○装備選択
・ACボーナスの累積 〜 防具装備をどう選ぶか
NWN1,2では魔法やアイテムプロパティでしじゅう「AC○○ボーナス」がつく。これらは○○が違う名前のものは累積するが、同じ名前のものは高い方のみが適用される(と、メイジアーマー呪文とかを使った時の説明にも表示される)。
例えば、アミュレットの「AC『外皮』ボーナス+1」とリングの「AC『反発』ボーナス+1」は別のボーナスなので累積し、計+2になる。
しかし、ここでバークスキン呪文を使ったりポーションの効果で「AC『外皮』ボーナス+3」を得ると、外皮ボーナスはアミュレットと呪文のうち高い方だけ適用され、AC外皮ボーナスは+3となる。さきのリングも併用していれば、反発ボーナス+1と外皮ボーナス+3が累積し、計+4となる。
ここまではわかるだろう。これでもわからないなら別の解説サイトに行くかウン千円出してコアルールブックを(ry
では、どんなアイテムが○○ボーナスのうちどれを与えるか。それはNWN1,2ではアイテムのタイプごとに決まっている。鎧なら『防具』ボーナス、盾なら『盾』ボーナスである。これは当たり前である。ところが、アミュレットなら『外皮』ボーナス、ブレイサー(ガントレット枠)ならなぜか鎧と同じ『防具』ボーナス(FF1の「うでわ」を思い出して)、靴なら『回避』ボーナス、それ以外(武器にACボーナスがつく場合含む)では、たいがい『反発』ボーナスである。
これらはベースアイテムの種類ごとに1種ずつのAC○○ボーナスと決まっており、他のタイプのAC○○ボーナスを付与することはできない(たとえモジュール作成用ツールセットでも、上記とは他種類のボーナス、例えばアミュレット装備以外に外皮ボーナスを付与することはできない。強制的に全アイテムを変更するならbaseitem.2daなどでカスタマイズできるが、それは他のページに回す)。どれにどれがつくかは、おそらく初心者にはさっぱり予測がつかないだろう。
NWN1のものは、日本でのモジュール製作支援サイト、NWN BUILDERSなどにまとめられている。NWN2のものは英語でよければ(また情報量が多すぎて把握しにくいかもしれないが)NWN2 wikiに記事がある。ただし、NWN2では、スロットに装備しなくとも所持するだけでボーナスを与えられる装備などもあり、装備を選ぶ際にそれも念頭に入れるとややこしい。ともあれ、上記BUILDERSのアイテムプロパティを効率よく装備を集めてAC等を上昇させるために参照してもよいだろう。
例えば、+1の鎧だけ着ているところ、金貨がたまったからといって+2の鎧を買うことだけを検討するのは、防具ボーナスが1増えるだけなので得策ではない。まだ買っていないなら、安い+1の装備類、「シールド+1」「クローク・オブ・プロテクション+1」「アミュレット・オブ・ナチュラルアーマー+1」を買うと、盾・反発・外皮ボーナスがそれぞれ+1され、これらは累積するので、ACが3増加する。
ただし、クロークとリングは両方とも反発ボーナス、鎧とブレイサーは両方とも防具ボーナスなので、これらで魔法によるACボーナスがつくものを両方買って装備しても意味がない(累積しない)。特にクロークとリングを両方買うのは初心者がやってしまいがちである(逆に、Gold BoxやBGシリーズのようなAD&D2版以前の経験から、鎧とクローク等が累積しないと思ってしまう中級者以上もよくいる)。どちらか片方を買えばいいのだが、この場合、スロットとの兼ね合いとなる。クロークのスロットに他に装備したいもの、例えば、ソーサラーならChaを上げるクロークや、ローグなら隠密系の技能を上げるクロークがあるなら、リングを買って反発ボーナスはリングスロットで取ればいい。また、鎧が着られない秘術系やモンクならば、AC防具ボーナスは鎧スロットでなくガントレットのスロット(ブレイサー、まさにFF1のうでわである)で取ることも多い。ただし、NWNシリーズに限っては、強力な元素ダメージの手袋が登場するため、素手モンクはガントレットのスロットは埋まってしまいがちである。この場合、AC防具ボーナスのあるローブや服をなんとか調達せざるを得ない。
なお、ものすごくわかりにくい話だが、同じ手袋スロットでも、種別が「ブレーサー」だとAC「防具」ボーナス、種別が「ガントレット」だとAC「反発」ボーナスを付与するという、(他の装備部位と異なり)2つのパターンがあるため注意が必要である。
NWN2ではクレリックやドルイドの首(アミュレット)スロットは、自力でクラフトできるペリアプト・オブ・ウィズダムで埋まることが多いと思われる(クラフトできないNWN1でも、それらを購入等していることが多いのだが)すなわち、クレリックやドルイドは、外皮ボーナスを装備からは得られないことが多いので、外皮ボーナスを確保するには呪文やポーションなどの手段が欠かせない。ドルイド呪文があるとないとでは、終盤でのACが5(呪文では13lv以上で外皮AC+5)違うことになる。ドルイドや植物領域のクレリックがいればバークスキン呪文を使えるが、他領域のクレリックは通常ポーションに頼るしかない。ウィザード呪文のスパイダースキンでもよいが、呪文レベル3で、高レベルまではACボーナスに劣り、持続時間も短い。
また、SoZなどの強化呪文が使いづらいモジュールではこれも辛い。ペリアプト・オブ・ウィズダムを諦めて、外皮ボーナスを得られるアミュレット・オブ・ナチュラルアーマーを装備する(Wisは別の箇所の装備でなんとかブーストできるならする)、WisでなくChaが呪文レベルと呪文数に反映されるフェイバードソウルを使う(ただし、術者のWisは抵抗側の対呪文stのDCに影響するので無関係ではない)のを念頭に置くこともある。
NWN1,2のAC計算は、このように比較的、元のPnPの3.Xeルールに近い(少なくとも元ルールからわかりやすい)ものになっている。ただし食い違いとしては、例えば、NWN1のベースである3.0eでは「AC『回避』ボーナスは呪文やアイテムでは決して得られない」と3.0e DMGに書かれているが、なぜかNWN1から靴につく。
NWN1/2ともに有名な仕様として、手袋枠の「ブレーサー」につくAC防具ボーナスのルールの違いがある。ブレイサーズ・オブ・アーマーなどは、本来PnP版では、防具の「基本の」ボーナスを+する効果がある。例えば、チェインメイル+5は鎧そのものの頑丈さによる非魔法部分のベースAC+5と、魔法による強化である防具のボーナス+5があるが、PnPでのブレイサーズ・オブ・アーマーは、あくまで「ベースAC+5」の方を強化する(魔法のボーナスでなく、あたかも鎧の頑丈さを与えているかのようなボーナスを与える)アイテムなのである。これがGold Boxやファイナルファンタジー1で、「うでわ」が魔法の指輪でなく「防具」スロットである所以である。そのため本来、チェインメイル等を装備できずベースACが上げられない魔法使やローグに効果が高いアイテムである。
ところが、なぜかNWN1/2ともに、このブレイサーは「魔法による防具ボーナス+5」の方を強化する。そのため、NWN1/2では鎧のベースACの方と効果が累積し、重い鎧の戦士等が鎧より+値の大きなブレイサーでさらにACを上げることが可能という、ある意味PnPとは真逆の用途が可能になっているのである。
ただし、(Gold BoxやInfinityに比べると)鎧の強化ボーナスよりも遥かに大きい+値のブレイサーというのもそう出るわけでもなく、ガントレットのスロットに他に候補もあり、また鎧の強化ボーナスは呪文で一時的に上げることもできるので、そうそう戦士系が上記の装備ばかりという様相でもない。
と思ったが、考えてみるとクラフトでAC+8のブレイサーを作ることもできるため、場合によっては考慮する価値はある。例えば、特殊効果(耐性など)が強力だが強化ボーナスが低い鎧を入手した場合、手袋スロットが空いている場合は、鎧より強化ボーナスの高いブレイサーズ・オブ・アーマーを装備することでACが上がるという用法がある。
さらに他のボーナス、能力値その他に対する各種のボーナスの累積事情に関しては、元ルールが全く再現されずさらにややこしいルールになっていたり、NWN1と2とでまるで違っていたりするものが多数ある。それは今後述べていく。
・ベース防具の選択
ビルドに深くかかわってくるのは、武器よりもむしろ防具の選択である。D&D3.Xeには「軽装」「中装」「重装」と、これに「防具なし」=いわゆるローブや服等を用いる4段階がある。一般に鎧が重くなるほど、「最大Dexボーナス」が低くなり、(Dexが高くともAC等に反映されなくなり)技能判定にペナルティーがつく。防具や盾が重くなると機能しない特技(特殊能力)が増え、言うまでもないが、重い鎧は秘術呪文失敗率も増加する。
NWN1では、チェインシャツが中装など(ビジュアル的な都合のためか)3.Xeの元ルールとはかなり差異が目立つが(※1)、NWN2では3.5eにより忠実なものとなっている。どちらにせよ、データはリニアではなく、一見不自然なものが多い。例えば他のTRPGやそこからの予想に反して、同じ重装鎧では、フルプレートに比べれば軽装の鎧(スプリントメイルやバンデッドメイル)のいずれも、フルプレートと同じ最大Dexボーナス=全く動きやすくはならない。鎧の構造からすればありえないでもないが、使用されてこそのゲームデータとしてこれで良いのかという声もある(NetHackなどの鎧データで頻繁に指摘されている)。これは、数値システム自体は単純明快に作られている反面、それを運用する素のデータはある程度理不尽で粗が激しいという、AD&D以来の特徴である。
防具選択の具体論として、秘術魔法などの事情は無論だが、(BGなどのAD&Dと異なり)戦闘能力面でも鎧を選択する必要が出て来る。Dexの高いキャラにする(例えばローグや飛び道具中心、《武器の妙技》武器を使う軽戦士など)ならば、最大Dexボーナスの高い軽装や防具なしを選ぶ必要が出て来る。Dexが低いならば重い鎧でACを上げた方がよく、逆に言えば最大Dexボーナスが+1などの重装鎧を着るならばDexを高くする必要はない。
ビルドと防具の組み合わせとして、例えば以下のようなパターンが考えられる。
(a)重戦士、クレリック
ひとつの目安が、「Dex13とフルプレート(最大Dexボーナス+1まで)」である。Dex13が多くの戦闘系特技の前提となるので、重鎧を着るのであれば、基本的に13をこえるDexは要らない(重装二刀流などを考えるなら別だが、どのみちDexのすべての利点は生かせないことになる)。AD&D2nd以前では、鎧の重さを問わずDexによるACボーナスが高ければ高いほど有効だったので、例えば『バルダーズゲート』シリーズの攻略の類ではDexの修正がつかないキャラに対して「前衛として低い」「アイテムで補強必須」等と書いてあることが多いが、3.XeのNWN1/2では、重装鎧・非二刀流でDex13をこえていてもほぼ意味がない。
無論、他に必要な能力値が多く、Dex13が必要な特技の要求も少ないクレリックやパラディンの場合、Dex10(あるいは8など)に重装鎧のことも多い。
(b)軽戦士、盗賊、他の信仰系
《武器の妙技》で戦う軽戦士は最初からDex16〜18あたりにつぎ込むことになるであろうし、おそらくレベルアップごとの能力値上昇はDexを選択し、呪文やアイテムでもDexを上げると思われる。つまり、最初はチェインシャツ(Dexボーナス+4まで)から、Dexボーナスが増大するにしたがってさらに軽い鎧、エピックビルドでは鎧なし、と装備を替えていくことが考えられる。
盗賊系も軽戦士と同様だが、技能の値を重視する場合、最初からチェインシャツよりも軽く技能ペナルティーの少ない鎧や、あるいは最初から無装備となるかもしれない。すなわち、中装・重装鎧は盗賊系などの多くの技能にかなり多大なペナルティーがあるため、(軽戦士ならともかく)これらの技能を用いる盗賊系であれば中装・重装鎧は慮外とした方がよい。
クレリック以外の信仰系は軽装〜中装の習熟しかなく(マルチクラスしない限り)鎧が薄くなる。Dexにつぎこむほど余裕があるとも思えないが、クレリックと異なり、ドルイドやフェイバードソウルではDex14あたりと中装鎧(最大Dexボーナス+2のチェインメイルや+3のブレストプレート)の組み合わせになることもあるだろう。
(c)秘術系、秘術魔法戦士
秘術系は呪文失敗率の面から鎧が着られないが、3.5eのNWN2ではバードやウォーロックは軽装鎧(特技があれば中装鎧)は着られる。いずれもDexも高めなことが考えられるので(例えばウォーロックの怪光線は遠隔接触攻撃である)盗賊系と同様の選択になる。ただし、盾の秘術呪文失敗率は軽減できないので、(後述の特殊な盾を除き)軽戦士と異なり盾という選択肢は困難である。エルドリッチナイトは軽・中装鎧の秘術呪文失敗率低減等は無いので(念のため断っておくが、バードを1lvだけ取ったりしても、バード呪文の失敗率しか低減されない)鎧も盾もなしに両手武器という破滅的(そしてFTというより日本の漫画的)イメージになりがちである。
また、NWN2ではミスラルの鎧は「重装」「中装」の段階が一段階軽くなり(軽装鎧は無装備にはならない)秘術呪文失敗率の低減、最大Dexボーナスの増加、技能ペナルティーの低減といった効果がある。ミスラルのライトシールド等、秘術呪文失敗率が0になる盾もわずかだが存在する。
ミスラル装備を考慮する場合の話だが、Ftr等で特技を多数取得する場合、Dexは13あればよいというのは上に書いたが、重前衛系で戦闘系の特技をそれほど多数取得しない場合(例えばPalやClr)、Dexはペナルティーなしの10でなく、むしろ「8」でよい、という説がある。これは、MotBではクラフトによりDex+8の装備を作成することができ、装備込みでDex16にすることができるのだが(特技の前提は満たせない)NWN2において最高級のACが得られる鎧であるミスラル・フルプレートが、「通常のフルプレートと同じAC8で、かつ最大Dex修正+3」までなので、ちょうどこのDex16で「最大のAC」は確保できるからである。ただし(ビルド談義にはありがちであるが)これはMotBの最終的な成長後の話なので、Dex+8装備だのミスラルフルプレートだのが入手できる最終盤まではACが低くて苦労することになる。が、Dex10にするかわりに8にすることで他の能力を高めにできるならば、将来性を見越してそうするのも一つの選択ではある。
付記しておくと、これは頻繁に誤解されているのだが、元のPnPの3.Xeルールでは鎧やその重さによっては使用不可能だった特技や特殊能力が、NWN1にせよ2にせよ、そのまま使用可能になっているものも多い。
例えばNWN1,2のバーバリアンの移動速度増加は、重装鎧でも加算される。なので、たとえDexが13以下で重装鎧を着る重戦士であってもマルチクラスすることには元のPnP版とは別の意義がある。
またNWN1について「モンクとパラディンのマルチクラスは、互いの長所が消えるので無意味である」と(PnPや、その知識によってしばしばNWN界隈でも)主張されていることがある。しかしNWN1の場合、モンクの身かわしが重装備でも機能し、モンクのstの高さとパラディンの能力によりstが著しく増大しているので、3.0eのNWN1ではそれぞれ1lvでもかなりの効果を発揮する(一方、3.5eのNWN2ではMnkにせよPalにせよ2lv以上必要な特殊能力が多いのでマルチクラスが厄介であり、また例えばMnkの身かわしはバージョンやパッチによっては中装・重装鎧では機能しないなど、NWN1ほど有効ではない)。
一方、特殊能力の全部が鎧と無関係になっているというわけでもなく、元ルールの通りに制限があるものも多い。例えばスワッシュバックラーのInsightful Strikeは中装・重装鎧では機能せず、デュエリストのCanny Defenseは軽装以上や盾があると機能しない(何となく、NWN2で追加されたものに多いように感じられる)。どれがどうなのかは、結局のところ個々に特殊能力や特技を調べた上でビルドを考える他にないだろう。
※1 日本のNWN1界隈では、このチェインシャツなどのデータを元ルールに忠実に「正しく直す」にはどうすればよいか、という質問が頻繁にある。NWN1では、アイテムの基本データはbaseitem.2daなどを改変することで変更することができる。なので、NWN1のこの質問者らのためにここでそれを解説してもよいのだが、これは到底おすすめできない。ベースアイテムの性能は個々のアイテムの魔法効果等ではなくこの2daで一律に決まっているので、改変すると既存の全てのモジュールのバランスが崩壊するためである。例えば、様々なモジュールでNWN1の元のチェインシャツの性能をベースに、魔法効果を与えており、例えばPnPのルールよりも重いチェインシャツを軽くしたり、重いのでその分だけ強化したりといったアイテムを設定していることが考えられるが、2daを改変するとあらゆるモジュールのチェインシャツに反映されてしまうので、前述のアイテムが異常に強化されることが考えられる。
公式のパッチなどで、あるいはリニューアル(NWN1:EEなどが出る際に意見が出たことがあった)時に、このようなPnPのデータの食い違いを直して欲しい、といった要望は頻繁に耳にするのだが、BGのようにシナリオが固定の1本(あるいはメインのものが決まっている)ではないのだから、バランスを変更して既存の4000本のモジュール資産が台無しになるような選択は、公式が選択することはまず考えられない。PnPと食い違っていようが、過去の資産がそれを基に作られてしまったのだから、そのままにする他ない。よって、このチェインシャツや、同様に頻繁に話題になるブレイサーのベースACか強化ACかの食い違いなどのPnP版の未実装が、公式で(少なくともデフォルトルールで)修正されることは考えられないだろう。
PnPと同じチェインシャツが欲しければ、別途ベースアイテム自体を別のものを追加するか、デフォルトの幾つかのアイテムのように魔法効果で再現するか(例えば、ミスラル製中装鎧をペナルティーの低い服や軽装に魔法効果を加えて表現する等)などが可能な対策である。
・ベース武器の選択 〜 素材
素材についてはクラフトの項目でも詳しく述べているが、このゲームでは、武器防具には特殊な素材のデータがある。素材(ある金属によって傷つけられる敵や、ある素材同士で硬度を無視するなど)はAD&D、MERPをはじめ、多くのPnP-RPGにルールが存在し、珍しい要素ではない。
が、NWN2に採用されている「3.5e」には、D&D系の他の版と比べても、なお特異な点がある。
3.0e以降、素材は「ダメージ減少」を貫通できる効果としてルール化されている。例えば「DR10/錬金術銀」を持つデヴィル等は、錬金術銀以外の武器で攻撃するとダメージを10点減少し、錬金術銀の武器で攻撃することによって、DR10を無視できる(通常にダメージを与えられる)。
ここで、NWN1などの3.0eでは、特殊素材の武器よりも強化ボーナス+1以上の武器の方が一律で「強力」であり、高い強化ボーナスを持つ武器さえあれば、素材DRは一律貫通できる。
ところが、3.5eでは3.0eと異なり、強化ボーナスで素材の要素は代用されない。強化ボーナスがいくらであろうが、DR/錬金術銀はベースアイテムの素材が錬金術銀でなければ貫通できないのである(DR/錬金術銀 or +1などと併記されている場合を除く)。
このため、D&D系でも3.5eに限っては、錬金術銀(デヴィル、一部アンデッド)、冷たい鉄(デーモン、フェイ)、アダマンティン(一部ゴーレムや呪文効果)などでできた武器をそれぞれ、弁慶のように複数持ち歩くという光景がよく見られた。これら複数武器は斬撃・殴打など別のタイプの武器とすることも多く、多数の特技が得られるので様々な武器に習熟・熟練するHFOの利点のひとつでもあった。3.5eを採用しているDDO(D&Dオンライン)でもほぼ同様の様相であった。そのため、特にDDO経験者には、NWN1/2においても何かとアダマンティン武器にこだわろうとしたり、やたらと周囲に薦めるプレイヤーが少なくない。
(なお、3.5eのこれは煩雑であるためか、3.75eと呼ばれるPathfinderでは、強化ボーナス値が特に大きい場合に限っては、素材のDRも貫通できることになっている。一方で、NWN1/2にはPfの一部CRPGのような「冷たい鉄」でないととどめが差せない(再生能力を無効化できない)という敵は(少なくともデフォルトルールでは)おらず、例として居るのは火または酸のみである。)
NWN2でも、3.5eを採用している以上、基本的には同様のルールである。しかし、実の所は、OCやMotBを中心として、PnPやDDOと比べるとさほど顕著とはいえない。
OCでは、冷たい鉄などの他の素材DRを持つ敵に比べて、錬金術銀のDRを持つ敵があからさまに多くなっている(これはOCのとある重要武器が銀製であるという展開上の都合もある)。アダマンティンはOC等での使用機会や、貫通やアイテム作成にバグがあるので、わざわざ持ち歩く価値はないとする見解が多い(DDOプレイヤーが過信して肩すかしを食らったという報告が多い。一方、NWN2でもソロではなく、マルチプレイのサーバーなどのPvPでは、アダマンティンはプレイヤーが使う呪文、ストーンスキン等の防御を貫通する数少ない手段なので、主にPvPの場では持ちかえ対象でなく「メイン武器」として選択される場合はある)。
なお、日本製のTRPGには、「ミスリル」を(LotRやAD&D1stの「まことの銀」の表記に倣い)「銀の上位の金属」とし、特殊なアンデッド等にダメージを与えられるとしている場合がある。しかし、クラフトの箇所でも述べたが、3.Xeの「ミスラル」は銀とは全く別個の素材であり、銀の素材DRを貫通できたりはしない。また少なくともNWN2には「ミスラルの素材DR」を有する敵は皆無である。NWN2でも店にミスラル製武器が売っていることがあるが、「ミスラル」武器の利点はわずかな重量軽減しかなく、使用する必要性は全く存在しない。
なお、先程DRの標記が「or」になっている例について挙げたが、弱い来訪者などでは単なる「DR/錬金術銀」や、「DR/錬金術銀 or +1」など、錬金術銀か+1のどちらかにあてはまれば貫通可能なDRを持っている場合が多い。
しかし、orがあるならば当然andという場合がある。すなわち、「DR/錬金術銀 and +3」など、「素材が錬金術銀でかつ強化ボーナスが+3の武器」、両方にあてはまる強力な武器でないと貫通できないDRを持っている者もいる。さらに厄介な例として、強力な来訪者には「DR/錬金術銀 and 善」など武器アライメントを要求している場合があり、この場合、錬金術銀の武器に、さらにパラディンのブレスウェポン呪文をかける等で武器を「善」属性としないと貫通できない。
NWN2の攻略サイトや、フォーラム(某巨大掲示板の過去ログ等)によっては、日本・海外をとわず、「錬金術銀の武器でデヴィル、冷たい鉄の武器でデーモンのDRを(すべて)貫通できる」といった筆致で説明・回答しているものがあるが、そうとは限らないので注意が必要である。
・武器魔法効果の選択 〜 ダメージ印(ブランド)
素材とあわせクラフトの記事とかぶる部分があるが、武器につくフレイミング、フロスト、ホーリー等のダメージ増加印とその比較について触れる。
武器についている印(付与効果)として、+1などの強化ボーナスと同様に重要なものとして、各種元素や、属性(善悪)などの追加ダメージのブランドがつくことがある。クラフトで付与できることも、既製武器でもついていることがある。
OCなどの非エピックのゲームにおいて、クラフトでつく場合、また既製武器でも多いパターンとして、火・電気・冷気・酸などの元素ダメージは+1d6(期待値+3.5)である。そのため、一見すると強化ボーナス+1の武器にこれらのブランドがついていた方が、+2や+3の武器よりも有効なように見える。特に、扉や箱などの物体を破壊する場合、元素等の追加ダメージは物体の硬度によるダメージ減少を貫通するので、見るからに強力になったように見える。
しかし、来訪者などでは元素ダメージに耐性がある者も多い(例えば、ただのティーフリングですら火、電気、冷気のそれぞれダメージ減少5を持っているので、両手に炎と氷の剣で攻撃したところで期待値3.5のブランドはほとんど効果がない)。NWN1,2のビルドでしばしば出て来る、マルチプレイのPvP前提の話題では、少なくとも中レベルまではプレイヤーキャラの元素耐性は無いか限られていることが多いため、Strやクリティカルのダメージに比してクラフト武器等の元素ダメージが過信されていることが少なくないが、PvM(PvE)では元素耐性を持つ敵は最序盤から登場するので注意を要する。
一方、NWN2のブランドの種別には、上記の元素(火炎・電気・冷気・酸)の他に、音波、魔法、神聖、正のエネルギー、負のエネルギーなどの幾つかの種別がある(3.5eのものは、日本語で知られている4版のものとはかなり異なり、またセガなどの翻訳はHJのPnP日本語版とも食い違いがあるので、この点も注意を要する)。また斬撃、刺突、殴打といった打撃属性も、追加ダメージとして付与されていることがある。
特に、クラフトではホーリー、アンホーリー、アナーキック(混沌)、アクシオマティック(秩序)といった「アライメント属性」ダメージで2d6(期待値7.0)のものをつけられる。クラフトの箇所でも述べるが、特にホーリーは上述の元素に比べても有効な敵が多く、ダメージも大きく、実はクラフト素材も比較的入手しやすいため、利用されることが多いと思われる。
ただし、留意する点として、NWN2では、これらのホーリー、アンホーリーなどは神聖や正負のエネルギーではなく、「魔法」ダメージである。これらの善悪に対する追加ダメージだけでなく、種族に対する追加ダメージ、すなわちスレイング(例えばオークやドラゴンに対して追加1d10ダメージ等)も、システム上、魔法ダメージに固定になっている。
NWN1のツールセットでは、こうした対属性や対種族のスレイングのダメージの種別も元素などを指定することができたが、NWN2では「魔法」から変更できなくなっている。例えば、NWN1では魔法のロングソード、ブレッシング・オブ・ザ・デイスターは「悪に対して+1d6の[火]ダメージ追加」を持つが、NWN2では同名の物品は「悪に対して+1d6の[魔法]ダメージ追加」である。
これが何を意味するかというと、他に「魔法」ダメージを追加するような特殊能力とは、これらのダメージが累積しないということである。防具の箇所とかぶる話だが、同名のボーナスの他、同じ効果を与えるボーナスが複数ある場合、「最も高いもの」だけが適用される。
例えば、アダマンティン武器は最初から(素材からクラフトしたベースの時点で)魔法ダメージ+2を有するが、この武器にクラフトでホーリーを付与すると、悪の敵に対しては、より強力なホーリーの「魔法+2d6」ダメージの方しか機能しない。
(付記すると、アダマンティン武器はこの最初の魔法ダメージ+2が印数として加算されているので、強化ボーナスとブランドを付与すると印数が最大付与数の3となり以後エピックまで強化できなくなるので得策ではない。Kaedrin PrCなどのパッチではアダマンティン武器は上記魔法+2が加算されないよう印数が増えている。)
また当たり前すぎる話だが、1つの武器にクラフトでホーリー(悪の敵に魔法+2d6)とアナーキック(秩序の敵に魔法+2d6)の2つのブランド印を付与すると、デヴィル(秩序にして悪)に対しては、どちらも該当するが累積しないので+2d6ダメージしか機能しない。
ひとつの武器が「ホーリー」と「対アンデッド+1d6」の能力を持つ場合、どちらも「魔法」ダメージなので、悪でかつアンデッドである対象に対しては、より強力なホーリーの方しか機能しない。アンデッドの多くは悪なので(3.5eでは他の幾つかの版と異なり、スケルトンなどの知能のないアンデッドは「中立にして悪」である)この武器の対アンデッド+1d6の方にはほとんど意味がない。
これは「同種の性質は累積しない」ことの多い3.5eの特徴を再現するためにこのような実装になっていると言えないこともないが、存外に適用範囲が広いので注意を要する。
このように、武器のブランドのうち「四元素」及び「音波」は耐性を持つ者が少なくなく、「魔法」には前述の累積除外が多く、場合によっては有効でないことがある。一方で、それらを除いた「神聖(divineダメージ、上記のホーリーとは別)」や「正負エネルギー」などのブランドを持つ武器は、耐性を持つ者もやや少なく、他と累積し、またクラフトすることもできず希少性がある。それらが手に入った場合は、元素や魔法等よりも重視する価値があるかもしれない。
・武器の選択 〜 片手、両手、二刀
装備のうち、両手に何を持つかのスタイルは、キャラメイクやビルドのうち最も目立つものといえる。近接武器だけでも大きく分けて、
・片手用武器+盾
・両手用武器
・二刀(片手用武器x2)
の3つの選択肢が思いつく。大抵のゲームでは、この3つが(時にはこれに片手武器+盾なし、素手、遠距離戦などすら加えて)利点を総合するとできるだけ同等になるように注意深くバランスが取られており、PnPのd20でも(成否は別にしても)その努力が払われていることもある。が、NWN1/2においては、残念ながらそうではなく、これらの強さ・価値は同等ではない。
片手武器+盾の利点は言うまでも無く防御面であり、アーマークラスを確保できる点である。例えば基本(非魔法AC盾)ボーナス+2のヘビーシールドに、非エピック(OCでたやすくクラフトできる)の魔力付与強化ボーナス+5を加えると+7ACとなり、一方エピックのMotBでは強化ボーナス+8を加えると実に+10ACにもなる。人型キャラが複数回攻撃をした場合、2回目以降は命中-5されていくため、ACが10違うということは、命中が-5や-10された攻撃が外れるかもしれない、というほど単純な計算ではないが、目安としては高lvでは一撃が非常に重くなる3.Xeかつ相変わらず命中非命中のオールオアナッシングで決まるD&D系において、それほどまでに生存率が段違いであることを意味している。
多くの他のRPG(例えばハクスラ系)のような独立したブロック率や、盾自体に多量の技能・特技をつぎ込まないと無意味なものや、*bandのように終盤は耐性用スロットというものではなく、NWN1/2では盾は単に盾として持つだけでどんな所持者の生存率も大幅に上げる。
一方、両手武器の利点は武器自体が大型でベースダメージが大きめである他、Str修正が1.5倍になり、3.5eでは《強打》特技のダメージが2倍(NWN2では命中-3に対してダメージ+6)になる点である。例えばStr30のキャラなら、片手で+10のダメージが両手でさらに+5され、強打強化ではダメージ+6が2倍になっている(片手にさらに+6)ので、攻撃ごとに+11ダメージの差が出る。しかし、上記AC+7〜+10ほどの価値があるかは難しいところである。
さらに強力な+Strの装備や特技、エピック特技の大いなる筋力やレッドドラゴン・ディサイプルによってStrを40等にする、フレンジド・バーサーカーを入れる(強打系のダメージが大幅に増大する)、又はこれらの複数を選択することによって、大ダメージのビルドとして特筆すべきものになってくる。
二刀については、NWN1/2では上記2つよりも一段か二段劣ったものと考えられることが多い。手っ取り早い話として、PnP等の予備知識がない状態からNWN1で二刀レンジャーをやろうとして(推奨ボタン通りにしたにも関わらず)散々な目に逢ったというのは、少なからぬNWN1ゲーマーが現に身に覚えがあると思われる。
NWN2ではNWN1よりは二刀もかなり強力で、NWN1ではサブ武器は2回攻撃までだったが、NWN2ではサブ武器で3回やそれ以上攻撃できる特技がある。が、そのためには当然そのための特技スロットを費やす必要があり、しかも特技取得の前提条件のためにはDexに特化せざるを得ず(最上位の完全二刀流のエピック特技には、魔法等による補強なしのベース能力値でDex25が必要である)自然Strに回す余裕はなく、ダメージは下がる。またDex特化ということは両手とも武器の妙技を要する低ダメージの武器とせざるを得ない。妙技を用いない、例えばよくある「メインにロングソード等の中型武器、サブにショートソード等の小型武器」の組み合わせでは、妙技が使えないロングソードのためにStrの方を重視することになるが、Dexが足りなくなるのでサブ武器の攻撃回数を増強する特技が取れず、すぐに限界が来る。(一方、Rngの二刀流スタイルでRngだけlvを伸ばしていくと、Dexが足りなくても二刀流特技が伸びていくが、このRng二刀流は軽装かそれ以下の鎧でないと機能しないので、Dexを完全に切るのは危険が伴う。)
仮に多数攻撃できたとしても、二刀によるペナルティーを最少としたとしても攻撃全てに-2か、それ以上(例えばモンクのカマ連打)のペナルティーがある。Strの低さと相まって、サブ武器が(エピック以前に可能な)3回攻撃までの時点では、同じ盾なしでも、上記両手武器と比べるとさしたるダメージは望めない、という見解が多い。
二刀スタイルについては、他と遜色なく活躍するには、かなり限られた条件、状況が必要である。前提として、モジュールそのものがマジックリッチである必要がある。例えば、二刀の両方について他のスタイルと同等な魔法の武器でなければ比較の前提にすら立てない。武器のブランド(元素ダメージなど)、能力値増強アイテム(StrとDexの両方を補う等)は多数回攻撃する二刀の利点を底上げし、盾持ちとの防御差や両手持ちとの攻撃力差を縮小する。
さらにその上で活躍できる条件は、例えば、エピックに入り完全二刀流特技の習得後である。完全二刀流は、サブ武器の攻撃回数を「メイン武器と同回数」にするが、NWN2ではNWN1は勿論PnPとすらも異なり、メイン武器の攻撃回数がエピックでは5回以上になり得るので、突如として大幅に手数が増大する。さらには、Mnkのカマ連打の攻撃回数の多さと組み合わせた場合は、NWN1/2有数の戦闘能力の近接ビルド候補となる(軽戦士ビルド解説を参照)。ただし、上述したように完全二刀流に必要な素でのDex25はそう簡単に到達できる値ではなく、ある程度のビルド構想と、例外なくかなりの高lvを要する。
選択の目安として、両手持ちや二刀に関する明確なビルド構想がない場合、基本的には片手+盾を選択するのが有利である。例えば信仰系でキャスター能力重視の場合、呪文を使用するラウンドは攻撃に関係しないばかりか防御の方が重要なので、無闇に槍などの両手武器よりは、盾を使用できる片手武器を選んだ方が段違いに安全である。そればかりか、槍に限定されるストームロードですら、大業物特技で槍を片手持ちしてまで盾を持つことも多い。一方、上記したいずれかの両手用ビルドの計画を持っているならば両手用というところである。
モジュールが非常に高lv域かつマジックリッチで、限定されたビルドを選択し、なおかつエピック級のビルド完成までは非常に辛い状況を我慢できる、という状況を加味した上でならば、二刀も選択肢に入る。役割やビルド構想によっては、もう少し早めに活躍できないでもないが、「二刀軽戦士は多くは複雑なビルド計画を要するので、初心者や入門者が安易に手を出すべきではない」と各所で述べている所以である。ただし、わざわざ断るまでもなく、Rng二刀だとかに手を出してしまったことがあれば、誰しも重々思い知らされていそうではある。
・武器の選択 〜 武器種別(剣、槌、斧等)
ここまで書いて、武器の種類についてどれが有利か(剣、斧などのどれが一番強いのか)という一番大事なことについて書いていない、という質問を受けた。他のRPGに照らせば実にもっともな質問に見えるが、正直なところ、武器の種別が一番大事、などという認識が完全に欠けていた。
結論から言えば、武器によって少なからず差はあるのだが、NWN1/2(3.Xe)では最終的にその差はそのうちどれも大したことはなくなるので、完全に趣味で選んで構わない。
無論、上述したように、例えば「片手両手、モンクのオカマ、飛び道具」のどれを選ぶかで大きな戦力差があるが(飛び道具はNWN2デフォルトでは近接武器よりはっきりいって遥かに弱いが、別の機会に回す)例えば、レンジャーが二刀流をする場合、二刀流で使える軽い武器のうちどれが強いかという質問になれば、使うのがダガーでもショートソードでもククリでもシックルでも、決定的というほどの差にはならない。
登場するマジックアイテムの面でどの種類の武器が有利かといえば(これは別の記事に譲ると思われるが)モジュールによるとしか言えないが、OCやMotBのようなデフォルト状態を前提とし、順番を追って説明する。武器にはCD&DやAD&Dゲーム(BG等)でおなじみのダメージのダイスタイプ(ロングソードが1d8、メイスが1d6など)のほか、3.XeのNWN1/2ではクリティカルの領域(1d20の命中判定のうちロングソードが19-20、メイスが20の目でクリティカル)、クリティカル倍率(クリティカル時のダメージ倍率、ロングソードもメイスも2倍)がある。なおBG(AD&D2nd)のようなスピードファクターはない。AD&D再現ゲームのうちGoldBox(やNetHack)のような「対中型・大型モンスター」でのダメージの違いなども無い。他の幾つかのTRPGのように武器ごとに命中率の増減なども(特技によってはStr以外の能力値を使うといった例外の他は)無い。
これらの数値のバランスで、「超小型<小型<中型<大型」武器の順、「単純<軍用<特殊」武器の順でデータが強くなるように設定されている。
などと言えれば良かったのだが、実の所全体として強いて言えばその序列に沿っているものの、実情はかなり滅茶苦茶である。これはOD&D〜AD&Dの頃からそうで、3.0eはもちろん3.5eのPnPでも完全にスカポンタンなデータの武器が混ざっているのだが、PnPよりもかなり限られた選択肢であるNWN1/2内ですら、データは均一ではない。
例えば、メイスとライトハンマーは同じ「小型殴打武器」でクリティカルは「20/x2」であり、であれば軍用武器であるライトハンマーが単純武器のメイスよりダメージが大きくあるべきなのが尋常な発想だが、ライトハンマーが「軍用武器」にも関わらずダメージ1d4、メイスが「単純武器」で1d6で、明らかにライトハンマーが一方的に不利である。
グレートソードは大型(中型キャラでは両手専用)とはいえダメージが2d6で、片手のロングソードの1d8や、特殊武器であるにも関わらず1d10のバスタードソードに比べて期待値で+2.5-3.5と、他の大型武器と比べても優遇されている。これはAD&Dでの2Hソードの対大型での飛び抜けたダメージ等の頃からある傾向である。
が、ベース武器の期待値の差では、特に20lv近くなるNWN2のOC後半あたりにさしかかると、キャライメージやビルド計画を曲げてまで追及する価値がある要素ではない。3.Xeは後半はStr(3.XeのNWN2では両手持ちで1.5倍になるだけでも差が大きく、特にNWN2のOCはマジックリッチで、能力値修正を大きくしやすい)、特技(地味ながらもベース武器ダメージと同等以上になることが多いFtrの開眼系特技の累積、また、特に3.5eのNWN2では強打のダメージボーナスが両手持ちではNWN1の倍になっている)や武器(強化ボーナスもそうだが、元素ブランド等)についたその他のボーナスによる修正が非常に大きくなり、ベース武器そのものの期待値程度の差は、かなり微々たるものになっていくからである。
例えば、前述したライトハンマーだが、OCにはメジャー武器であるメイスをしのぐほどの種類の魔法のライトハンマーがやたらめったらと出て来るので、メイスより目立って弱いと感じることは少ない(なお、これらのライトハンマーのアイテムは、一部がなぜかアイコンがウォーハンマーの方と同じなので、よく考えずにウォーハンマーが得意なキャサヴィルや場合によってはケルガーに持たせていたら実はライトハンマーだった、といったことがよくある)。
ちなみに全くの余談だが、武器のダイスより、特技や能力値による修正値部分が大きくなりすぎるというのは3.Xeの問題として強く認識されており、後の版では改善されたものがある。例えば5版ではダイス以外の修正値自体がかなり小さく(自然、数値全般がローパワーに)なっている。
例外のひとつが、余所で述べているが、クリティカルの影響が極端に大きくなるウェポンマスターで、クリティカル領域と倍率が増大するので、クリティカル域の広いファルシオンや倍率の大きいサイズなど(残念ながら域と倍率の両方が有利な武器を選ぶというわけにはいかない)を選ぶことで与ダメージが大きく変わってくる。もうひとつの例外は、これも余所で述べているが、高レベルで攻撃回数がバクレツするMnkのカマである。
また、材質の箇所で金属によるダメージ減少克服について述べたが、まれに「木」でしか作れない武器種別(スタッフ、クラブ、スピアなど)があり、錬金術銀や冷たい鉄によるダメージ減少克服がつけられないので終盤大きく与ダメージが変わってくることがある。が、これもスピア(ストームロードのクラスの選択肢)以外は問題になることは少ないと思われる。
これらを含めて結局はビルドやスタイル(片手両手の別等)の方が重要であり、同じスタイルならば選択する武器種別ごとに大幅に戦力が変わってくるようなことはなく、選択は趣味の側面が大きいといえる。
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