○NWN2とは何か
NeverwinterNights (NWN)シリーズについてはこのサイトの他記事でも何度か述べている。いわゆるD&D3.Xeのツクール(シングル、オンライン、オフライン、MO、MMO等が作成可能)である。
NWN1は3.0eベースであり、ユーザーモジュールが4-5000本作られた名作である。NWN2は、そのNWN1の次世代ツールであり、D&D系システムでも特に人気の高い3.5eをベースにしている。ゲームシステム(3.5eベースをはじめ、複数キャラの操作など)、グラフィック等、全面的に強化されている。
NeverwinterNights 2 (NWN2)は(セガから日本語版が出ていたNWN1とは異なり)商用では日本語版は出なかったが、有志の訳によって本体と本体付属・拡張モジュール2種が日本語化されている。
が、NWN2は、特に日本でのレビュー類では、成功作NWN1に比べると微妙扱いされていることも多い。特に発売直後のレビューや日記を中心に、以下のような評が今でも残っているのを日本のサイトでも見つけることができる。
(1)バグが多い
(2)インターフェイス(カメラワークなど)が使いにくい
(3)モジュールを作るためのエディタが非常にとっつきにくい
(4)オフィシャルキャンペーン(パッケージ付属モジュールのこと)のストーリーがだるい。JRPGっぽい。BGシリーズなどでどっかで見たような素材や流れが多い
リリース数年後の2015年現在、(1)〜(2)はかなり改善されている(ただし、まだ細かい所の不具合を残したまま、サポートが終了してしまっている)。NWN2は、多数の呪文を扱うメニューなど、NWN1よりも扱いやすい面も多々ある一方で、NWN2では「右クリック→ラジアルメニューで全ての能力を使用可能」といったNWN1の機能が無い(もしくはわかりにくい)等の問題もある。カメラワーク等については、NWN1同様に調整すると特に不自由は感じないが、(日本でNWN1よりもプレイ人口が多い)BGシリーズと同じ操作性に合わせようとして投げ出したという声がかなり多い。
(3)はわりとどうしようもなかったりする。NWN1のエディタ(オーロラ・ツールセット)に比べると、NWN2のエディタ(エレクトロン・ツールセット)は、わかりにくい点や操作しにくい点が多い。一見、オーロラ・ツールセット同様に直観的に操作できるように見えても、実はそれだけではできなかったりする(例えばある要素を作るのに、事前に別の一連の操作や準備が必要など)。NWN1では設定できなかった要素も設定できるように強化されているためとも言えるが、とにかく取っ付きにくい。また、デフォルトで用意されているデータ(モンスター等)も少ないように思われ、移植だけでなく新規のモジュールを作るにもNWN1に比べると困難が多い。NWN1に比べると数倍面倒になっているが、できることは何割かしか増えていないともいわれ、NWN1に比べるとユーザー作成モジュールが大幅に減少したのは事実である。それでも、NWN1の次世代のツールとして、ユーザー製の数々の公式に遜色ないモジュール(冒険シナリオ)や、定番の各種D&Dゲーム再現モジュールがユーザーによって多数作られている。
(4)のストーリーについては、リリース直後の日本の評に関しては、ファンタジー全般やD&D系自体のお約束(定番で使われるテーマや状況)が理解されておらず、D&D系といえば(PnPの方が知られていないため)BGシリーズの影響を過剰視する傾向が強いためもある。ただし、半端にNWN1よりBGと共通していた点が多かったため、BGを求めていたのにBGほどには自由度が高くなかったのが一部を落胆させたであろうことは想像に余る。海外の評については、特にリリース初期は、NWNのようなカスタマイズ可能なゲームについては、ユーザーコンテンツが褒められる一方で、本体付属のシナリオやストーリーについてはかなり酷評寄りの評価がされることが多い。そのため、時間が経つと評価が変化することは珍しくない。現在ではNWN2のOCと、特に拡張1のMotBを入れたストーリーは、NWN1のOCや拡張のストーリーの評価を上回り、RPG全体としても屈指の名作であるPS:T(Planescape:Torment)やBG(バルダーズゲート)シリーズに劣らないものとなっている。
NWN2は、NWN1の元々持つ3.Xeのシステム自体の面白さを保とうとしたまま、大幅に強化されているが(例えば、NWN1の後の拡張パックで追加されたものの、いまいち使い勝手のわからなかった特技によるアイテムクラフトなども拡張され、面白さのひとつとなっている)そればかりでなく、NWNのツールとしてのカスタマイズ性をベースに、BGシリーズのNPCの活躍(掛け合いや戦術)、IWDシリーズの中〜高レベル連戦、PS:Tの外方次元界にまたがるストーリーなど、あたかも、「それまでにリリースされたD&D系ゲームの魅力の集大成」の試みにも見える。
それらは高いレベルで融合したとか、単体としても完成度が高いとはとても言い難いのだが、NWN2だからこそ実現した要素も数多いのも事実である。そして、D&D系のゲームシステムの中でもひときわ人気の高い3.5eの強力なツールであるという一点でも、その価値は大きい。
○(D&Dシリーズを既に知っている人向けのルールインフォーメーション)
以下はGOGなどで購入できる、拡張が全て入ったComplete Editionの情報。
・D&D3.5e準拠。
・上限レベルはモジュールごとの設定によって異なるが、NWN2本体は20lv、MotB(Complete Editionでは導入済)以降は30lv(NWN1のような40ではない)なので、このどちらかの設定であることが多い。
・ただし、20-30lvはAD&Dの「レルム30lvルール」に近く、3.Xeのエピックルールとは異なる。(IWD2と同様。30lv上限の4版とも異なる)
・種族はPHB種族の他、各種プレインタッチト(ティーフリング、ジェナシ等)やデミヒューマン亜種族(ドラウ、サンエルフ等)も選択可。
・基本クラスはPHBクラスの他、ウォーロック(3.5e)、フェイヴァードソウル、スピリットシャーマン、スワッシュバックラーを選択可。
・プレステージクラスは20種以上あるが、コアルール(DMG)やレルムの定番があったり無かったり、NWN1からの伝統の3.0eクラスなども混ざっているため詳細はNWN2wikiなどで要確認。
・マルチクラスは基本・プレステージあわせて4クラスまで。
・上記のうちレベル調整値のある種族は、「クラスレベル」が上限の20か30lvになるよう調整されているモジュールが多い。例えば、レベル上限20lvのモジュールで、LA+2のあるドラウは、18lvでなく20lv(人間なら22lvになる経験値)まで上げられる。
・オフィシャルキャンペーン(OC, 本体付属シナリオ)は『フォーゴトン・レルム』世界設定、主にソード・コースト北のネヴァーウィンター市周辺を舞台としているため、デフォルトのゲームシステムの細部(サブ種族、上級クラス、呪文等)は、BGシリーズやNWN1以上にレルムの特殊ルールが多数再現されている。キャンペーンモジュールごとにカスタマイズが可能。
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