトで言及している理由である)。同じことがヒットダイスがさらに低いWiz/Sorや、信仰系と戦士系の前衛能力の差にもいえるので、レベルごとのヒットポイントを確保する手段として、この《追加hp》特技は重要である。
一方、エピックキャラの上位特技である《エピック級追加hp》の方は、NWN1/2でもヒットダイス(レベル)依存ではなく3.0e, 3.5eのPnP同様に「固定hpの追加」となっている。ただし、その追加量はこれらの版やゲームごとにばらつきがある。NWN2では+30hpである。例えば、NWN1ではEpic Toughnessの効果は「+20hp」となっていたので、40lvキャラはGreat Constitutionを2回取得することで+40hpかつFort st等にもボーナスがついたので、「Epic Toughness x2 < Great Constitution x2」=Epic Toughnessに存在意義はない、と論じられることがあった。一方、NWN2では30lvまでで+30hpなので、hp量のみに限っては明らかにEpic Toughnessの方が有利であり、両方(特技前提やstとの関連でConの方を選ぶか等)考慮できる。
《武器熟練(遠隔/近接接触攻撃)》
・これはカテゴリやルール的には「武器」熟練の一種ではあるのだが、実質は何かの武器(素手含む)ではなく、「呪文」などでしばしば判定に用いられる遠隔/近接接触攻撃の命中を上げるものである。初心者が「近接武器全般」か何かだと思ってOCのドワーフ戦士・ケルガーに持たせてしまったという話があるがおそらくケルガーが使用する機会は限りなく0に近い。
・個々で言えば、「遠隔」接触攻撃については怪光線(エルドリッチブラスト)の命中判定を頻繁に行うウォーロックに有用な機会が多い。また、他に遠隔接触攻撃を行う呪文、メルフズアシッドアロー、スコーチングレイ等を多用するソーサラーなどなら想定できないでもないが、そこまで割り切ったビルドがあるかは不明である。「近接」接触攻撃はCLR呪文リストのインフリクト系などが挙げられる。悪のセイクリッドフィストなどが使用することはあるかもしれない。
《信仰の威力》
・一連の「信仰特技」のひとつで、3.0eの悪名高いDefenders of the Faith (DoF)の他, Deities and Demigods (DDG), Faiths and Pantheonsなど多くの出典を持つが、日本語で読めるものとしては3.5eのComplete Warrior (CW, 『戦士大全』)がある(混乱するかもしれないがCD, 『信仰大全』には載っていないので注意)。信仰特技は「ターンアンデッド」回数を消費して各種ボーナスを得るもので、PnPの時点から、特にパラディン等ではクレリックより弱くいまひとつ使えないターンアンデッド回数のかわりに使用するものとして選択肢であったりする。
このうち《信仰の威力》は、NWN1/2では使用ごとに「Chaボーナスラウンドの間、Chaボーナスをダメージに加算する」ものだが、ことNWN2では、様々な条件が重なり、他の攻撃力バフに対して頭二つほど抜けて強力なものとなっている。単にこれひとつのためにStr13, Cha13, 前提条件である《強打》, Clr1lvやらPal4lvやらを入れているというビルドが少なくない。
この特技による追加ダメージは神聖(Divine)ダメージである(Divineはキャラクターシートでは「信仰」ダメージ、ブランド印などでついた場合のアイテム説明では「神聖」ダメージと表示される)。NWN2では、他の一見信仰系に見えるバフやアイテムの印、例えば武器のホーリーの印やNWN2-OCのホーリーアベンジャーの持つ追加ダメージなど、多くが「魔法」ダメージとなっており、他のバフやアイテムと累積しないことが多い。しかし、この特技のDivineダメージは他のバフやアイテムには滅多になく(フレイムストライクのダメージの半分や、ハンマー・オブ・ザ・ゴッズなど、呪文が神聖ダメージ属性を持っていることはある)大抵の武器攻撃では累積する。
また、完全に判明してはいないがNWN1, 2wikiなどの備考によると、この特技はDivineダメージにも関わらず、なぜかブランド等ではなく、キャラ自身のダメージ、即ち武器の基本ダメージの底上げ扱いになっており、ダメージタイプの耐性(又は弱点)などの影響を受けない。また、武器のブランド印のダメージ(例えば火の元素ダメージ+1d6や、ホーリーの魔法ダメージ+2d6など)はクリティカルしてもそのままの値だが、いったいどういう話なのかこの特技のDivineダメージはクリティカルで増加する。これも武器のベースダメージと一括で増加しているためと思われる。
PnPではパラディンは能力が全般的に相当高くないと充分な能力を発揮することができず、クレリックもChaにまでつぎ込む余裕がないことも多い。しかし、32ポイントバイのNWN2では、キャラの能力がかなり高い。また、能力値増加アイテムが入手しやすく、というかクラフトでOCですら能力値+8のアイテムを造ることができるため、エピック以前にも一点のパラメータを極端に高くすることができ(ユーザーhakではこれら能力値増加アイテムが強すぎるとして、使用しにくくしている場合がある)能力値に直に依存する特殊能力はかなりの効果を発揮する。
またNWN2では、信仰の威力をさらに強化できる特技が充実している。回数を増強できる退散回数増加がIIIまであり、MotB以降のエピック特技には、威力及び持続時間をCha値の2倍にする《エピック級信仰の威力》がある。エピック級信仰の威力は、これだけで30lvパワービルド自体の構想の中核になっていることも少なくない。
・前提条件として、信仰特技にはターンアンデッド以外を前提に要さないものもあるが、信仰の威力は「Str13, Cha13, 強打」を必要とする。特に強打をうっかり忘れて取得できないという状況に陥るプレイヤーは多い。また、この特技を取るようなキャラのChaを低くすることはあまりないのでこちらは忘れないと思われるが、3.5eのPnPの元ルールである上記CWではターンアンデッドと「Str13, 強打」のみで、本来「Cha13」は必要ない。これは、3.0eの上記DoF, DDG, Faiths and PantheonsなどではCha13も要しており、3.0eのNWN1でもそうだったので、おそらくはNWN1からNWN2に移す時に3.5eに直さずそのままにしてしまったのだと思われる。
・信仰の威力を含め、信仰特技は基本的に、「ターンアンデッド能力」を持つクラスレベルを取得した際の、同時の特技取得でないと取得できない。例えばベースクラスではパラディンとクレリック(プレステージではブラックガード)である。つまり、例えば6lvや9lvといった「特技を取得できるキャラクターレベル」において、パラディンやクレリックのレベルを取得する(上げる)といった工夫がマルチクラスでは必要となり、うっかり順番を間違えるとビルド構想が破綻する。
・ただし、(エピック特技の多くがそうだが)エピック級信仰の威力の方は、他の前提さえ満たしていれば、特にターンアンデッドのないクラスのレベルを上げた時でも取得できる。
・英語名のDivine Mightについて、Divine Power呪文といずれもNWN1/2の信仰系の戦闘能力について特に重要で頻繁に出て来るため、英語サイトなどを見ていると紛らわしいことがある。日本語化パッチの邦訳では呪文名の方がカタカナなのでゲーム内では間違わない。
《大業物》
・本来よりも大きなサイズの武器を命中-2のペナルティーで使用する特技で、PnP版のルールとしては、3.0eでは(Weapon Masterの出典でもある初期の粗いルールである)Sword and Fist、3.5eではComplete Warrior (CW, 戦士大全)を出典とする。PnPでは、まさにベルセルクやFF7のように、グレートソード等よりもさらに大きな武器を使用するのにしばしば用いられていた。
・が、NWN2ではグレートソード等「大型」武器までが一応の最大で、さらに大きなサイズの武器はシステム的に存在しない(ジャイアント等の持つ武器は、物にもよるが爪・牙等の肉体武器扱いで表現されていることがある)。そのため、この《大業物》特技の用途としては、人間等の中型キャラが大型(通常は両手用)武器を片手に持つか、ハーフリングやノーム等の小型キャラがロングソードやモーニングスター等の中型武器を片手に持つか、小型キャラが大型武器を両手持ちして怪力チビキャラするかといったところである。ハーフリングやノームはStrにペナルティーがあることもあって、キャラ付けはともかく実用性は低い。
・一方、中型キャラが大型武器を片手持ちするパターンとしては、両手にそれぞれグレートソード等のビルドもないでもないが、片手に大型武器、もう片方に盾を持って防御を強化するパターンもある。一見、中型武器+盾に比して、余分に特技を消費するほどのメリットはないように見えるのだが、武器が大型武器である「槍」に限られるストームロードが盾を持つために選択されることは実は多く、ストームロードの強さ及び使用頻度と相まって、NWN2wikiなどでも「《大業物》の最も主要な用途」と言及されている。ただし、《大業物》特技は僅か-2とはいえ命中率が下がるので、BABが並の信仰系では、ディバインパワー呪文か何かで命中率を確保しないと(そしてバフしにくいSoZなどでは)結構辛いことになると思われる。
・ちなみに、どうしてもベルセルクやFF7をやりたい場合、この特技ではなく、ただのグレートソードでグラフィックだけ巨大なものを追加するhakならあるので、あとはツールセットのデータで(ダメージ追加、AC上昇など)なんとかすればいい。
《圧倒的クリティカル》
3.0eのEpic Level Handbook (ELH)から、3.5eではDMGに記載されたごくわずかなエピックルールの中にもこの特技が含まれているため、エピック特技としてはよく知られたものである。クリティカルヒットの際のダメージを+1d6(クリティカル倍率が大きければその分1d6ずつ増加)する。
3.Xeの紹介サイトでは、この特技を例示して、DMGに載っているエピックルールがELHやSRDのものに比べていかにヘボいかの比喩に持ち出されていることすらある。そりゃ確かにELHやサードパーティーd20のエピックのブチキレまくった記述を見慣れると3.5eDMG記載のものなど物足りないのは確かであろうが、一方、NWN1/2採用の(わりとおとなしいものも多く、平均がかなり下がっている)エピック特技の範疇ではどうかというと、結局は同様に、この中でもかなり弱い方に属すると言わざるを得ない。例えばNWN2wikiの分析では、平均して1攻撃あたりのダメージを1.6-2.8(ウェポンマスターなどのクリティカルに特化したクラスの場合)ほど増加するのではないかとしており、エピック級武技(単純に命中+1)などと比べてさほど悪くもないように見えるが、クリティカルは無効な敵がいるなど、状況によって有用性も大きくばらつく。
それでもNWN1では、瞬殺クリティカル(大概のヴォ―パル武器以上の確率で即死攻撃を行う、持っているだけで多くのPWサーバーからBANされるほどの凶悪特技である)の前提特技であるためもあって、普通に取得されていたと思われる。またNWN1では、圧倒的クリティカルの+Xd6は武器自体のマッシブ・クリティカル能力やThundering Rageの追加クリティカルとも全て累積するため、実は地味な底上げになっている。
ところがNWN2では、瞬殺クリティカル特技は無くなっており、バランス上は順当ではあるのだが、圧倒的クリティカルを習得する理由が減っている。しかも、NWN2では圧倒的クリティカルの+Xd6は、武器の「マッシブ・クリティカル」印とは累積しない。これはNWN1で武器のキーンと特技のクリティカル強化が累積していたのが、NWN2ではしないのと似たようなものである。
結局のところ、ウェポンマスター等のクリティカル特化のキャラであれば、若干でも底上げのために習得する理由がないでもないが、入手できる武器の能力とあわせて、習得を急ぐようなものでもないと思われる。例えば圧倒的クリティカルの前提特技にクリティカル強化もあるが、武器にキーンとマッシブ・クリティカルが付与されているような場合は、NWN2ではクリティカル強化の時点からすでに必要ないということになる。
《呪文高速化》
+4呪文レベルの呪文スロットを費やすことで、その呪文を高速化する。元の3.5eルールの呪文修正特技のひとつ、呪文高速化は、1ラウンドにひとつの呪文を即効アクションとして発動できる(つまり、高速化した呪文とその他に1つの行動、例えばもう一つ通常呪文の発動ができる等)。NWN1/2の呪文の説明文だけ読むと一見同様に見えるが、リアルタイム制のためもあり、実際は大きく異なっている。
NWN2のものは、《呪文高速化》が適用された呪文の詠唱時間を半分に(元が1ラウンドすなわち6秒の呪文なら、3秒に)する。当然、高速化と通常の呪文(行動)を交互に投射した場合など詠唱時間はPnPとは大きく異なってくる。また、3秒で発動するので(瞬時に発動するPnP版とは異なり)その間のダメージ等で集中を乱されることもありえる。
なお、NWN1ではヘイストにより詠唱時間が半減したので、この特技はヘイストとは効果が累積しないようになっており、特に恒久ヘイストのアイテムが手に入りやすいNWN1では非常に有用性の欠ける呪文修正特技になっていた。一方、NWN2(3.5e)ではヘイストでは詠唱時間は半減しないので、ヘイスト影響下でも一応効果のある特技となってはいる。しかし、上記の事情から、PnPほど有効ではないという見解が多い。
《呪文自動高速化》
特定レベル呪文に対して、呪文高速化が自動で適用される(つまり、+4レベルのスロットを費やす必要のない)エピック級特技である。
PnPでは呪文自動高速化Iで1-3lv(おまけで0lvも)呪文を高速化でき、IIで4-6lv、IIIで7-9lv呪文と、3特技で全て高速化できた。NWN1でも同様である。しかし、NWN2ではIで0-1lv, IIで2lvだけ、IIIで3lvだけと、習得速度が3分の1になっている。他のエピック自動化特技、自動呪文動作省略や自動呪文音声省略はPnP版同様に1特技ごとに呪文レベル3ずつ自動適用できるので、高速化だけこうなっている。これらの自動呪文修正のエピック級特技の中では高速化が特に強力なため、このように変更されていると思えないでもないが、キャラクターレベル30lvキャップのNWN2では高レベルの呪文を高速化するのは非常に難しく、上述した呪文高速化そのものの仕様変更もあってかなり厳しい(NWN2wikiではbad jokeなどと評している)。
なお、通常、(非エピックでは)NWN1/2ともに、PnPとは異なり、ひとつの呪文に対して呪文修正特技を複数適用することはできない(エピック級の公式キャラの何人かは、呪文レベル十数のスロットを幾つも持っており、複数の修正特技を適用した呪文をこのスロットで使用することがあるが、NWN1/2では呪文レベル9より上のスロットは無い)。しかし、呪文修正特技を自動化するエピック級特技すべてについて言えることであるが、これらの自動化特技の自動適用については通常の呪文修正特技と累積して適用される。例えば、自動呪文高速化IIIを習得した術者は、威力強化マジックミサイルを3lvスロットから詠唱すれば、その呪文は「高速化かつ威力強化」されたものとなる。使用できれば強力なことは強力だが、上記したように難点が多い。
《一撃回数増加》、《大いなる一撃》
プレステージクラス説明のディヴァインチャンピオンの箇所にも書いたが、この特技は「一撃(smite)」系の特技を複数取得していた場合、全部の回数が増加する。Pal/ディバインチャンピオンの場合、《悪を撃つ一撃》《異教徒を撃つ一撃》の使用回数が両方増加する。さらにブラックガード等のクラスを取得していた場合《善を撃つ一撃》も増加する。ハーフセレスチャルクラスや破壊領域のクレリックで善・悪・異教徒を撃つ一撃を習得した場合も同様である(これもディヴァインチャンピオンの箇所に書いたが、同名の特技についてはクラスで取得していた場合は回数は累積しない。また、種族やClr領域で取得した場合は、実装不足ではあるがlvがダメージに加算されない)。
そのためCha能力値の増強(エピック特技、アイテム)や特技とあわせて、「一撃の能力に全て特化したビルド」がしばしば提案される。例えば、一撃の威力を高めるエピック特技《大いなる一撃》Great Smitingは複数回習得可でダメージにlvがさらに加算されていく。なおゲーム内の特技説明が誤っており、「キャラクターlv」が加算されるかのような記述だが、無論のこと一撃に関連する「クラスlv」、例えば悪を撃つ一撃ならPal, 異教徒を撃つ一撃ならディバインチャンピオン(DC)のlvしか加算されない。(ただし例外的に、PalとDCのクラスを持っている場合、Palの悪を討つ一撃のlvには何も関係ないDCのlvがなぜか加算される。これは、NWN2のDCがNWN1のチャンピオン・オブ・トルムを流用して作られており、NWN1ではトームのチャンピオン専用に簡略化され悪を討つ一撃を修得しPalと能力が累積していたのだが、NWN2ではそれを修正し忘れたのだと考えられている。)
が、《一撃回数増加》の特技があってもそう回数が多くなるわけでもないし、回数が切れると、(一撃では付いていた命中率へのChaボーナスが付かなくなるので)StrやDex特化ビルドに比べると命中率が大きく落ち(MotBなどではそれほど重要ではないが、命中率がシビアな高難易度モジュールやマルチプレイサーバーだと厳しいという声がある)、また《大いなる一撃》に全てつぎ込んだとしても総合的な攻撃力そのものも他の強ビルドと比べると特に高いわけではないので、ロマンビルドの一種と考えられているようである。(なお、特にPalの一撃の能力を増大させるHoly Devastatorのアイテム(プロパティ)はNWN1/2とも実装されておらず、そのまま再現もできない。)
無論、それに特化しないにしても、一撃にせよ増加特技にせよ、Palなどがサブ能力として持っていて無駄になる能力ではない。
背景特技
ここでは《英雄の幸運》《呪文の天才》《銀の拳》《芸術家》など、通常の特技スロットを費やすが、キャラメイク(キャラクターレベル1lv)時しか習得できないもの(Background Traits)を指す。3.0eFRCSでは、lv上昇時のスロットと地域知識技能に応じて複数習得することができるものもあったが、3.5eのPlayer's Guide to Faerunでは1lvのみ1人ひとつ習得可能であり、NWN2でも同様である。
いわばキャラメイク時にこれらの中から厳選してひとつだけ取得する、というわけだが、これらは厄介なことに、明らかに等価ではない。例えば《強い魂》は「頑健と意志stに+1, 即死魔法のstに+1」だが、《英雄の幸運》は「全てのstに+1、さらにACにも+1」である。(NWN2での)性能上は後者の方が完全な上位互換であり、分れているのは多分に、俗に言うロールプレイ要素である(これはCRPGでは全く意味をなさないように見える言葉だが、NWN1/2では対人プレイやDM、モジュール内でのフォローもありえるので、関係ないとも限らない)。
強力なものとして広く認められているものに、上記の《英雄の幸運》の他、《呪文の天才》などがある。
これらは1lv時以外は取れないため、1lv時にはできるだけこれらの背景特技を取得しておきたい、と思うプレイヤーが多いと思われる。特にパワービルドによく言及される、上記の2特技などはなおのことである。
ただし、特に、人間とストロングハート・ハーフリング以外の種族(そして1lv時に1つボーナスが得られるFtr以外のクラス)では、キャラメイク時には1つの特技しか取れず、次の機会は3lvとなる。キャラメイク時の唯一の特技を背景特技で潰してしまうと、あとあとまで引きずることも多い。そうした例はキャラメイク時FAQでも書いたが、さらに例を挙げると、スワッシュバックラーでDexに極振りした二刀流軽戦士をやりたい場合、1lvではクラスlv1のクラス特技で《武器の妙技》を習得できるとして、もうひとつ1lv時に自由に選択できる特技として背景特技を取ってしまうと、3lvまでは《二刀流》が習得できなくなり、戦力に大幅な差が生じる。(ファイターならライトシールドなどでお茶を濁せるが、スワッシュバックラーでは盾習熟特技がないのでそれもままならない。)
低レベルから活躍できるキャラを作りたいなら、背景特技のような多少の底上げは捨てても、必須の能力の方を優先した方が得策となる。無論、両方取得できるならばそれに越したことはないので、低レベル時から役立つよりも、高lvキャラになった際の「完成度」の方を重視するのであれば考慮の余地はある。
《二刀流》《二刀流強化》《上級二刀流》《完全二刀流》
装備選択faqの武器盾・二刀流比較のあたりともかぶる話で、問題はエピック特技の完全二刀流なのだが、とりあえず順を追って、二刀流全般、NWN1と2について説明する。
NWN1(3.0e)では二刀流攻撃には、ペナルティーを充分低減するために《両手利き》と《二刀流》の両方を持つことが望ましい。上位としては二刀流強化 Improvedの段階(サブ武器が2回攻撃になる)までしか無い。《両手利き》にはDex15が必要だが、二刀流や強化には前提能力値は無い。レンジャーは軽装以下に限るが、1lvでDexの前提不要で両手利き・二刀流の両方と同様の効果が得られ、9lvで二刀流強化に相当するサブ武器の2回攻撃が得られる(NWN1ではレンジャーには二刀流以外のスタイルは無い)。
一方、NWN2では3.5eに倣い、《二刀流》特技ひとつで3.0eの特技二つ分のペナルティー軽減が得られる。上位特技としては強化 Improved, 上級 Greator, 完全 Perfectがあり、それぞれサブ武器が「2回」、「3回」、「主武器と同じ」(後述、なお完全二刀流はEpic特技)になる。ただし能力値の前提がかなり厳しく、二刀流でDex15, 上位でそれぞれ17, 19, 25が必要である。
二刀流スタイルを選んだレンジャーは2lvで二刀流、6lvで強化、11lvで上級、21lvで完全が得られ、3.0eよりかなり成長が早く強力である。こちらもNWN1同様、Dexなどの能力値の前提は必要ないが、やはり軽装以下でしか使用できないため、あまりDexを低くすることは(鎧が薄く危険すぎるので)想定しにくく微妙である。
長々と3.XeのPnPゲーマーには当たり前の話を続けてきたが、問題はここからである。サブ武器が二刀流強化で2回、上級二刀流で3回、完全二刀流でメイン武器と同じだが、わざわざ「メイン武器と同じ」と言ったって3.Xeでは最大4回攻撃なので4回と言っとけよ、とか思うであろう。PnPでは(Pathfinderであっても)そうであるし、NWN1でもエピックでも最大4回攻撃である。
が、別の箇所で述べたように、NWN2ではPnPの3.Xeやエピックのルールとは異なり、通常の戦士系では最大で6回攻撃になる。おまけにモンクの連打ではもっと多くなることがある。よって、上級二刀流まででは逆腕の攻撃回数が3回だったが、完全二刀流を習得したとたんに5回やそれ以上になり、いきなり跳ね上がるという現象がしばしば発生する。
一応、完全二刀流は前提条件にDex25があり、キャラ作成時Dex20(Dex+2の種族)のキャラが20lvまでのレベルアップで5回ともDexにつぎ込んでいると25にはなるので、最速で21lvで完全二刀流を習得できる場合がある。その場合、NWN2ではこれも最速の戦士系ではBAB21なのでメイン武器は5回攻撃になっている。Dex25確保がさらに遅れることもあるし、メイン武器の攻撃回数が6回や、さらにモンクの連打の場合はもっと多くなっていることもある。すなわち、完全二刀流の習得前はサブ武器は3回攻撃だったのが、完全二刀流を習得したとたんにサブ武器が5回やそれ以上の攻撃回数となり、文字通り別次元の強さとなる。例えばBAB26以上でカマを完全二刀流で使い、Mnk11の連打強化を取得し、ヘイストの影響下にある場合、18回攻撃となる(なお、NWN2ではモンク11lvの連打強化にはバグがあり、ヘイストがなくともメイン武器のみは追加攻撃がある)。
敵のACやDR(武器のブランドを無視する耐性なども)が非常に高い場合などの場合は、Str特化ビルド(6〜ヘイストで7回攻撃)の方が安定する場合もあるが、二刀流キャラを考慮する場合、メイン武器の攻撃回数及び完全二刀流の有無で攻撃力があまりにも変わりすぎるというのは何にせよ問題ではあり、またNWN2のカマモンクや二刀流のビルドを画一化させている(軽戦士ビルドのカゼノカマなどで説明している)側面もある。
なおNWN2では、仮に前提条件(BAB+6,+11など)を満たさないのにアイテムに付いた特技付与やクラス能力(デフォルトには無いが、KaedrinPRC hakのTempestなど)により二刀流強化や上級二刀流が付与された場合、メイン武器側がBABが足りず2〜3回攻撃に満たないのに、逆手武器側が2〜3回攻撃できるというおかしな現象が発生することがある。これを利用してBABが少ないクラスでも攻撃回数を増やせる低レベルビルドに応用できるかもしれないが、あまり実用性は考えられない。
《死の破滅》《エレメンタルの破滅》《自然の破滅》《精霊の破滅》《Builder's Ruin》
何やら見覚えのない特技だと思うかもしれないが、これらは「特技」扱いではあるがキャラ作成や成長時に選ぶことができない。一部の公式モジュールのアイテムの印(プロパティ)としてこの特技を付与するものがある。これは3.Xeではクリティカルや急所攻撃が生じないアンデッド、エレメンタル、コンストラクト等に対して、部分的にクリティカルや急所攻撃のダメージ増大が生じるようになる特技である。
3.Xeは、特に高レベルでクリティカルや急所攻撃が強力になってくると、これらが生じる敵と生じない敵であまりにも差がつきすぎることがPnPでもPCゲームでも多々指摘されてきた。本来、AD&Dなどの旧版では盗賊系のバックスタブ類は人型生物にしか効かず、版やオプションや派生CRPGで他の怪物に効くように拡大されてきた経緯があるが、そもそも人間と構造の違う怪物の類に急所攻撃等が効くこと自体、人間の構造や動きを熟知した暗殺者やら剣客やら修行僧やらの技術が怪物にでも何でも効くこと自体がおかしいので(クリティカルについても、いわゆるWizardryの「ニンジャがスライムの首をはねた」問題として有名である)効かない敵に出会ったら窮地に陥るくらいは海外の古いソーズアンドソーサリー類の『無情ファンタジー世界』なら当然、という考え方もある。が、実際問題3.Xeのルール内の話としては、結局はどんな敵を出すかのDMのさじ加減一つで急所攻撃やクリティカルのウェイトが大きいクラス(高レベルローグなど)の活躍・爽快感に差がありすぎることはよく指摘されていた。急所がない敵といっても、粘体はともかく、アンデッド、コンストラクト、エレメンタル類とあわせるとD&Dのダンジョンの敵としては相当な割合を占める。またクリティカル等による効果が強力になると、それらが効く人間や来訪者などの強敵がかえって「弱い」という印象すら与えかねない。これはやはり考慮の余地があるとされてか、D&Dでも例えば後の5版では、クリティカルや急所攻撃については特に敵の分類によらず起こるようになっている。
NWN1/2でも上記3.Xeの問題は顕著で、クリティカルが強力なウェポンマスターや、特に瞬殺クリティカル特技のあるNWN1のエピックなどでは、クリティカルが生じる対象か否かでかなりの差がある。NWN2には3.5e PnPルールには無い独自特技として、《エピック級精密打撃(Epic Precision)》があり、急所攻撃耐性のある相手に対して半分の急所攻撃ダメージを与えるものの、クリティカルの方は起こらない(ただし幾つかの効果があり、改めて別の箇所で述べる)。
NWN2のこの"Ruin"特技群は、3.Xe全般のそうした状況に対応するもので、敵の種別によってそれぞれ別々の特技になっており、また、急所攻撃のダメージは半分になるものの、クリティカルや急所攻撃自体は起こるというものである。ただし、NWN2は1と違って、瞬殺クリティカルの特技はないし、クリティカル自体もアイテムのブランド印の分も増大(これはNWN1のPnPルールとは異なる実装不足点である)したりはしないので効果自体が控えめである。一方で《信仰の威力》《エピック級信仰の威力》はNWN2でもクリティカルによる増大が起こりこれらの威力もNWN2では元々強いのでこれらとの組み合わせはかなり強い。
種別は《死の破滅》ならば対アンデッドのように、アンデッド、エレメンタル、植物、コンストラクトなどと分かれているが、スピリット(精霊)クリーチャーというMotB(というかスピリットシャーマンクラス)の特殊分類のものもある。Builder's Ruinのみ有志パッチでも訳されず英語名のままになっているが、うまい訳語が見つからず保留していたのがそのままになっているのかもしれない。これらの特技を付与するアイテムは、例えばデフォルトのエディタに入っているアイテムではこれらの種別に対して特に効く武器などの例がある。例えばMotBで入手できるレイピアのElemental's Ruinというそのまんまの名の武器がある。しかし、全般あまりお目にかかるものでもない。せっかくの特技なので、ユーザーシナリオ等で各作者が作成したものも見てみたいところである。PWサーバーなどで、エピック特技(偉業の証)の一種としてキャラに付与可能にするなどの選択肢もあるかと思われる。武器プロパティなどではなく、「特技」なので、「特技を付与するアイテム」は武器に限らずどんなものでもよい。NWN2wikiには、 アミュレットにこの全ての特技を付与したものをエディタで作製し、プレイヤーキャラに持たせるための手引き の記事がある。
また、ユーザーHakなどの追加クラスでは、成長時にこれらの特技を習得するように設定されているものがある(例えば、Kaedrin PRCのプレステージクラス、アンデッドハンターの一種Skullclan Hunterなど)ので、こうしたキャラをプレイしてみたいなら調べてみると良いかもしれない。
《特殊武器習熟》
どうも解説するまでもなく実際に機能を見ればわかる気がするのだが、逆にNWN1/2の差異を元ルールのPnP版の方に混同して適用しそうになる、といった声がたまにあるので触れておく。
・NWN1/2では、武器習熟特技は全てそうだが、この特技がないと特殊武器を装備自体することができない。PnPの素ルールや他版やその再現CRPGで「習熟がない武器は装備自体は可能だが命中に-4のペナルティー」等とは異なる。
・これもNWN1/2では武器”習熟”特技は全てそうだが、「特殊武器習熟」特技によって全種類の特殊武器に習熟する(装備できるようになる)。元ルールのPnPでは、特殊武器習熟の場合は習熟する武器1種を選ばなければならない。つまり、NWN2では戦領域Clrやフェイバードソウルが好意武器の特殊武器習熟を自動習得すると、信仰上の好意武器以外のあらゆる特殊武器にも習熟するという理屈の上では謎の現象が発生する。
・NWN1と2では武器ごとに軍用と特殊の分類が異なる。例えばNWN1ではククリとサイズは特殊武器だが、NWN2ではいずれも軍用武器である。これらは3.0eと3.5eの差によって生じている場合も、全く関係ない場合(例えば元から資料によって食い違っていたり、資料とNWNで違っているなど)もある。
・PnPルールでは3.0e, 3.5eともバスタード・ソードおよびカタナは「両手で持つと軍用武器、片手で持つと特殊武器」である。しかし、結論から言うとNWN1/2とも「特殊武器としてしか機能しない」。NWN1では片手持ちしかできず、当然、特殊武器習熟がないと持つこと自体ができない。NWN2ではオフハンドに何も持たない場合は自動で両手持ちになるが、バスタード・ソードおよびカタナは両手でも特殊武器扱いになる。軍用武器習熟だけあり両手であれば装備できる、といったことはなく、特殊武器習熟がなければ装備自体できない。
《弓禅一如》
Zen Archeryは3.0eのSword and Fistを初出とし、3.5eのComplete Warrior(HJ日本語版『戦士大全』)にも収録された特技である。原語からしてZen Archeryで、えらくエキゾチックでオリエンタルアドベンチャーの特殊ルールの範囲かと思うのかもしれないのだが、実のところ、他のPnP-RPGのシステムにすらも、類似の「禅弓道」のたぐいの能力の再現は(Zenという名前まで含めて)見られる。どうもマーシャルアーツの技術として広く認められているようである(ただし、例えば他の汎用PnP-RPGのGURPSでは、あくまでcinematic/漫画(非現実)技能として分類され、当たり前に存在というほどでもない)。一説には、Zenが欧米に広がった切欠に、日本の弓道を経験したドイツ人ヘリゲルによる紹介の影響が大きいため、ともいわれているらしい。
近接におけるStr-Dex変換の武器の妙技に似て、DexのかわりにWisを射撃命中判定に用いることのできる特技で、信仰系クラスが後衛の場合は役立つ特技である。
NWN1/2ともに存在する。訳が異なり、NWN1では《禅弓術》、NWN2では3.5eのHJ訳と同じ《弓禅一如》となっている(3.0eのNWN1の時点ではHJ訳が存在しなかったためである)。条件はBAB+3、Wis13以上のみで、1lvキャラメイク後すぐには使えないものの、かなり習得しやすい部類に入る。信仰系の後衛自体が基本的な組み合わせではないが、そのようなキャラをビルドする場合は、考慮する価値はある。
使用できる条件は、PnPでは特技説明文では「遠隔武器を扱う際 when you use a "ranged weapon"」と書いてあるが、一方、ルール説明文では「遠隔攻撃ロールを行うときに when making a "ranged attack roll"」と書いてある。そのため、「武器」以外の攻撃に用いることができるかどうかは、PnPでは諸説あるようである。
が、NWN2では悩む必要はなく、武器攻撃にしか適用されない。すなわち、遠隔接触攻撃、例えばエルドリッチブラスト、レイオブフロスト、オーブオブ〇〇、メルブズアシッドアローといった呪文には適用されない。信仰系にWlkやSor/Wizを混ぜてDexを切りWisを高くする、などといったビルドをする人がいるかどうかは知らないが、Wisでこれらの怪光線やら呪文の命中判定を行うことはできない。
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