入門以外の諸々を思いついた順に列記。NWN2のデフォルト設定(本サイトでは、MotB, SoZなどの拡張を入れてあるが、ユーザーoverrideなどを入れていない状態を指す)であり、オフィシャルキャンペーン以外にも多くのモジュールで共通設定であろうと思われるもの。NWN2をやりこんでいれば当然の話であるが一応。システムの基本情報であり、海外のビルド構想のような濃い話には立ち入らない。
○ベースクラス
・ウィザード(ジェネラリストとスペシャリスト)
ウィザードは全ての系統の呪文を習得できるジェネラリスト(AD&D1stではMagic-User、2ndではMage/Magi)と、特定系統に専門化し、呪文回数や威力が増加するスペシャリストが選択できる。現状はともあれ、かつてのD&D系のPnP版において、海外ではよくスペシャリストの例に上がるのが、ノームなどの幻術士(イリュージョニスト)である。これは幻術士のみがAD&D1stのPHBに、ウィザードの選択肢(キット等)ではなく単独のクラスとして当初から存在していたのと、ノーム種族がイリュージョニストに強い適性を有していたためである。
なお、「ノームのイリュージョニスト」は、AD&D1stから3.0eまで通じて、ノームの機械工と共に一組でRPGの常套句であるが(「ノームは海外ファンタジーでは僧侶系が常識」などというのは、D&D系のかわりにWizardry#1から世界のFT常識が派生した、などと長年決めつけ続けた日本限定のデマで、完全に事実無根であるので注意)3.5eからは、ノーム種族の適正クラスはイリュージョニストではなく「バード」となっているので、説明可能なアーキタイプそのものが崩壊してしまい、日本ではTRPGプレイヤーにすら、イリュージョニストとかノームとか自体がイメージとして全く通じないことが多くなっている。
ともあれ、ジェネラリストとスペシャリストのどちらを選べばよいか。
ルール把握の箇所で紹介している3.5eの入門サイト、D&Dはじめの一歩のウィザードの項目では、PnP版3.Xeにおいては、スペシャリストは「ありえない選択」であることが述べられている。これは1系統の強化に対して、2禁止系統のデメリットがあまりにも大きすぎるためと説明されている。
が、入門サイトを紹介しておいて何ではあるが、NWN1,2においては、PnPと全く同じ事情があてはまるとは言い難い。
まず、NWN1,2はCRPGであり、非D&D系一般やJRPGとは比較にならないほど呪文の種類が多いといえど、さすがにPnPの天文学的なデータ量に比べれば、非常にわずかな呪文しか実装されていない。ジェネラリストが全ての呪文を選択できることが、PnP版ほど有利であるわけではない。
そして、CRPG一般の特性として戦闘用呪文の比重が大きい。3.XeのシステムとCRPGであること、さらにNWN1/2のOCでは、PnPやBGシリーズよりも難易度(戦術性)が低い作りであることが相まって、力押しや連発の有効な局面が多い。戦闘用の数少ない呪文の有効性が高く、呪文の「種類」に劣らず「威力や回数」が有効な場面は少なくない。
このスペシャリストの呪文回数が増えるというメリットについても、PnPではAD&D以来、「自分の専門化系統」の呪文を呪文レベルごとに余分に一つ覚えることができる。が、CRPG版では、これがプログラム上再現が面倒なためか、Infinity Engine(『バルダーズゲート』等)やNWN1の時代から、専門化系統以外の呪文も覚えられるスロットになっており、単純に「呪文数が1つ増えるだけ」になっている。これもスペシャリストがPnPよりも強力になっている点である。
ここで、ならばもっと呪文の種類が少ないがもっと連発可能なソーサラーならさらに有利ではないか、という説がある(実際のところ、ソーサラーの有効性もNWN1,2ではPnP版よりも遥かに高いといわれている)。しかし、ソーサラーの呪文の選択肢の少なさというのは、スペシャリストよりも遥かに深刻な域であり、ソーサラーだと呪文の習得レベルがウィザードより遅れることもあって、戦闘用(ダメージ、防御、防御解除など)の呪文のレパートリーだけでも充分に確保できないこともある。スペシャリストウィザードは、ソーサラーよりは選択の余地はかなり幅広い。そして、呪文回数に関しても、NWN1,2ともにOCをはじめとしてシナリオの作りが「休息がとりやすい」ことが多く、それほど回数の回復が難しくないため、ソーサラーほどの過剰な呪文回数がそれほど大幅に有利というわけでもない。
また、PnP版ではスペシャリストは習得・使用できない禁止系統を「2つ」自分で選ぶ必要があるが、NWN1,2では「1つ」で良い。ただし、自分で選ぶのではなく、(AD&D2ndのように)あらかじめ決まっているのだが、どれが禁止系統になっているスペシャリストであっても、他の系統でなんとか代用がきくものが多い。
例えば、召喚術(conjuration)が禁止系統になっているものが3系統もあるが、他系統にも味方ユニットの召喚が可能な呪文は少なくなく、また3.5eドルイド等、他に召喚が得意なクラスもあり、必ずしも召喚は秘術系が受け持たなくてはならない役割ではない。特に、NWN2ではクリーチャー召喚の持続時間が短いため、NWN1ほど召喚の重要性が高くない。
『バルダーズゲート』シリーズでは、AD&D2ndのエンチャンター(心術士、ガッカリNPCとして非常に名高い糸色望エルフのハンなど)のような、戦闘に比重の大きいCRPGでは最重要の「力術」がよりによって禁止系統になっている、というスペシャリストがある。しかし、NWN1,2では力術が使えないスペシャリストは無い(NWN1,2では心術の禁止系統は幻術)。
このように、NWN1,2ではスペシャリストの有効性はかなり高く、特にNWN1時代は、ほぼ「スペシャリスト一択で、ジェネラリストこそがありえない選択」であると一部で主張されていることもあった。(もっとも、NWN1時代にネットで目立っていたのは、マルチ・オンセプレイツールとしてNWN1を使用していた層であり、長いキャンペーンを通して呪文を収集する等の長期間使用するキャラでなく、そのオンラインセッション単発や数回限りのキャラを使用することも多かったこと、その他、NWN2にはそのままあてはまるわけではないことは留意する必要がある。)
それでは初心者の時点から何も考えずにスペシャリストを選択してよいかというと、これもそうとは言い切れない。ソーサラーよりは呪文の選択肢は多いとはいえ、ウィザードの最大の利点は(他の秘術系と異なり)自由に呪文を選択できることであり、スペシャリストは禁止系統の存在により、その利点(PnPよりも小さい利点とはいえ)が確実に潰れるのは否めない。必要な呪文が潰れていないか、特に(コンパニオンや自作キャラでパーティーを自力で編成できるNWN2では)他キャラが、潰れた呪文系統の分の能力をカバーできているかを慎重に検討する必要がある。
例えば、メイジ・アーマーは召喚術で、前述したように禁止系統になっていることが多い。割と選ばれることが多い(CRPGではダメージ魔法が重要なので)エヴォーカーもメイジ・アーマーを使用できないのはいかにもだが、一見「防御呪文」の専門家のような字面のアブジュラーも、禁止系統が召喚術なのでメイジ・アーマーは使用できない。秘術系魔法戦士などで防御呪文を当てにして選んだりすると深刻な事態に陥る。
特に、NWN2のOCのクラフトにおいて、そのウィザードがアイテムクラフトを行うキャラである場合、禁止系統によっては、クラフトに必要な呪文が使用できず(スクロール等も使用できない)アイテムがクラフト不能になるという事態に陥る。例えばアイテムクラフトの専門家のように見えるトランスミューター(3.Xeのマジック・ウェポンは変性術である。日本製TRPGのようなエンチャントメントではない)だが、クラフトの項目で詳しく述べるが、クラフトに必要な呪文は「変性術」に特に多い。しかし一方でトランスミューター等の禁止系統「召喚術」にもある(上述のメイジ・アーマーを要するレシピも複数ある)ので、これらを考え無しに禁止系統とすると、貴重な習得特技をクラフト系特技に費やしたにも関わらず、本当に欲しいアイテムがクラフトできないという、さんざんな事態に陥ることがある。これもその系統を本当に禁止系統にしてもよいのか、他の手段(そのアイテムが必要ない、クラフト以外で入手する、他のキャラが呪文使用可能など)でカバーが可能かどうかを検討してから選択する必要がある。
なお、NWN2の実装のおかしな点だが、PnPと異なり、禁止系統はWizの呪文だけでなく他のスクロール等の呪文に及ぶことがある。例えばNWN2では、禁止系統が召喚術のスペシャリストWizとClrのマルチクラスキャラ(Clrの能力には何も制限はないのも関わらず)召喚術に属するClr呪文のスクロールを使えないことがある。PnPのルール、例えばNWN2に多く導入されているComplete Arcane(『秘術大全』)には、「スペシャリストWizはSorを低lvだけマルチクラスすれば、Sorの能力の方で全ての系統のアイテムを使えるので有効である」などと書いてあり、日本のゲーマーにはそんなものでWizのレベルを遅らせてたまるかよとかいう意見が多々あったが(これはひょっとすると本国や公式の想定するプレイングが、登場するどんなアイテムも使わなくてはならずビルドの不利すらなりふり構っていられないほどカツカツなのかもしれない)NWN2では仮にSorを入れたとしてもやはりWizの方の禁止系統のスクロールは使えないという、大変にえんがちょな事態に陥る。
スペシャリストは、さらに専門化を強化する強力なレッドウィザードのプレステージクラスを選択するための前提でもあるが、レッドウィザードを選択・上昇させるにもある程度のルールへの理解が要る。
後から必要な呪文が無くて困ったといったことにならないよう、入門者はルールに慣れるまでは、ジェネラリストの方がよいのかもしれない。が、OCのサンドとMotBのサフィヤ(レッドウィザード)がともに変性術士なので、これらをクリアしていれば、少なくとも変性術スペシャリストについてはある程度理解できるようにはなっているかもしれない。
・スワッシュバックラー
スワッシュバックラーは拡張2本目のSoZで追加されたベース(基本)クラスである。Complete Warrior(以下CW, 邦訳『戦士大全』)収録からNWN2に採用されたもので、コアルールは持っていてもCWまでは持っていないPCゲーマーやNWN1ユーザーには全く馴染みがないためか、どういうわけか当サイトにはかなり頻繁に、「NWN2 スワッシュバックラー」等の検索語で迷い込んでくる。
スワッシュバックラーはCW邦訳などでは「活劇剣士」と訳され、軽装でレイピア等で華麗に戦う、三銃士だとかゾロだとかのような軽戦士、と説明される。D&D系には、AD&Dの戦士キットやCD&Dの伝聞的オプションルールのRakeなど、このような類型を再現したクラスは非常に古くから存在する。一見すると、古代〜中世をモチーフとした重戦士と、もっと後の時代の活劇剣士は世界設定的に共存しがたいようにも思えるが、元々ヒロイックファンタジーがピカレスクやクロークアンドダガーの強い影響を受けているためもあり、海外FTの時点からごく普通に両方存在するかのように描写されていることも多い。
なおスワッシュバックラーはCD&D(青箱)の戦士称号でもあり、「探検家」「短剣家」はいずれも誤訳なのか誤植なのか両方なのかさっぱりわからないほどの誤字であり、古参TRPGサイト等でよく解説されている「蛮人」は、「他者を威圧する大仰な戦士」というニュアンスを勘違いした誤解釈である。いずれにせよ、CD&Dに出て来るこの用語は時系列的にも(CD&DはD&D系の「原型」ではなく「遥か後出の縮小版ルール」である)AD&D〜3eの流れのスワッシュバックラーとは全く繋がりは無い。
『バルダーズゲート』シリーズでは、スワッシュバックラーは「シーフ」のキットとなっていた。BGシリーズのベースであるPnPルールのAD&D2ndのスワッシュバックラーは、ローグ系又はウォリアー系のキットだったのだが(Complete Thief/Fighter Handbook, Skills and Powersなど)イメージからBGではシーフを採ったようである。よく似たブレイドはバードのキット(サブクラス)となっていた。(3.Xeよりさらに後のD&D5版でもこれに似て、追加ルール集でスワッシュバックラーはローグの、ブレイドはバードのサブクラスとなっている。5版のローグ系は3.Xe以前よりかなり戦闘力が高く、これらも前衛としての活躍も可能である。)
いずれにせよ、AD&D2ndではシーフやバードなどのローグ系はシングルクラスでは近接戦能力がどん底に低く、軽剣士のイメージの再現とはかけ離れた貧弱さは、アサシンやシャドウダンサーともども、それらのキャラ類型の愛好家や3.Xe以降でそれらの戦闘能力に馴染んだゲーマーを諸共にどん底に叩き落としてきた。
これに対して、NWN2のスワッシュバックラーは(無論PnPの3.5eの上記CWの記述がそうだが)基本能力(BAB, hpなど)は盗賊系ではなく、戦士系になっている。では、その強さはいかばかりか。
スワッシュバックラーは基本的に1lv目で得られる《武器の妙技》を生かし、この特技が適用できる軽い武器(レイピアやショートソード)と軽装鎧を着用して戦うクラスである。当然、Dexに最も重点を置くことになる。
3.Xeにおいて同様に軽装で戦う軽戦士としては、DMGの基本中の基本の上級クラス(ややこしい言い方をしたが、要はコアルールに載っているがベースクラスでなくプレステージクラスだということ)でありNWN2にも採用されているデュエリストがいる。
いったいスワッシュバックラーとデュエリストは何が違うのか。実際のところ、3.Xeでは初期や3.0eでは「上級クラス」で表現されていたような位置づけのキャラが、人気が出て来るとなぜか後で微妙に役割がかぶっているような「ベースクラス」が追加される、ということが(特に3.5eでは)しばしばあり、実の所デュエリストとスワッシュバックラーも幾分キャラがかぶっていることは否めない。が、あえて説明すれば、「スワッシュバックラー」と「デュエリスト」の関係は、ちょうど「サムライ」と「ウェポンマスター」の関係のごとく、「役割や地位」と「戦い方」をそれぞれ示しているといったところである。無論、両方に当てはまるキャラクターは多々存在すると思われる。(なおサムライは上記CWのベースクラスだが、NWN2では採用されていない。overrideで追加するものはある。)
AD&Dでの数多くの記載からは、スワッシュバックラーというクラスには快男児やトラブルメーカーやトラブルに巻き込まれる体質やロマンスを求めるといった描写が多量に書き込まれており、技能だけでなく地位やキャラ類型を強く示している(無論、2ndまでとは異なり、クラスがキャラのゲーム内での役割の象徴でなく単なる技能としても解釈できる余地の多い3.Xe/d20では、キャラ類型までも採用する必要は無い)。
そして、実はスワッシュバックラーとデュエリストは(少なくともルール上は)別々の能力が多く、思ったほど能力が重複しておらず、相補的である。
では、スワッシュバックラーのベースクラスとしての性能はどうか。そのキャラ類型のベース一筋20lvまで人生を賭けるに足るのか。基本クラスをはじめとして、ベースクラスはクラスレベルの蓄積によりじかに利点を得たり(キャスター等)、高レベルでは強力な特技を得たりするものが多い。プレステージクラスに比べると地味に見えても、20lvになるあたりでは蓄積の影響がなかなか大きくなり、特に3.5eでは3.0eに比べるとベースクラスの1本伸ばしにも少なからぬ利点が設けられている。例えば、一見するとバラで無関係な特技を多数取得できるだけに見えるファイターすらも、特にPHB2をはじめとする強力な追加ルールでは、高レベルでの蓄積がものをいうような特技が多くなっている。
が、基本クラスのひとつ、スワッシュバックラーはどうかといえば、これはPnPでもよく評されてきたことであるが、このクラスは20lvあたりになっても、驚くほど強力な特技を得られるというものもなく、蓄積の旨みというのがやけに乏しい(参考:NWN2wikiよりレベルごとの特殊能力)。20lvで回避が合計+4になるというものだったり、17lvの精神抵抗はローグでも取れるものだったり、損傷を負わせる特技がそれ自体の微妙さがNWN2では議論の的だったりする。3lv目の「知力ボーナスがダメージに加わる」というのが、一番の目玉ではないかという説があるほどである。
いっそ3lvだけ寄り道するのが良いという説もあるのだが、ただし、スワッシュバックラーはベースクラスであり上級クラスではない。すなわち、無計画に他のベースクラスとマルチクラスすると、経験ペナルティーがつく。「スワッシュバックラーが適性クラス」などという種族は当然ながらNWN2デフォルトにはいない。
なお、元ルール(PnPのCW)とNWN2との差は、元から能力が複雑なクラスではないため、それほど大きくはない。技能や特技のシステムの違いによるものや、11lvの《幸運》特技が、判定を1日1回再ロールするものから《英雄の幸運》(stに+1)に変わっているといった程度である。
クラス技能に交渉、はったり、挑発などChaをベースとするものがあり、特にOCやMotBでは主人公(プレイヤーキャラ)しか交渉系の技能判定ができないので、前衛系の中で交渉ができるのは重要、と主張されていることもあるが、元々戦士系の低い技能ポイントしかなく、またパラディンのようにChaを用いる特殊能力などもないので、これらの技能のためにChaにつぎ込んでよいものかも疑問が残る。技能系やChaを用いる魔法系クラスとマルチクラスする場合は別として、これらの能力を過信すべきではないだろう。
また、留意点のひとつとして、軽戦士ならライトシールドでも持ちたいところだが、このクラスには盾の習熟自体が無い。
PnPの元ルールや『バルダーズゲート』シリーズでは、「盾を持たずに片手を空けて片手武器を持つ」という戦闘スタイルが選択でき、その利点のルールなどがあるのだが、NWN2にはデフォルトでは特に無かったりする。なので、そのままだと(特技なしのローグ同様)片手は何の利点もなく空けておく羽目になる。
そのため、盾習熟か二刀流関係の特技をわざわざ取得する必要がありそうである。軽戦士としての実用性からは二刀流一択になってしまいそうだが、ACを底上げできる盾習熟も決して悪くは無い。なお、軽戦士系の特技(デュエリストなど)には盾を持つと機能しないものも多いが、実はスワッシュバックラーの特技に限っては(中装・重装鎧で機能しないものは多いが)特に盾の制約は無い。
しかし、人間以外のボーナス特技のない種族だと、作成時にスワッシュバックラー1lvで貰える《武器の妙技》は別にせよ、自腹で《二刀流》を取得すると終わりなのでなかなか辛い。あるいは、盾その他の習熟や特技のために、ファイターや前衛系クラスのいずれかを1lv入れてしまうのも手である。
冒頭に述べたように、スワッシュバックラーとデュエリストとは相補的であり、両者のマルチクラスは相性が悪くはない。デュエリストの前提技能の〈軽業〉5ランク、〈受け流し〉5ランクはいずれもスワッシュバックラーのクラス技能であり、デュエリストの前提特技《回避》《強行突破》《武器の妙技》のうち、スワッシュバックラーは《武器の妙技》を1lv, 《強行突破》を7lvで入手する。スワッシュバックラーの一本伸ばしを中心とするよりは、デュエリストや他の軽戦士系の上級クラス、前記ファイターや場合によってはローグ、バードやレンジャー等と組み合わせて、元から複合的になりがちな軽戦士系をビルドするためのベースと考えるべきなのかもしれない。
・フェイヴァード・ソウル
フェイヴァード・ソウルはComplete Divine(HJ社邦訳『信仰大全』、以下CD)出典のベースクラスである(クラスそのものの初出は未訳のMiniatures Handbook)。
非常に耳慣れない(というかおそらく上記CDを読んだPnP版ゲーマー以外にはさっぱり通じない)クラス名称だが、どんなクラスかを簡単に言えば、Wiz呪文リストを任意発動するのがソーサラーなら、Clr呪文リストを任意発動するのがフェイバードソウルである。唱える呪文は事前に準備せず、(他のRPG、特にWizardryやFF1-3のように)その場で選ぶ。一日の呪文数は多いが、習得呪文の種類は少ない。(なお、5版のソーサラーのサブクラスである「神の魂(Divine Soul)」は、試作(UA)段階でFavored Soulという名だったものが変更されたもので、強いて言えばこのクラスは5版ではソーサラーの一種ということになる。)
特殊能力は絞られている。ターンアンデッド能力や、ドルイドやスピリットシャーマンが持っている呪文以外の能動的発動能力の類は無い。一方、基礎能力(受動能力)の底上げが多々ある。クラスlv上昇に従って、神格の好意武器(Favored Weapon)の習熟・熟練・開眼まで、武器のダメージ減少やエネルギー耐性を習得していく。(信仰の選択やキャラメイク時のバグ回避についてはその他ルールの記事も参照。)なお、基礎的能力が多いため、NWN2版はPnP版のルールと(様々な改変があるクレリック以上に)差異が少ない。PnPでのクラスレベル17lvでの「翼」が(移動速度上昇などの特技を含めて)再現されておらず、ヘイストの疑呪に変更されているくらいである。
特に武器習熟関連から、(クレリック同様のBABやHDながらも)「クレリックよりもやや前衛寄り」という評価をされていることも多い。
ここからキャラクタークラスのイメージを想像すると、ウィザードに対するソーサラー同様に、才能や感性による特殊能力として信仰呪文を使用する、また、これも才能によってファイター同様の武器習熟や前衛能力を伸ばしていく、等と考えていくと、(名前からしてそうだが)恵まれた才能や感性を有する戦士、「勇者」や「バルキリー」のようなものが浮かび上がってくる。潤沢な呪文能力と前線に立つに十二分な前衛能力は、特にDQ4〜5あたりの勇者(5は息子の方。4を含めて1や3とは異なり、魔法寄りで僧侶系に基本能力が近くなっている)を思い出させる。おそらく、D&D系のワールドの設定上勇者に近い聖戦士であるパラディンやディバインチャンピオンよりも、このフェイヴァード・ソウルの方がJRPGの勇者のイメージにより近いだろう。
日本のゲーマー、特にCRPG・JRPGのゲーマーには、「クレリック」のイメージは非常に掴みにくいという言がよく聞かれる。宗教云々もそうだが、さらに前衛を務める宗教騎士団でファイター以上に熱闘むさ苦しくワレニカゴーなどと、現に見せられれば受け入れられないでもないが、自分でキャラをイメージから作ったりするとなると何だかよくわからないというゲーマーも多い。それよりは勇者やら聖女やら(後述するが、近似クラスにオラクル(預言者)がいる)に合致するように見えるこちらの方がかえってイメージしやすいかもしれない。
フェイヴァード・ソウルは特殊能力のほとんどが(どう使えばいいかが特にややこしいドルイドとは対照的に)受動能力で、自動的に恩恵が得られる。呪文の選択も、ある程度ウィザードの呪文リストを理解して厳選しなければならないソーサラーと異なり、治癒呪文が最優先であることは明確である。治癒の次に防御などと優先して習得していれば、かえってクレリックのように膨大な使用呪文に迷うこともなく、使用回数も多く、記憶のシステムに悩むこともない。
そう考えていくと、CDという追加ルールの一見特殊なクラスであるにも関わらず、信仰系の中では初心者などもとっつきやすく見えるかもしれない。
が、以上のようにプレイのしやすさは挙げてみたものの、単独で伸ばしていると、強さという点では物足りなくなってくることが多いと思われる。
例えば、上記したように一見前衛向きに見えても、クレリックと比較した場合、フェイバードソウルは習得できる呪文の数が少ないので、クレリックの前衛としての手堅さを確保している補助呪文の習得に、中々手が届かないことがある。クレリックの場合、領域によって前衛向きの特殊能力や補助呪文をさらに選択できることがあるが(「地」領域のストーンスキン等は定番である)フェイバードソウルには領域が無い(Clrリストのデフォルト呪文以外得られない)。前衛向きといいながら、クレリックと異なり鎧の習熟が中装までというのも難点である(勇者なら純戦士系よりは軽装だとかこじつけたっていいが)。これが相まって、何のバフもかけずに突っ込むようでは、高Dexの利点のある素ローグともどっこいである。(なお一方、元々バフのほとんどかけられないSoZでは横並びになる。)
さらに、NWN1/2でクレリックや信仰系前衛の雄であるパラディンをひときわ強力なものとしている「信仰特技」群は、ターンアンデッド回数を必要とするので、フェイバードソウルには使用できない。せっかく呪文能力のメイン能力値がChaである(呪文レベル、呪文回数増加に影響する。セービングスローに影響するのはWisである)にも関わらず、そのChaをターンアンデッドや信仰特技に生かすことができないのである。
そのため、NWN2でのマルチクラスの例としては、一見するとおかしな話だが、フェイヴァード・ソウルをメインに伸ばすにも関わらず、いきなりクレリックを1lv咬ませたり(ターンアンデッド回数だけなら1lvでいい。重装鎧も習熟できる)パラディンと交互に延ばしたりする場合もある。何にせよ、ただでさえ(ウィザードに対するソーサラー同様)クレリックに比べると呪文習得が1lv遅れるので、他の特殊能力に欲張るとさらに遅れることはよく考えなくてはならない。例えば、勇者やバルキリーがイメージだからといって、種族を軽率に「アアシマール」(LA+1)にしたりすると、フェイヴァード・ソウル一本伸ばしですら、人間クレリックだった場合に比べて呪文習得が2lv、つまり呪文レベル1ぶん丸々遅れるので、パーティーのメイン信仰呪文担当としては非常に厳しくなる。
勇者や物理魔法両立ビルドを目指す者の誰もが、心の奥底で何をおいてもそうなることだけは恐れる結果、すなわち、「気がついたら『勇者』ではなく『とんぬら(サマル)』になっていた」という結果が、ほんの少し選択を誤っただけでごく普通に起こりうる話である。
こういった検討していくと微妙に半端なことがわかってくるフェイヴァード・ソウルの能力については、PnPプレイヤーからはよく指摘されており、事前に他資料で登場していた信仰系クラスと無理矢理差別化するために、CDのフェイヴァードソウルはこのようなクラスになったのではないかと考察する声もある。Pathfinderで、よく似た呪文発動クラスで特殊能力の細部が異なる「オラクル」クラスがいるのも、フェイバードソウルのような状況を避けたのかもしれない。何にせよ、NWN2というシステム環境下では、最初はとっつきが良いという側面を持つ反面、高レベルでは上記したような潤沢な呪文能力と他クラスと組み合わせた強力なビルド(海外の強ビルド例にも多々ある)を要求される等、運用対象としては考察の余地の多いクラスといえる。
・ウォーロック
ウォーロックは4、5版ではPHB基本クラスで、3.5eでもPHB2などでフォローされていたので、てっきりPCゲーマー含めてよく知られているものとか錯覚していた。しかし、NWN2の他の非PHBベースクラス同様、きわめて頻繁に検索語が迷い込んでくる。調べてみると、NWN2の解説と称するサイトにも、ウォーロックだけ書かれていないものが幾つもある。特に酷いものでは、「NWN2攻略サイト」などと銘打たれ、訪れる大半の読者が「NWN1との差」の情報を求めているところ、サイトの中身はNWN1の日本語マニュアルの丸写し、NWN2独自の情報は空白、肝心のウォーロックの項目は「詳細不明」の一言、などというサイトもある。また、SNSやブログでは、単に3.5e以外の他の版と混同しているプレイ記録などもよくある。
が、よく見ると、3.5eのウォーロックについては当サイトで紹介したNWN1/2やPHBの入門サイトにも書いていなかった。さらによくよく思い出してみると、これはクラス本出典なので(4版以後のプレイヤーはともかく)BGなどのPCゲーマーには現状では3.5eの「どどん波屋」ウォーロックを調べる手段すらないのかもしれない。
そのため、PnP版ゲーマーには無意味な情報ではあるが、概要から説明する。
NWN2のウォーロックは3.5eのComplete Arcane(HJ社邦訳では『秘術大全』、以下CA)を直接の出典とするベースクラスである。Warlockという語は、AD&D各版やCD&Dに称号、サブクラス、キット、ベースクラス等としてまるで別々の意味で繰り返し出現しているが(同じ版ですら別の意味で何度も出てきたこともある)NWN2の典拠となる「3.5e以降のウォーロック」は、AD&D2nd以前のどれとも全く似ていない。また、おそらく3.5e以前の他のRPGに登場したウォーロックやワーロック等という語で、D&D3.5e以降と同じ内容で用いられている例も殆ど無いと思われる。それ以前のD&Dシリーズを含めたRPGの中でも、3.5e以降の独自の用語であり、他の版からこの3.5eでの意味を辿ることは困難であるかもしれない。また無論のこと、より後のもの、4版や5版のクラスの内容も(共通点が全くないわけでもないが)能力的にはまるで異なっており、これらの後の版に関するネット上の解説類は3.Xeや無論NWN2にも全く役には立たない。
それらの他の意味での語一般については*bandの用語集などで頻繁に話題にしているので省き、要は、NWN2(3.5e)においてウォーロックとはどんなクラスか、一言で言えば前述したように「どどん波屋」である。なぜかめはめ波屋でなくどどん波屋なのかというと絵面がそっちに近いというだけで効果などの深い意味はない。
いわゆる「魔法使い」について、AD&D2ndまで多彩な能力(呪文の種類)を有するが、回数制限や、発動にも事前に記憶が必要等の制限が多い、という特色があったウィザードに対して、よりレパートリーが少なく、発動は自由、回数も多いのが、3.Xe以降に加わったソーサラーである。設定上もウィザードより直観的、才能的であり、生得の能力者が多い。多くは、特にCRPGではダメージ系呪文を大量発射する「砲台」として運用される(これらの特徴はいずれも、NWN2ではOCのクァラが強調されているキャラである)。
このソーサラーを、さらに極端にしたものがウォーロックであるといえる。使用回数が(ソーサラーの多数どころか)「無限」であるどどん波、怪光線(エルドリッホ エルドリッチブラスト)の発射能力を持つ。ソーサラー以上に種類は僅かだがやはり回数は無限の妖術の能力もある。能力は完全に生得のもので、背景設定もソーサラーよりもさらに禍々しく忌み嫌われるものである。アメコミの苦悩するミュータント超能力者にイメージがさらに近いことから「目からビーム屋」とか呼ぶゲーマーもいる。ルール標準世界のWGでのアイコニック(サンプル)キャラクターであるモルトス(NWN2wikiでも画像が使われている)はいかにも反社会的な反骨者らしい外観にもかかわらず、CAをはじめ色々なウォーロックについて述べた書類に出て来るたびに大変な「苦労人」であることが文面のそこかしこから伝わってくる。
ウォーロックの役割上はソーサラー以上に「砲台」であり、ウィザードや、魔法の種類の少ないNWN1/2ではなんとかソーサラーやバードが部分的にカバーできるような「秘術使い・魔法使い」の役割を務めることはウォーロックにはほとんどできない(CRPGより能力の多彩な元のPnPにおいてすら、パーティーにすでに1人か2人秘術使いがいる場合に加入推奨とCAにもはっきり書いてある)。習得特技や妖術の中には、ただの砲台と思っているとかなり意表をつかれるようなエルドリッホなものが混ざっていたりもするが、入門者が活用を当てにできるようなものではない。
また、ソーサラーよりは強靭(HD, BABが高い)であることと鎧の術者(軽装鎧の秘術失敗率の影響を受けない)特技から、NWN2紹介サイトの類で「魔法戦士」に属するとして紹介・理解されていることもよくあるが、バフがほとんど無いため、信仰系(最も近接が苦手なシャーマンを含め)はもちろん、バードやエルドリッチナイトにすら近接の対応力は劣る。妖術の選び方によってはやりようがないでもないのだが、少なくとも初心者や入門者に対して魔法戦士としての運用を推奨することはできない。
例えば、プレイ報告(無論、OCなどのソロ)で魔法戦士だと思った上に近接で怪光線を連発しようと思ったが、頻繁な精神集中判定や機会攻撃の対象になり(怪光線は疑呪なので、接敵状態では当然ながらこれらを要求する)全くといっていいほど無力だった、なる恨みがましい報告が見られる。これは、怪光線を連発するスタイルが後列の砲台専用だという基本的な情報を知らない(もとい、情報が伝わっていない)ためである。
基本的に後衛・砲台となることから、当然、NWN2入門者には前衛クラスを推奨する当サイトではソロプレイ等には推奨しないが、あえて試すという場合、はたしてコンパニオン等で他の役割、特に自分が砲台なので他のメイン壁や秘術使いが確保できるかをよく考える必要がある。
ここからはNWN2の情報である。重要な留意点として、怪光線は擬呪の一種であり、呪文抵抗(SR, 主に来訪者や、PC種族ではドラウ、ディープノーム、ハグスポーン等が持つ魔法無効化率)の影響を受けるのだが、NWN2の最も有名なバグの一つとして、怪光線について呪文抵抗の貫通率が著しく低下している。具体的には、貫通判定の際にウォーロックのキャスターレベルがおよそ半分ほどとして計算されているという、ウォーロックにとっては大変にエルドリッホなバグがある。
バグについてはそのように誤ってコードされた原因はいずれも推測の域を出ないが、海外のNWN2ファンの間では、SR貫通のためのキャスターレベルについて、ウォーロックのクラスレベルではなく、誤って呪文レベル(怪光線のダメージダイス数、初期は奇数クラスレベルごとに+1)を用いると誤解して実装してしまったのだろうという説がある。(しかし、《抵抗破り》特技の判定+2も+1に半減しているという報告もあり、定かではない。)
おまけに、修正妖術をつけずに怪光線を放った場合、ダメージダイスが10d6(ウォーロックのクラスレベル22lv)以上だと逆にSRを完全に無視するという、SR持ちの来訪者やドラウ等のPCにとっては最悪にエルドリッホな悪夢そのもののバグがある。これは、他のキャスターでは呪文レベルが通常0〜9までなので、「10」になること自体を想定しておらず、呪文レベルが10=ダメージのダイス数が10d6になった場合に判定そのものを飛ばしてしまっているという説がある。
いずれにせよ、これらのバグは、多くのユーザー製のhak/overrideではfixされている。
fix前のバグのある状態について、これがどのような影響があるかはモジュールに拠るところがかなり大きい。しかし、OCやMotBの話をすれば、来訪者などのSR持ちの敵の出現率は高めであるように思える。実のところ、いずれかのhakでfixしない限りは問題が大きく、少なくともプレイヤーキャラとしては、軽々しく選択する前に前述のようによくよく熟考すべきである。
・バーバリアン
当サイトではNWN1/2ともに、特に初心者の取っ付きの面において重要クラスとして何度も取り上げているのがバーバリアンである。BbnはFTそのものの根本的なアーキタイプであり、3.XeではPHBの最も基本のベースクラスのひとつであるが、反面、DQ以来の古い日本のRPGでは「バーバリアン」という語はクラスとしては必ずしも一般的な概念として認識されていないことも多い。これは一見、「class」を、D&D系におけるような「分類、等級、FT世界内における役割・類型・立ち位置」でなく、「職業」と誤訳し、概念そのものを「ジョブ」などと根本的に誤って輸入してしまったため、蛮人・蛮族と訳されるバーバリアンが職業という概念に適合していないと解釈されている面が大きいと思われる。
バーバリアンは過去のD&Dシリーズにおいてはサブクラスであったりキットであったり、その内容自体も一定しないが、3.Xeでは他の戦士系と同等のベースクラスとなっている。なお、BG2/BGEEにおけるバーバリアンはAD&D2ndでなく、3.0eのものを逆輸入したと考えられる。
初心者向として挙げる理由のひとつでもあるが、その単純さ故に、留意すべきことは非常に少ない。しかし、PnPとNWN1/2との対比では言及しておくべき点もないでもない。
Bbnの代表的な能力がレイジ(一時的にStr, Con+4等)である。NWN1/2においては、これは魔法的な能力値ボーナス(アイテムや呪文)とは累積する(魔法等のボーナスと加算される)。しかし、NWN1/2では、魔法やレイジによる能力値の「ボーナス」は、合計して最大で「+12」までに制限されている。例えばアイテムですでにStrが合計+10されていた場合、レイジでStr+4されても、合計+12までしか上がらず、余剰の+2は切り捨てられる。(この+12上限は魔法的・一時的な追加のボーナスに対してのものであり、例えばレベル上昇、エピック特技、ドラゴンディサイプルなどで「ベースの能力値」自体が上がった値は+12制限にカウントされず、別に上げることが可能である。)
NWN1ではアイテム同士や呪文の能力値ボーナスは無造作に加算されていたため、魔法的に+10-+12あたりの能力値ボーナスを得ることはかなり容易であった。その結果、それらのアイテムを装備しているすでに中盤あたりから、レイジでも能力値が全く上がらなくなることが頻繁にあった(一応、レイジには他にWill stのボーナスもあるが、AC-2などのレイジのペナルティーから考えると差引では微妙である)。そのため、Bbn自体が結局はハズレクラスだった、と評されることもある。
しかし一方、NWN2では、アイテムや呪文のボーナスは累積せず、一般に最も高いものだけが適用される。例えば、Str+6のアイテムを装備している場合、ブルズストレングス(3.5e及びNWN2ではStr+4固定である)をかけると+10にはならず、高い方の+6のみ適用される。しかし、レイジは魔法的なボーナスとは累積するため、ここでレイジすると+4が累積し+10になる。能力値増強アイテムでは主に+6〜クラフトを駆使しても+8, MotBまで行っても+9までであり、アイテムや呪文で増強できる最大値がこの値となる。つまり、アイテムでは+8までしか上がらないとすると、レイジはさらに+4して+12に達する数少ない手段となる。とはいえ、Str/Con+6のグレーターレイジ(Bbn11lv)はともかく、Str/Con+8のマイティレイジ(Bbn20lv)は、それ自体の利点はかなり薄いと言わざるを得ない。
レイジの成長を除いたとしても、Bbnを高レベルにすることで、高基本能力、ダメージ減少や回避能力などで普通に強靭なキャラはできるので、軽率なヘタレビルドに手を出すよりはよほど堅実ではある。しかし、Bbn単独で20lvやそれ以上まで伸ばすよりは、マルチクラスを意識されることも多い。
Bbnのマルチクラス対象としてはPnPでしばしば挙げられるのはローグである。Bbnは鎧が薄く(重装鎧の習熟がなく、レイジや高Strを生かすため両手武器で盾が無いことが多い)、PnPではDexが高いキャラにしていることも多いので、Rogの能力を生かすことができる、という思想である。が、NWN1/2ではBbnの特殊能力(移動速度や回避能力のボーナス)は、PnP再現度の低さ故に重装鎧を着ていてもそのまま機能してしまうため、軽装にこだわる必要がない。そもそも能力値がポイントバイのNWN1/2では、StrとDexにばらけるよりは、Strに特化した方がよいという考え方もある。そのため、重装鎧の習熟や特技の追加のためFtrもRogに劣らず有効である。言い換えれば、「Rogの戦闘能力を補強する」ためにBbnを入れることは有効なのだが、「Bbnの戦闘能力をさらに伸ばす」ならばFtrが有効である。Ftrを入れるならば、(Bbnだけなら通常不要の)Intを13以上にして大量の特技を習得可能にしておく手もあるが、Bbnに対して数lvのFtrを追加するだけならば、StrとDexが13だけでも取れる特技が尽きて困ったということにもなりにくいだろう。当初はBbn一本のつもりでキャラメイクしても、物足りなくなった頃に、無造作にFtrに転向して伸ばしても特に支障はないことが多い。
他にBbnに追加するマルチクラスとしては、ほぼお約束のものに上級クラスのフレンジド・バーサーカーがある。が、そちらのクラスについて詳しく説明するが、フレンジド・バーサーカーのフレンジーの能力増強分は、レイジとは累積するが、魔法(アイテムや呪文)とは累積せず、こちらも強力なアイテムを入手すると能力値増強についてはレイジ以上に意味をなさない点はよく考慮しておく必要がある。一方、フレンジド・バーサーカーのその他の能力、薙ぎ払いや強打を強化する能力は、両手武器一般に極めて有効ではある。
・ローグ
ローグは現在では「D&Dの花形」と呼ばれることもあるクラスである。他クラスを圧倒する多彩な技能と活躍場、ここぞという所に大火力を発揮する急所攻撃等の戦闘能力を有すると謳われる。4版ではファイターが「防御」役、ローグは「撃破」役などという名前にカテゴライズされていることも、まるでファイターはただの壁で、それを後目に活躍するのはローグ、といったような印象を与えやすい(運用によっては本当にそうなる)。
かつては、AD&D1st、2nd、CD&Dでは、低レベルのシーフでは成功率10%そこらの大量の技能と、どん底の戦闘能力(聖職者と魔法使の中間だが、かなり魔法使の側に近い)を持つ、しかしパーティーから外すというわけにもいかない、とんでもないお荷物クラスだった。AD&D1st準拠のWizardryやファイナルファンタジー1でのシーフの不遇はそれ以上であるし、ひいては、2ndベースのBGシリーズですら、戦闘的な名前を持つシーフキット(アサシン、スワッシュバックラー等)のあまりの弱さに辟易するプレイヤーは多かった。
この状況が打開されたのは、NWN1のベースである3.0eのローグである、といわれる。技能の能力は全般的に高くなり、低ランクでも活躍できる難易度(DC)制が導入され、戦闘能力も制限が減って活躍できる場が一気に非常に多くなった。
しかし、かといってNWN1,2で、D&D4版やらソードワールドやらのつもりで「盗賊が戦える」と信じて突撃などさせようものなら、まさしく地獄を見る。
3.Xeの時点では、相変わらずローグのヒットポイントは基本クラスの下から2番目に低い。Dex偏重でまともに戦うためには《武器の妙技》が必須だが、これは5版のような武器による自動適用でなく、「特技」の取得が必要であり、さらにBAB+1が前提であるので、ローグ1lvでのキャラ作成時には取得できない(戦士系にでも寄り道しない限り、3lvまで取得できない)。そして盾は(AD&D1stやWizardryのような小型のシールド類すら)持てない。妙技や二刀流をはじめ、戦闘で活躍できるような特技を選んでいったらとてもおっつかない。
まともに戦うには、最低1lvだけでも戦士系クラスを入れるという選択がある。バーバリアンは重装鎧こそないが技能が良好でhp等の基礎能力を地味に底上げする。レンジャーは、NWN1では3.0eなのでRng1lv入れると軽装での二刀流が取れたのできわめて便利であったが、NWN2の3.5eでは二刀流にはレンジャー2lvが必要である点は注意を要する(他にも1lvのみマルチクラスでの旨みは薄まっているクラスが多い)。ファイターを1-2lv入れると各種習熟や余分な特技が得られる。NWN2ではスワッシュバックラーで《武器の妙技》が得られ、3lvまで入れると知力をダメージに生かせるので便利である。ともあれ、マルチクラスについては軽戦士ビルドに関わるので詳細は別の機会とするが、軽戦士ビルドを結構まともに考えなければ、戦闘能力という面では期待できない。
そうしたわけで、(少なくともマルチクラスしないローグの場合)ローグに求められるのはAD&D以来依然として、「技能」の使い手としてのものが大きい。
しかし、NWN1ではこれも(役に立たないわけではないが)必須ではないといわれてきた。NWN1の多くのモジュールでは、罠は踏み(休息が無制限なモジュールも多いこともあって、罠によるダメージの多くは致命的ではない)、鍵は箱ごと破壊すれば済む。おまけにクレリックのファインドトラップ呪文やレンズ・オブ・ディテクションといったアイテムは罠を見つけるだけでなく、視界内の罠を一度に解除することができた。
結果として、OCのヘンチマンではローグのトミを入れなくても、モンクのグリムノー先生なら罠にかかってもst(抵抗率)が高く、元素打撃のグローブで無機物の破壊もできるのでこっちの方が戦闘含めて頼もしいという説も多かった。
これらの傾向は、NWN1がソロとマルチのどっちつかずだが、どちらにせよパーティー編成の都合で「ローグが居ないと詰む」ような事態を極力避けるためと思われる。
しかし、NWN2ではこのあたりは大幅に変わり、ローグが居なくても、又は低レベル・低技能でも何とかなるような事態は非常に少なくなっている。
最もNWN1との差が大きいのは、鍵のかかった箱を破壊すると、中身のものが壊れる可能性がある点である(無論、NWN1でないD&D系世界であれば最初から当たり前の話である)。そのため、ローグのクラスlvと開錠の技能を上げておく必要がある。
また、開錠では出目20は取れるが、罠の解除では取れない。クレリックのファインドトラップ呪文では罠の発見はできるが、NWN1のように解除のような効果はない。そしてこれもモジュールによるが、罠解除の難易度や食らった際のダメージが大きいものがやけに多いように思われる。そのため、罠解除についてもローグの技能のランクそのものが重要となってくる。
魔法道具使用(UMD)も、NWN1では5あれば(つまり、1-4ランク程度とCha修正で)最も安価なアイテムは使えたので、ローグかバードを1lv入れておけばほとんどのスクロールや、多くのワンドを使うことができた。しかし、MWN2(特にCompleteなどの最新バージョン)では計算法が異なり、スクロールでもかなりランクを上げなくてはならない。バードなりウォーロックなりでもそうだが、充分にUMDを生かそうと思うと、NWN1のような1-2lvローグを入れて5ランク等ではなく、それと決めてつぎ込んだ上でかなりの高レベルで実用になる。
要するに、ローグの重要性、しかも技能者として高いレベルを有する者の必要性はNWN2ではかなり高まっている。これはNWN1(OC時点ではヘンチマン1人、HotU等でも2人)と異なり、OCであっても多人数のコンパニオンを引き連れ、役割分担が前程となっているためと思われる。
NWN2でのローグは、花形ではなく、基本的に旧版などと同様「弱いがどうしても必要なクラス」と考えた方がよい。また、Intがよほど高ければ別だが、多くの選択肢のうちどんな技能をひたすら伸ばすか(何に重点を置くか)は、最初から決めておかなくてはならない。中途半端な伸ばし方をすると、技能が生かせず、もとからたいして戦闘にも役立たないので、専業にもかかわらず微妙なキャラとなる可能性もある。
・スピリット・シャーマン
NWN2でのスピリット・シャーマンは3.5eのComplete Divine (以下CD, 邦訳『信仰大全』)を直接の典拠とするベースクラスで、MotB(拡張1)以降追加されたものである。
かつて日本の「TRPG」ゲーマーに、このCDのD&D3.5eのシャーマンが「ソードワールド1のシャーマン(精霊使い)」とは(さらに、この"spirit"がSW1の"精霊"とは)全く違うことを、まともに説明し納得させるのには大変な困難を極めたものである。D&D系での「シャーマン」という語の扱われ方については、*band用語集の方に述べているが、古くは人間以外のスペルキャスターなどに用いられているが(クリーチャー側で出て来る「オーク・シャーマン」等はその名残であり、PCベースクラスのこのスピリット・シャーマンとは意味はかなり異なる)CD&D、AD&D、3.0eなどではそれぞれ異なった意味でプレイヤーキャラ用に設定されている。実は(地球での)shamanの原義にも関わる東洋系の設定に多く、多くはいわゆる原始的なspirit信仰のものであり、SW1等の「精霊使い」(フェイ風と見せておいて中途半端に錬金元素術士が入ったもの)とはまるで異なる所以である。特に3.5eのスピリット・シャーマンは、AD&D2ndの聖職者系のキット(サブクラス)であるShamanあたりで設定された、極めて複雑な自然霊・妖精・祖霊関連の設定を持つ物の影響が強い。実のところ、このクラスのspiritに対するHJ訳やNWN2での「精霊」という訳語も正確とは言い難い。
このAD&D2nd-3.5e CDのスピリット・シャーマンの、さらにFRでの特殊な立場や設定については、NWN2では、MotBにおいて"spirit"はラシェメンを舞台としたストーリーや、プレイヤーキャラ(主人公)自身に影響する別のルールに密接に関連し、詳細に説明されるのでそちらに譲る。
能力のことを言うと、PnPでの3.5eのCDでのスピリット・シャーマンの能力は、呪文発動(発動の仕組みは1st-3.Xeの他のクラスよりも、遥か後の「D&D5版」の呪文システムを連想させるが、これは別にCD由来ではなくD&D以外のPnP-RPG, BRPなどにしばしば見られたルールである)spiritに依存する特殊能力ともに、きわめて独特であり、他のベースクラスに類を見ない。
が、このように元のCDのスピリットシャーマンは設定・能力共にかなり難解なクラスだが、NWN2では例によって、少なくとも能力については、PnPよりも著しく簡略化されている。
すなわち、最大の特色であった呪文の発動はドルイド呪文リストの単なる「任意発動」になってしまっている(習得や発動の仕組みはソーサラーやフェイバードソウル同様になっている)。難解な概念を伴う特殊能力も、単に受動的に(意識する必要もなく)ボーナスを与えるのみの特技として片づけられているものがある。なぜこのようなマイナーベースクラスを、ここまで改変してまで追加しなければならなかったのかといえば、上記MotBの話の都合でスピリットシャーマンという名前と設定のクラスを入れたかっただけではないかと推測できないでもない。
しかしそんな特異な背景や事情とは裏腹に、元から特殊能力の大半が自動(受動)や擬呪相当であることと相まって、かなり単純なクラスと化しているため、結果的に、ソードワールドのシャーマンと違う点として何を注意しなくてはならないか、と聞かれたら、プレイするだけならべつに注意することは何もない、そっちのシャーマンと同じとか思っとけ、とか答えても別に構わないような状況に陥っている。
その結果によるスピリット・シャーマンの設定上のシテオクさについてはひとまず置いておき、NWN2における能力を純粋に検討していく。
呪文の発動が独自の想起形式から任意発動になっているため、任意発動のソーサラーやフェイバードソウル同様に、使用(習得)できる呪文のレパートリーは往々にして減っているのだが、CRPGであるNWN2は、元々PnPよりも呪文の種類が限られているため、さほど大きな欠点にはなっていない。また、フェイバードソウルについても同様に言及したが、レパートリーが少ないだけ、重要な呪文についてのルールだけ理解すればよく、また任意発動により回数も多い。シャーマンが選択するドルイドの呪文リストは(クレリック以上に)ダメージ呪文が多いが、CRPGに特に重要な治癒とダメージの呪文を両方任意発動できるというのは非常に把握しやすい。いざという時のヒーラー能力がクレリックに対して絶対的に不足する、というドルイドの問題点に関しても、任意発動であるためかなり緩和される。
同じ呪文リストを使うクラスでも、PHBベースクラスのドルイドの方は特殊能力が複雑で非常にとっつきにくいクラスだが、スピリットシャーマンは特殊能力の多くが受動的または擬呪相当で、かなり理解しやすいクラスとなっている。「ドルイド呪文」を使うプレイヤーキャラを考えるなら、入門者はドルイドのクラスよりもこちらを先に考慮もできるようにも見える。
ただし、いくら把握しやすくなったといっても、ドルイドの呪文リストではクレリックやウィザードの有するバフの多くが手に入らず、ドルイドのバフにしても、シャーマンの(ソーサラー等と同様の)数少ない習得数で、治癒とダメージ呪文を優先的に習得していると、バフを習得する暇がない、といった状況に陥りがちなので、クレリックに期待される信仰術者としての能力や、ドルイドと同様の戦力がそのまま手に入るとは限らない。
また、物理能力はNWN2の信仰系クラスの中では最も低い。HDとBABこそ信仰系共通の中程度だが、鎧は軽装と盾のみで、武器も単純武器未満の貧弱なものである。日本のFTの「精霊使い」に頻繁に見られるような魔法戦士としての能力はほぼ期待できない。特技習得のために戦士系とマルチクラスしてもいいが、シャーマンが1lv遅れるとクレリックやウィザードに比べると呪文の習得が丸ごと呪文レベル1分遅れる。結局のところ、ソロや唯一の信仰術者担当よりは、他のメンバーとの兼ね合いを考えての選択となる。
ついでに述べておくと、シャーマンの呪文発動能力は基本(呪文数等)がWis, 相手方のstに影響するのがChaとなっている(これはPnPではわかりにくい・重要能力がばらける・誰得といった不評が寄せられていた)。なので日本のFTやTRPGの「精霊使い」のつもりで、これも日本での「精霊の眷属」「風や水の精霊界なんたらかんたら」のような感覚で「ジェナシ」を種族に選んだりすると、Chaは低いわ呪文レベルがドルイドから丸1レベル分遅れるわ(LA+1のため)とさんざんな状況に陥る(Pathfinderのイフリット等とは異なる)。また、種族追加のページでも触れたがMotBのガンはハグスポーンのシャーマンだが、ハグスポーン自体はChaにペナルティーでLAが+2と、かなりシャーマンには向いていない(ガン自身は生い立ち上のとある理由があり、優遇されている)。
・ドルイド
ドルイドはOD&D白箱のEldrich Wizrdry (1976)以来、1−5版の本家すべてのPHBに基本クラスとして記載されている。
なお、日本のTRPG界隈では、ドルイドは「最初のTRPGであるD&D/海外RPGでは『クレリックの上級職』だった」としばしば誤って流布され、日本製RPGなどでもそのように実装されていることがある。これは、かつて和訳されていた(そして「最初のTRPG」「3.0e以前には海外のTRPGの主流で、Wizardryなどの全てのCRPGの元ネタだった」と日本では現在でも著しく誤って流布され続けている)CD&D緑箱(1984)では、Clrにある程度慣れたプレイヤーがClrから転職する、いわゆるスプリットクラスとなっていたためである。CD&Dは遥か後出の初心者用の縮小・改変版ルールであるため、ドルイドを経験者向に上級職化していたものである。最初のOD&D白箱でも、また海外で主流のD&D(AD&D1st〜D&D5版)においてドルイドをこうした扱いとしている版は、過去〜現在通じて無い。各基本クラスのこのあたりの事情や他のT/CRPGについては*band用語集の項目や他サイトを参照されたい。
OD&D〜5版を通じて、Drdは非常に複雑かつ多様、難解なクラスである。ケルトの聖職者(別の視点ではウィッカの魔女・魔人)をモチーフとするDrdは、同様の聖職者クラスであるClr同様に支援・治癒魔法も使え近接戦もできるのだが、呪文は自然・元素・変容などに関するClrよりも攻性なものが多く、変身・動物の相棒召喚・技能・その他の受動的な特殊能力(肉体能力など)と、極めて多才である。さらに、能力の他にクラスの特殊な点として(NWN1/2ではアライメント以外省かれており、本記事でも詳細は省くが)PnPでは戒律・レベルアップ(ドルイドファイト)等の行動に関する数々の特殊ルールがあった。
とてもPHB記載の最も基本のベースクラスとは思えないような複雑難解なクラスであるが(CD&Dで経験者限定としたのもさもありなんという事情でもあるが)、逆に、追加ルールに入れたりすると脈絡がなさすぎて基本ルールを逸脱しているようにしか見えないので、あえて基本ルールの時点で入れている節がなきにしもあらずである。(なお、前述のCD&D緑箱のものは、上級職といえどもCD&Dらしく極度に簡略化されており、呪文内容や装備制限くらいしか共通点がない。言うまでもないが、以後、PnPのDrdという場合はCD&Dのものは対象としない。)
しかし、基本4職(戦僧盗魔)やそのバリエーションに対して、「5人目要員」というべき変則的なクラスとしては他にBrdやMnkがあるが、これらが1〜5版を通じて基本的な役割や能力の段階からさんざん変貌・迷走を繰り返している(AD&D2nd以降はこの迷走クラスにRngも入る)のに対して、Drdの能力の基礎部分は、最初期から現在の版まで、基本4職と同レベルでほとんど変わっていない。
Drdの能力がBrdやMnkよりさらにカオスに見える要因に、同様に様々な難解な特殊能力を持つBrdやMnkに比べると、それぞれの能力に脈絡・関連性が全くないことが挙げられる。例えば「変身」と「動物の相棒」と「与ダメージ用呪文」は、相互に補完しあう(どれかでどれかを強化する)といったことが全くない。
Drdの多彩さは、OCで旅仲間になるエラニーに色々な役をやらせてみればわかる。シミターと盾を持たせてバフ(バークスキン等)をかけると、前衛としても結構戦える。元々ウッドエルフなので、StrもDexもかなり高い。Conが11しかないのだが、ドルイド自体のHDが1d8あるので、特にデフォルトでレベル毎hpが最大値(8hp)のNWN2では、それほどは虚弱に感じない(HD1d6のRogやBrdでCon14の者と同等のhpがあることになる)。弓矢を持たせれば(BABとDexの高さのため)そのままでも有効で、弓禅一如(DexでなくWisが命中率計算に使われる)を習得するとさらに有効となる。無論、遠距離と並行して後列ヒーラーやキャスターを兼ねたとしても、ClrやSorほどではないが物理能力と相まって充分な戦力となる。このそつのなさが逆に、プレロールドで加入するエラニーすらも、どう育ててよいか戸惑う初心者も生じることとなっている。
近接、遠隔、呪文どれをとっても、一番手(基本4職)ほど強力ではないが、二番手には充分なほどの能力があり、さらに基本4職ではできない特殊能力もある。
しかし、何に重点を置くと相乗効果で強くなるといったものも無いため、初心者から見るとClrとは別の意味で、「何に重点を置けばよいか」がわかりにくいように見えるかもしれない。NWN2では早い話が、難しく考えずに、「自分で決めたもの」に重点を置けばよい。
が、一方で、NWN2にあたっては、PnPと比較した留意点がいくつかある。
NWN1,2通じた実装では、戒律面では非常に緩く(例えば、金属防具が禁じられるといったことはなく習熟している中装鎧は使用でき、当然だが禁じられているドルイド武器以外を特技習熟で使用することにも制約はない)他のクラスとの差異も余計に把握しにくく、また選択肢もさらに広いように見えるかもしれない。
PnPではドルイドの代名詞だったアニマルコンパニオンについては、「ドルイドは動物が本体」と呼ばれるPnPほどではなく、NWN1に比べても弱体化している。NWN1ではアニマルコンパニオンを前面に立てて後列からひたすらヒールするという、ひとりで前列後列担当というドルイドのスタイルがしばしば見られたが、NWN2ではそれほどは頼りにならない。そのため、他の能力を重視することを検討すべきである。無論、いても戦力の足しにはなる(下手に出しておくとぶん殴られて術者自身のダメージ原因にしかならないシレン2の青いタベラレルーのようなWiz/Sorの使い魔とは異なる)。
変身(自然の化身)についても、(BGシリーズやNWN1もそうだが)さほど強力ではなく、かなり高レベルのエレメンタル変身(元素化身)を習得してからが本番といわれることが多い。低レベルでは同様に他の能力で活躍できるようにしておくべきである。変身対象や変身時の能力値・装備についてはこれまた難解なので、NWN2 wikiなどを参照要である。
DrdはClrが治癒呪文を任意発動するのと同様、3.5eでは「召喚呪文」を任意発動できる。そのため呪文系のDrdとしては召喚呪文を重視したくなるが、NWN2での召喚呪文は(これもNWN1から弱体化され)サモンクリーチャーVあたり以前はレベルに対してクリーチャーが弱くあまり頼りにならない。素直に他の呪文を重点的に発動しておいた方が無難である。
「基本能力のクレリックに対して、特殊能力が強いのがドルイド」とはAD&D以来よく言われるが、NWN2では特に低レベルのうちは、これらの変則的な能力を重視するよりは、近接戦・遠距離戦・呪文攻撃やそれらの複合などの能力を重視した方が有効である。
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