NWN2のルール(プレステージクラス)


〇概要

 NWN2において、プレステージクラスのシステムは、NWN1と比べるときわめて強化されているように見える。OC(拡張なし)の時点で既に数がかなり多く、有用なクラスが多く、当初からのシステム上のサポートも多い。

 NWN1の頃は、プレステージクラスはOCの時点では存在せず、SoU, HotUのシステム拡張で順次数クラスずつ追加されていったが、追加されたラインナップはPnPでの定番(人気クラス)は少なく、有用性やベースクラスの強化よりは、ベースと噛み合わない特徴を付与するようなものも多く、(公式では)最終的には数も少なかった。
 また、NWN1は3クラスまでしかマルチクラスできないため、前提条件を満たすための2クラスとプレステージ1クラスといった程度の組み合わせしかなく、キャラメイクを多彩化するというほどでもない。結局のところ、有用・強力なクラスというよりオンラインマルチプレイでのロールプレイ支援が主な目的で入っていたという趣すらある。(一方で、NWN1の頃に既に、ドワーブンディフェンダーの堅実すぎる強さやレッドドラゴン・ディサイプルの後述するへんてこなビルド鉄板化といった特異な事情もあるが、クラス個々の説明に回す。)

 これに対してNWN2では、OCの時点ですでに20近い種類のプレステージクラスがあり、中にはPnPでの定番クラスも含まれ、ベースクラスの能力を強化するものが多い。人気のあるクラスでも再現されていないものは多々あるが、少なくともNWN1に比べると、魅力的なラインナップが揃っているように見える。

 しかし、3.XeのPnPのように、多くのプレステージクラスについて、それを目指す・完成するだけでもひとつの目標となるとか、キャラクター性が完成するといった、一心に目指す価値のある魅力的な選択肢かというと、そうも言い切れない。
 例えば、NWN1やPnPでは10lv以上の「メジャー」プレステージは、エピックレベルに到達すれば、10lvをこえて延ばすことができた(3-5lvの「マイナー」プレステージは、エピックでも3-5lv上限以上伸ばせないことが多い)。10lvをこえたエピックプレステージの多くは、数レベルごとにボーナス特技が得られ、また多くは新たな能力の獲得はないものの、プレステージ自体の能力はクラスレベル値に応じて上昇する。そのためエピック以降もプレステージの能力をさらに10lv以降伸ばしていくこともある。
 しかし、NWN2のデフォルトデータでは、メジャープレステージであってもどれも10lvまでになっている。NWN2自体が30lv(エピック分が10lvまでしかない)ので、あまり伸ばせてもいまひとつという面はあるのだろうが、プレステージが10lvまでということはすなわち、プレステージ自体のクラスレベル依存能力はそれ以上は伸びないということと、エピックにおいて10lvをこえるとメジャープレステージで獲得できたボーナス特技が得られないことである。例えばエピックの30lvのキャラでも、ベースクラスを20lv、プレステージを10lvなどよりも、ベースクラスを30lvにしてベースクラス21lv以上のボーナス特技(しかもエピック段階)の数々を得た方が、結局は強力な能力が得られるということがしばしばある。
 多彩なマルチを調べれば調べるほどに強力なキャラが得られるPnPの3.Xeでは、シングルクラスキャラはそれだけで「馬鹿一」と揶揄されることが多いが(AD&D以前のデータをコピーした公式キャラに多く、頻繁にネタにされている)ことNWN2ではマルチやプレステージがシングルよりも賢明な選択である保障は全くない。OCのキャサヴィル(Pal一本)より強いキャラを作ることはそう難しくないが、かといって単にプレステージを目指して役にも立てられない前提技能や特技を細々と取得しているだけでそうなっているなどと信じているようではとんぬら(サマル)まっさかさまである。それを避けるには、プレステージを目標にするだけでなく、能力「調整」するための道具にする綿密なビルドが要求されるが、以下の説明ではプレステージのPnPとの差といったさわりだけで、それほど詳細なシステムやビルドの話には立ち入らない。




○NWN2の上級クラスの留意点

 なお、以下は(現在DL販売で入手が容易なのが拡張全部入りであることから)MotB, SoZの拡張入りが前提であるものを含む。



・ディヴァイン・チャンピオン

 NWN1の「チャンピオンオブトルム」に相当する上級クラス。本来、D&D系のルールではこちらの「ディヴァイン・チャンピオン」なのだが、かつてのNWN1では、なぜかトーム(トルム)神のディバインチャンピオンに限定したクラスとなっていたものである。にも拘わらず、特にトーム専用の制限(属性、守護神格等)やトーム独自の能力は無かった。なお、PnPでは3.0eにせよ3.5eにせよ、ディヴァイン・チャンピオンは5lvまでしか上がらない「マイナー」プレステージのひとつであり、NWN1で10lv及びエピック域での11lv以上まで拡張され、NWN2もそれに倣ってディヴァイン・チャンピオン10lvまである(NWN2ではエピックでもプレステージは11lv以上にはならない)。しかし、NWN1の10lvやエピックは5lvまでの能力を(ボーナス特技スロットなどで)引き延ばしたにすぎず、6lv以降新たな特殊能力が増えるわけではない。

 世界設定的には、パラディンが(冒険者の中ですら)非常に希少なので、秩序にして善以外の信仰は無論のこと、多くの教会ではディバインチャンピオンがもっぱら聖騎士的な役割を務めていることになっている。つまり、設定上は世界にはパラディンよりもファイター等の出身のディバインチャンピオンが多いことになっている。かのロード・ナッシャーも、ファイターとティール神のディバインチャンピオンのマルチクラスである。
 実際のところ、ディバインチャンピオンの前提能力はNWN1/2ともにBAB+7と武器熟練しかなく(PnPの知識:宗教がないため)戦士系であれば一見かなり取得しやすいように見える。しかし、ディバインチャンピオンの能力を生かすにはCha能力値がある程度必要であり、ならば信仰特技(Chaに依存し、ターンアンデッド能力を要する)でも生かしたいからクレリックも1lv入れて、などとやっていると、(特にNWN1/2では)最初からファイターでなくパラディンをベースにした方が手っ取り早くなってしまう。そのルールの世界設定とプレイヤーキャラの利便が乖離するというのは(特に他の版に比べると3.Xeでは)これに限ったことではない。

 NWN1のチャンピオンオブトルムは《癒しの手》と《悪を討つ一撃》の効果が、パラディンのそれと累積するという(PnPよりも簡略化する目的もあって)特性のため、他の戦士系だけでなく、パラディンに付加するクラスレベルとしても重宝されていた。

 が、NWN2のディヴァイン・チャンピオンは、癒しは累積するが、「一撃」がパラディンと別扱いとなっている。具体的には、回数は別々にカウントされ、ダメージも累積しない。NWN2ではプレステージはエピックでも10レベルまでしか上がらないため、レベルに依存する一撃のダメージもあまり上がらない。そのため、NWN2ではNWN1と違って、パラディンからの転職先としては論外とかハズレクラスだとか酷評されていることが多い。

 しかし、「一撃」が別枠ということから、《一撃回数増加》の特技を取得すると、回数は別々に増加する。《悪を討つ一撃》が2回、《異教徒を討つ一撃》が2回それぞれ増加するので、一撃回数が4回増加するのである。高レベルのパラディンは装備修正等も入れて魅力ボーナスが非常に高くなっていることが多いため、一撃という「高命中率修正」の打撃の手数が大きく増加する、という側面がある。なお(バージョンによって差異があるようだが)《異教徒を討つ一撃》の方は属性が自分と異なる対象に効果がある。(破壊領域のクレリックでも《異教徒を討つ一撃》は使用できるが、ディヴァイン・チャンピオンのものとは回数は累積せず、命中率のみでダメージは乗らない。)
 休息に制限のないOCなどでは、ほとんど毎戦闘・毎攻撃ごとに高命中修正・追加ダメージ(パラディンとディヴァイン・チャンピオンでそれぞれ+5-10など)のある攻撃が可能となることがあるので、その威力は馬鹿にならない。


・ウォープリースト

 ウォープリーストという名称はあたかも「神官戦士」系の本命のような印象を受ける。出典であるComplete Divine(和訳『信仰大全』)のサンプルキャラ(NWN2wikiに引用されている画像と同じである)もいかにもなドワーフクレリックである。

 現に、PnP版のComplete Divineの元ルールでは、前提条件に「領域」(戦、守護、力、破壊のいずれか)があるため、通常はクレリック(少なくとも1レベルを入れた者)をベースに転職するしかなかった。
 しかし、NWN2では前提条件に領域は無くなっている(BAB+5、信仰呪文レベル4, 〈交渉〉8ランク、〈視認〉5ランク及び《戦闘発動》)。そのため、他の信仰系のクラスも選択肢に入るということになるのだが、実の所、こうなってみると、クレリックからの転職には不向きである。前提条件の信仰呪文レベル4(クレリックならクラスレベル7lv)までに〈交渉〉8ランクはともかく〈視認〉5ランクはクレリックはクラス外なので、かなりの負担となる。技能が多めな人間であっても、ひいては他種族(ドワーフ等)ではポイントはぎりぎりとなり、〈精神集中〉などの前線クレリックに必須の技能に回すポイントもほとんどなくなる。なお、フェイバードソウルからのクラス取得に関しても、〈視認〉はクラス外で同様である。また、NWN2では、元ルールの追加領域、ターンアンデッドの増強といった、「クレリックの上級クラスとして有利な特徴」が他にも無くなっている。

 一方、他の信仰系クラスでは、〈交渉〉〈視認〉がいずれもクラス技能で、元々の技能のポイントも多いドルイドやスピリットシャーマンからのクラス取得は、実はかなり容易である。
 どうやら、NWN2では正統派の神官戦士というよりも、ドルイドやシャーマンの「魔法戦士」としての側面に注目し、それを強化するようなビルド構想に向いたクラスであるらしい。また、クレリックやフェイバードソウルにモンクやレンジャー等を咬ませても容易に前提条件を満たすことができ、複合的なクラスも想定できる。
 例えば、海外の攻略サイトでは、クレリックやフェイバードソウルからの転職については、呪文レベル4が揃うClr/FvSlの8lvあたりで、経験ペナルティーがなく必要条件がBABのみの「ネヴァーウィンター・ナイン」を1lv噛ませるビルドを考察していることがある。ネヴァーウィンター・ナインで4ポイント(人間なら5ポイント)の技能が入り、〈視認〉がクラス技能なのでここで5ランク取ってしまい、次にウォープリーストを伸ばすのである。NW9wクラスは高BABで直接戦能力も減らない。ただし、呪文能力はさらに遅れるのは否めない。元々エピックなど高レベルならともかく、初期レベルでは素クレリックの直接戦能力は決して低くないため(そして、他の信仰系でも引き換えにする特殊能力が少なくないため)ウォープリースト自体が呪文能力を遅らせてまで取得する必要があるかは考えどころである。3.Xe全般に言えることではあるのだが、方向性を決めてビルドしなければ、ベースクラス群より直接戦ですら劣った中途半端になるのは避けられない。


・エルドリッチナイト

 エルドリッホ エルドリッチナイトはそれまでに習得している秘術系クラスの魔法能力(呪文数、術者レベル)と、戦闘能力(命中率(BAB), 頑健ST)が両方延びる(ヒットポイントはあまり伸びない)という、いわゆる魔法戦士クラスで、3.5eダンジョンマスターズガイド(DMG)記載の、最も基本的なプレステージクラスのひとつである。なお「エルドリッチナイト」はD&D5版ではFtrが一定以上のレベルで取れるオプション(1st,2ndのスプリットクラスやキットのようなもの)の名であり、代表的及び一般的な魔法戦士の用語となっているが、3.Xeでは以下述べるように取得もプレイングも易しくはない上級クラスである。
 かつてのNWN1のデフォルトでは、結局HotUに至っても魔法能力と戦闘能力の両方が伸びる魔法戦士的なプレステージクラスは無かったため(ペイルマスターについては何かが違う、と思うプレイヤーが多いと思われる)、NWN2が(バードやウォーロックの鎧術者特技とあわせて)秘術系の魔法戦士系をサポートしている、という売りのひとつである。

 ただし、3.5eのPnP版クラスからして、魔法能力が伸びるのはクラスレベルが2lv以降であり、クラスを取得した最初の1lv目は伸びない。さらに、クラス取得の前提条件に「すべての軍用武器に対する《軍用武器習熟》」が必要である。PnPの元ルールでは元々《軍用武器習熟》を持たないクラスが特技として習得しても「どれか1種類の武器」にしか習熟できない。そのため、PHB基本種族(来訪者系の珍妙な種族とかレギュレーションとかでない限り)で前提条件を満たすには、最初から「すべての軍用武器に習熟している」前衛系のいずれかの職(ファイター等)を1lv咬ませるのが通常必要である。
 すると、魔法能力に関しては合計2lv、少なくとも純キャスター系のクラスよりも遅れることになる。クラスレベル2lv遅れということは、純キャスター系では使用できる「呪文レベル」が、呪文レベル1分遅れることになる。この影響はかなり甚大である。両取りの魔法戦士が、純キャスターよりペナルティーがあるのは当然のこととはいえ、安易なエルドリッチナイト狙いを躊躇させる大きな理由である。

 ところが、NWN1及び2では、武器習熟の特技はPnPより簡略化され、前衛系以外のクラスが取得したとしても、特技ひとつで該当する全部の武器に習熟する。すなわち、《軍用武器習熟》ひとつを習得すれば、全ての軍用武器に習熟する(武器熟練や開眼などの上位の特技は元のPnPルール通り細分されているが、習熟のみ簡略化されている)。
 つまり、NWN2では、例えばファイターのクラスを取得せず、ウィザードのレベルのみ伸ばし、キャラ作成時又はキャラクターレベル上昇のいずれかで取得できる特技を使って、《軍用武器習熟》を習得すれば、ウィザード5lvのみでエルドリッチナイトの前提条件を満たすことができる。以後はエルドリッチナイトを延ばせば、魔法能力の遅れは1lvのみで済む。

 もっとも、ファイターはクラスレベル1lv時にその他の防具等の習熟と、戦闘特技ひとつを得られる。それらの習熟及び特技と、「1lv分の魔法能力」を引き換えにする価値があるかは一考の余地もあるところである。鎧や盾の習熟がなければ、「秘術失敗確率の軽減」の能力がついた魔法戦士用の鎧や盾が登場した時に装備することができない。(NWN2のOCではそうそうすぐに出てくることは望めないが、一応鎧は存在する。秘術失敗確率が無くなっている盾はミスラルやザランターでクラフトすることでも手に入る。)
 なお呪文数でなく術者レベルの方だけなら、Practiced Spellcaster 《手練の術者》特技で遅れを緩和できる。しかも、NWN2ではこの特技はバグにより、エルドリッチナイトを含む一部クラスを入れた場合に計算がおかしくなり(術者レベルが加算されるクラスに対しても、されないクラスと同様に計算し余計に加えてしまうらしい)純キャスターより術者レベルだけは上になることがある。

 エルドリッチナイトは、魔法・戦闘の両方の基本的能力が伸びる以外の能力は無い。例えばバードやウォーロックと異なり、軽装鎧等を着て秘術呪文を唱える(失敗確率を軽減する)能力も無い。以降の多くの魔法戦士系クラスの持つ前線で呪文を発動するための特殊能力(1lvボーナスの《戦闘発動》と、《技能熟練:精神集中》を除き)や、呪文の注入(いわゆる魔法剣の類)の能力も無い。ヒットダイスも1d6と低い。PnPルールでは、そのまま使うよりも他の魔法戦士系クラス(例えばComplete Warrior、和訳『戦士大全』のスペルソード等)と組み合わせて補強するために使われる場合も多い。何にせよ、一般的に言って秘術系魔法戦士は茨の道であり、PnP版でも結局マルチクラスで実現するよりも、ダスクブレード(3.5ePHB2)のような、基本クラスの時点で秘術と戦闘が組み合わさったクラスの方が人気があるように思われる。
 NWN2では、一定のレベル範囲内で最大能力を求めるパワービルド・いわゆる鬼ビルドには、主に呪文能力とBABを調整するため、エルドリッチナイトを咬ませて工夫するために使われることは多い。が、少なくとも(純キャスターの使うような)NWN2の呪文の全体像をまだ把握していないような初心者が、OCのファーストキャラ等でいきなり手を出すのに適したクラスではない。まして、「Wizardryの侍みたいなのがやりたかった」などと口走るような半可通が手を出すのは到底おすすめしかねる。


・レッド・ウィザード・オブ・サーイ

 サーイ(セイ)のレッドウィザードはAD&D時点からの古い設定であるが、3.0eのFRCS、さらに3.5eではコアルールのDMGに記載され最も基本的なプレステージのひとつとなったクラスである。
 FR世界における設定はMotB内で詳細に描写されるので、PnP未経験者向に詳細に特記する必要は特にないが、要は赤いローブ(FRでは、白と黒の中間とか中立という意味とは関係ない)をまとい禿頭に魔力を増大させる刺青を入れた悪(権力闘争および奴隷制など)のサーイ国の支配階級で、コナンやランクマーといった古いFTを思わせる異相の悪役魔術師団である。本来はFR世界かつサーイ地方に特有の背景を強く持つクラスだが、3.5eでは特定世界・背景に根差したクラスそのものの例としてコアルールで紹介されたと説明されている(もっとも、DMGに載っているのは、Evil傾向、かつPC向きでない円陣能力を持ち、しかも魔法能力自体は凶悪であることから、「敵役にうってつけである」という理由が大きいと思われる)。なお、サーイ国の事情でもあるが、種族が人間(Human)以外はなることができない(ユーザーhakで人間サブ種族を導入している場合、サブ種族でもなれる)。
 従来のPCゲームでの登場例では、NWNの源流の初代作成ツールである
FRUAのパッケージでいきなり超目立っているが(クライド・コールドウェル画"Red Wizard")、近年のD&Dゲーマーに知られた例では、BG1,2のエドウィンがサーイのレッドウィザードであり、わざわざソード・コーストまでやってきたのはハスラン(宿敵である隣国ラシェメンの魔女団。これもNWN2ではMotBで詳細に説明される)候補であるダイナヘールの抹殺を目的としていることがわかるが、BGでのエドウィンはBGEEシリーズを含めて特にサブクラス(キット)等でレッドウィザードとしては表現されていない。


 NWN2版の実装はというと、そのまさしく背景設定に根差した特徴といえる、円陣や刺青の能力が、CRPGなら当然だろうという様子を見せて削除されている。
 では弱くなってハスランやミンスク(ラシェメンのバーサーカーウォリアーはハスラン候補の護衛を修業とする。これもMotBで以下略)万々歳かというと、そうは問屋がおろさない。NWN2でも再現されているのは、スペシャリスト・ウィザードとしての専門化の強化(専門化した一部の判定の術者lvの最大+5上昇やセーブの難化)で、これも強力なのだが、NWN2ではこれがバグと合わさって割ととんでもないことになっている。
 1つはNWN2一般のバグとして有名なもので、《手練の術者》(Practiced Spellcaster)特技が、本来は術者lvが延びないクラスをマルチクラスした際に術者lvが最大+4されるはずなのが、NWN2では術者lvが上昇するクラス(レッドウィザードを含む)でも上昇してしまうので、単純に術者lvが+4されてしまうのである。このため、レッドウィザードは専門化した呪文について術者lvが最大+9されるという尋常ならぬ事態に陥る。このボーナスは全ての術者lvの関連する状況に適用されるわけではないが、凶悪なことは疑いない。
 もう1つは、敵側の呪文のセーブが難化する点については、専門化していないあらゆるスクール(系統)の呪文についても適用されているらしい(エピック呪文は除く)という報告がある。さらに、エピックレベルでは、呪文レベルだけでなく術者lvにも依存してセーブDCが難化するため、専門化したスクールについて前記術者レベルの上昇とあわせるとその影響は洒落にならない。


 なお、上記の事情からレッドウィザードは専門化するスクールが重要で、しかも専門化を強化するため使用できないスクールを追加で選ばなくてはならないなどと、本来は色々とゲームに慣れた判断が必要だが、MotBのサフィアはすでにレッドウィザードを10lvまで上げ終わっている(あとは素ウィザード等を延ばすしかない)ので、MotB当初プレイでプレイヤーが考える必要はなかったりする。


・ブラックガード

 ブラックガードはD&D3.0e, 3.5eともにDMGに掲載されている最も基本的なプレステージクラスのひとつである。NWN1のSoU(拡張パック1)から追加され、NWN2では最初から設定されている。
 AD&D時代からパラディンに対応する悪などの他属性の存在として、Anti-Paladin(混沌にして悪)などが設定されている。3.XeのDMGのクラスの説明によると、3.Xeにおいてこれら旧Anti-Paladin等に対応するクラスと言えるのだが、説明とは異なりそのままとは言い難い。例えばDMGで「アンティパラディン」はブラックガードの別名と説明されているが、ブラックガードは悪属性のいずれでもあり得、AD&Dの「混沌にして悪」のAnti-Paladinには正確には対応しない(つまり、ブラックガードはAnti-Paladin以外の他の悪属性戦士もカバーしている)。
 前提条件の隠れ身、特殊能力の毒使用や急所攻撃(AD&DのAnti-Paladinもそうだが)などから、パラディンの対極といっても、闇に属しつつ気品を保ったいわゆる「黒騎士」の類よりは、性根まで卑劣に染まった「悪党」の側面が強い。

 なお、パラディンの対極としては、日本では自称「TRPG」ベテランが、CD&D緑箱の「アベンジャー」が初出・原型であるかのように、ときにD&D系と全く無関係なFT/RPGの話題ですらほぼ毎回引き合いに出し、商業書物ですらそう説明されていることがあるが、名前も内容も全く関係はない。Anti-PaladinはDragon#39にまで遡り、AD&Dよりも遥かに後発でマイナーなCD&D緑箱のアベンジャーが、後発のブラックガードやその他の暗黒戦士(及び、Avengerという名で内容は全く別のAD&D2nd以降の後発クラス)の原型や派生元といった事実は全くない。


 3.Xeのブラックガードの能力については、パラディン同様にCha修正がstに加算されるDark Blessing、急所攻撃(特に、BAB高で急所攻撃が得られる数少ないクラスでもある)などが着実に強い。しかし、特にNWN1/2プレイヤーからは、いまひとつ微妙扱いされていることが多い。
 NWN1/2では呪文はリストからの選択でなく何種類かの疑呪に簡略化されているが、高レベルで入るのがインフリクト系などいまひとつである。NWN1のデーモンやアンデッドの召喚にしても(これでもPnPやNWN2の使い魔よりは強化されているのだが)戦士系の自分が頼りにできるほどのものでもない。ブラックガードの能力は対「善」の敵に対して最も発揮されるが、それでは実際に善側のパラディンやクレリックといった強力なベースクラスと正面からぶつかったらどうなるかというとD&D系でのこれらの対「悪」への特化(優遇)にはとても及ぶべくもない。恐れられていたAD&DのAnti-Paladinに比べて必ずしも弱くなってはいないが、当時に比べてパラディンやクレリックの方が(特に追加ルール類によって)バクレツに強くなっていることと、こちらが上級クラスでもあり敷居(最低ライン)が上がっていることで、相対的に立場が悪化している。
 決して弱いクラスではないが、シスのような悪の象徴、しかも上級クラスであればもっと「凶悪」であって欲しいというイメージには及ばないと言わざるを得ない。上述の悪漢としての性質もあって、善玉にやられるための悪玉といったタイムボカン三悪的空気すら漂ってこないでもない。
 (NWN1/2に限ったことではないが)悪としての設定と利点を生かすにはモジュールの作り、悪プレイに対応しているか、多分に悪専用モジュールであるかどうかにも大きく依存する。例えばNWN1のBlackguardキャンペーンモジュール群については、別に述べる機会があるだろう。


 が、これで終わりかというと例によってここでもうひとつ、NWN1/2での特異な事情がある。
 元のPnPルールでは、パラディンがブラックガードに堕ちると(というよりも、悪に属性変化した時点で)パラディンの能力の大半を喪失する。ところが、NWN1/2では、単なる横着なのか故意なのか、パラディンの能力はアライメントや他クラスに関わらずどれも喪失しない。それどころか、パラディンにもChaボーナスがstに加算されるDivine Grace能力があるが、これがブラックガードのDark Blessingと「累積」する(合計Chaボーナスの2倍がstに加算される)という割ととんでもない実装になっている(ついでに、NWN2ではウォーロックの同様の効果の妖術もこれらと累積する)。
 ゆえに、NWN1/2ではパラディンとブラックガードの両方のクラスレベルを持つ者、パラディンから堕ちた「寝返りブラックガード」や、ブラックガードから再び昇った「出戻りパラディン」はかなり強力である(アリベスがどちらにも該当し得るが、ブラックガードの実装はアリベスとは関係ないSoUなので、人気のアリベスを優遇している等ではなく、多分に偶然ではないかと思われる)。NWN1/2ともに、強ビルドを考察する際にはこれらが候補となっていることも多い。



・レッドドラゴン・ディサイプル


 レッドドラゴン・ディサイプル(RDD)はNWN1の頃から存在するプレステージクラスである(NWN1では拡張2本目のHotUで追加、NWN2では拡張無しのOCパッケージから選択可)。簡単に言えば、クラスレベルを上げるごとに次第にドラゴンの能力(能力値やアーマークラス増加、ブレスウェポン等)を獲得していき、最終的にはハーフドラゴン・テンプレート相当の能力(各種耐性など)を獲得するクラスである。
 なお、PnP版の元ルールでは、各タイプ(色、金属の種類など)からどのドラゴンディサイプルになるか選択できるが、NWN1/2では「レッド」ドラゴンディサイプルにしかなることができない。おそらく、実装の手間や容量の割には表現できる差異が少ないためと思われる。「混沌にして悪」以外のキャラでも「レッド」ドラゴン化するのは考えてみれば不自然だが、ゲーム的齟齬として割り切るしかない。一応、ユーザー製のhakやoverride (例えばKaedrin PRC)では、レッド以外の様々なドラゴンを選択できるようになっていることがある。

 ドラゴン・ディサイプルはPnP版では、3.5eであればDMG記載の非常に由緒正しい職種だが、PnPプレイヤーからは、「ネタ職」扱いされることも少なくない。ハーフドラゴンテンプレート自体が(筋力、ACの増加や肉体攻撃など)前衛向きなのだが、ドラゴン・ディサイプルのBAB(基本攻撃ボーナス)は「中」(クラスlvの3/4)であり、前衛系の各クラスからは落ちる。能力ボーナスが前衛向きな一方で、得られる特殊能力にボーナス呪文(3.5eでは高能力値相当、Pathfinderではクラス自体の構成がかなり異なるがレベル上昇相当の呪文数追加)があり、前提条件から秘術系クラス(呪文能力や秘術技能)を入れなくてはならず、前衛なのか秘術なのか実に中途半端である。「キャラ作成時に3lv分(レベル調整値(LA)+3のため)払うだけで作ることができるハーフドラゴンテンプレートを、わざわざ10lvの手間をかけて習得するクラス」などという評判が流れていることも多い。
 なお、AD&D2ndゲームだが3.Xeからの逆輸入が多い『バルダーズゲート』シリーズのリメイクBGEE/BG2EEでもドラゴンディサイプルを選べるが、これはソーサラーのキット(サブクラス)であり、つまり純然たる秘術系なのに近接向けのドラゴンブレス攻撃、かわりに呪文数が減るなど、やはりよくわからない職となっている。

 NWN1ではどうだったか。もともとNWN1は、RDDが追加される前の拡張1のSoUの時点から、使える・強い上級職というよりも、雰囲気職や背景設定関連のプレステージが、故意に選択され追加されていた節があった。これはNWN1では3職までのマルチクラスしかできないので、強いクラスを入れて皆がそれに邁進して3職の組み合わせが同じようなもので埋まっても面白くない、という考えもあると思われる(そんな中でドワーブンディフェンダーの堅実な強さが渋い輝きを放っている)。そんなNWN1に拡張2のHotUで追加されるプレステージのひとつとして、よりによって上記のような評判のRDDが発表されたときから、PnPプレイヤーからは「これはまさに期待できそうもない」という微妙な空気が流れ続けていた。しかし、実装されたのは、PnPとの比較(再現)という面だけとってすら、その予測さえ遥かに下回るものだった。
 NWN1では、RDDはPnP版よりもさらに大幅に弱体化しており、PnPでは得られる爪などの肉体攻撃もなく、どういうわけかヒットダイスも低い(PnPでは最初からドラゴンと同じd12だが、NWN1ではd6から始まって次第に上がる)。さらに、呪文のボーナスさえもなくなっている(RDDの伸び方とは違うとはいえ、ペイルマスターのように呪文数が伸びる上級クラスも他にあるので、呪文の伸びがゲームシステム上全く再現不可能というわけではない)。呪文能力が減ったといっても、かわりに近接の能力が何か他に追加された、とかは特にない。どこから見てもPnPからさらに劣化しただけである。
 NWN2でも、おそらくNWN1からの伝統という理由もあって、NWN2最初の基本パッケージ(拡張導入前, OC)からRDDが選択できるが、ヒットダイスだけPnP通り最初からd12になったくらいで、ほとんどNWN1と変わらない。
 つまるところ、一見、これ以上微妙にしてどうするというのに輪をかけて微妙にしたようにしか見えない。NWN1でHotUのコボルドNPC(旅仲間)、ディーキンが、選択肢によってはバードからRDDになることはPnPファンの間にすらも有名だが、PnPプレイヤーはもちろん、一部のNWNプレイヤーからも、単に「ディーキンのキャラクターづけ以外に何の存在意義もないプレステージクラス」などと信じ込まれ、流布されていることも少なくない。


 ここまで読むと、RDDはハズレ職以外になり得るとはとても考えられないように見えるだろう。
 しかし、それら外野の視線に対して、長年研究されてきたNWN1/2システムの評価におけるRDDの実情は、大幅にかけ離れたものである。


 NWN1のパワービルド、すなわち最高レベルに達した際に最高の能力を得られるよう追及する(D&D系ではMin-Max思想としておなじみである)キャラ作成研究においては、
NWN1wikiに挙げられている例のうち、実に半分近くが10lvの、あるいはそれ以上のRDDのレベルを有している。(NWN1ではプレステージクラスはエピックキャラであれば10lvを超えて延ばせる。NWN2のデフォルトでは10lvまでである。)
 NWN2はビルドのバリエーションがNWN1よりも遥かに広く、数多くのパワービルド例があるが、NWN2wikiに挙げられている多数のビルドのうち、やはりかなりの数がRDDを含んでいる。
 パワービルドというキャラ能力の追及において、NWN1,2という環境の中に限っては、RDDは明らかに最強職のひとつである。
 海外の多くのPWサーバーでは、RDDの能力は「強すぎる」としてこのプレステージクラスの所有キャラ自体が入室拒否される(BANされる)か、サーバー側で弱体化の措置が行われているものも多い。
 上記パワービルドとまではゆかなくとも、NWN1,2を長く続けているプレイヤーの間では、OCなどの長編キャンペーンの主人公キャラとして「FtrかPalを数lv, 1lvだけSorかBrdを咬ませてRDD」というのは定番のビルドのうちのひとつとなっている。
 NWN1,2ともに、RDDの立ち位置はPnPからは到底信じ難いであろう代物になっている。


 なぜPnPとNWN1,2で、ここまでRDDの立場に差が生じているのか。
 手っ取り早く言えば、RDD高レベルにおける「能力値の増大」が理由であり、そしてPnPと異なり、これほどの能力増大を実現する手段が、NWN1,2では他に皆無であることが原因である。

 ここで、PnP版に慣れたプレイヤーは、能力値を増大させる手段はべつにクラス取得などで増やさなくとも呪文や特殊能力やアイテムその他でいくらでもあるとか、日本語化されたルール本だけでも簡単に数十ブーストできるとか、そんな中でたかが+2〜+8とか別にどうでもいいわ(声:いかりやビオランテ)とか思うところかもしれない。
 ところが、NWN1,2のデフォルトのシステムでは、キャラ本人のベースの能力以外の、呪文やアイテムによる能力値の加算は、「+12」までに制限されている。ボーナスの累積に関するルールの実装はPnPとは大きく異なり、NWN1,2のそれぞれでも異なるが、どう累積しても+12までであることには変わりはない。例えばConを+8するアイテムを装備している場合、バーバリアンのグレーターレイジ系などでConをさらに+6しても、合計はベース能力値+12までにしかならない(つまり、レイジは+4分までしか反映されない)。NWN1,2のバーバリアンは、こういったアイテムが既に入手容易になっているエピック等では不遇で、レイジ以外に特徴を見出さなくてはならない、と言われる所以である。
 なぜ能力値加算が+12までになっているかというと、バランスのためと思われる。FR特殊本の記述を考え無しに額面通りエピックまで拡張してみたらConが+1200強化された、などということがPW(常設)などのマルチプレイ用サーバーごとに起こりにくいようにと思われる。また、NWN1では複数の手段による能力値増加が重複可能だったので、かなり容易に+12をこえる高能力値修正を得ることができ、これも高くなりすぎないよう+12までが反映されるようになっていた可能性がある。これがNWN2では、最も高いアイテムの修正が反映されるようNWN1とは変更されているが、上限値はNWN1のまま据え置かれている、といった経緯が考えられる。

 ともあれ、「アイテムや特殊能力等によるブースト」での能力増強が+12までに限られている以上、「キャラ本人のベースの能力値」を増強させる手段が後半ではものを言う、ということになるのだが、例えばキャラクターレベル4lvごとの能力値増強やエピック級特技などによる増強は、ベース能力の増強扱いとなり、上記+12とは別に加算される。そして、RDD 10lvのStr+8, Int+2, Con+2, Cha+2もベース能力の増強扱いとなり他のボーナスと累積する。特にStrにこれほどのボーナスを得る手段はNWN1,2では他にない。BGやIWDではわりとよく見かける、能力値を増加させる本(トーム、マニュアル)や薬もごく一部モジュール除いて見当たらず、エルミンスターやハラスターのような公式キャラがIntを上げるために行っているような、wishで能力値を増加させる(ただしシャル、テメーのStrはダメだ)といったシステムもNWN1/2にはない。
 なお、NWN2では、上記した+12までのボーナス制限の他に、システム的な能力値の上限そのものが「50」(つまり、能力値による修正値が+20となる値)までとなっている(これはNWN1よりもかなり低い。NWN1ではどこまで正常に動作するかは定かではないが、データ上は255までとなっている)。しかし、Strに関してはRDDの+8と、ボーナスの+12、30lvまでのキャラクターレベルによる能力値上昇+7に、さらにエピック特技の能力値上昇(大いなる筋力)を加えると、種族によっては50に到達することは充分に可能である。NWN2では、いずれかの能力値が50を超えた場合どうなるかというと、超えた値は機能しない等だけではなく、きわめて厄介なことに、予期せぬ不具合を起こす可能性がNWN2wikiでも触れられている。また、NWN1時代にはなんらかの理由でRDDのレベルを下げた際に、能力値の収支がおかしくなり、データ異常が生じる上、一度起こってしまうとスクリプト等で直すのは不可能(DMの操作やキャラエディタ等で直すしかない)といった報告があったらしい。マルチプレイのサーバーでRDDが入室禁止にされるのは、実際のところこれらの理由が大きいのかもしれない。

 上記に加えて、PnPと上記NWN1,2のパワービルドの感覚が異なる点に、PnPでは基本的に20lv未満の非エピック(場合によっては10lv前後が中核)が主にプレイされるのに対して、パワービルドはNWN1,2最大限のエピック(30-40lv)を問題としている点が上げられる。PnPでは「10lvも費やしてハーフドラゴンテンプレートだけ」と言われるRDD 10lvも、キャラクターレベルが30-40lvであれば、キャラの能力を構成するごく一部にすぎない。高レベルキャラの多くが、簡単に能力値+12が実現できるブースト用アイテム等もすでに当然に有している以上は、NWN1,2においてはベース能力増強の重要性の方が高い。また、エピック級特技の多くは、かなり高い能力値を必要とするので、20lv前後でRDD 10lvに達していた場合はその取得に有利なことも多い。

 PnPでは同じ能力が種族でハーフドラゴンテンプレートを選べば手に入るといっても、いうまでもないことだが、NWN1,2ともにデフォルトではハーフドラゴン種族は選択できない。overrideなどで追加することは容易だが、3.5eのSRD準拠とすると「レベル調整値+3」で上記能力が最初から得られるとすると、NWN2ではRDDにもまして強すぎるため、そのまま追加するPWサーバーやモジュールがあるとは考えにくい。
 なお、overrideでRDDの能力にPathfinder等と同様の「呪文数の加算」を追加することも容易にできるが、同様の理由でRDDを現在以上に強化するのは問題があるため、あまり推奨できる改変とは思えない。


 このRDDは、実装されたデータだけ見るとPnP版よりも大きく弱体化しているように見えて、その実NWN1,2内の制約のもとでは、現状でも強すぎて問題になるほどという、NWN1,2の特異な環境を殊に強く示しているクラスである。
 ただし、それはPnPプレイヤーの側から見ると、(他の手段が制約されているせいで相対的に強いというのは)いまいち物足りないというか、面白みを感じる強さではない、と感じることはあるかもしれない。




・ストームロード


 ストームロードについてはもはや改めてこんな所で説明するまでもないかもしれない。「一見強いように見えて(これまで挙げてきたように)何か裏がある」「一見弱いように見えて何の裏もなくそのまんま弱い」といったプレステージクラスの多いNWN1/2にあって、数少ない直球で強力なクラスであり、そのまま目指す場合も、他と組み合わせて鬼ビルドをする例にも頻繁に名が登場する。NWN2にはモヒカン(レイディアント・サーヴァント)がいない以上は、槍系のストームロードを目指していればほぼ間違いはない、という信仰系の本命のひとつである。

 元のPnP版の3.Xeのストームロードは、元々は3.0eのFRCSを出典とするレルムの世界設定限定の特殊クラスであったが、強力さと人気のためか、3.5eの汎用ルールのComplete Divine (以下CD, HJ社和訳『信仰大全』)にも収録されている。レルムでは「タロス」神、CD版でもタロスかそれに準ずる設定の嵐の神の信徒に限ることになっているが、NWN2版では後述するようにその前提条件の制約が緩いことも使いやすさを増している。ちなみに『バルダーズゲート』の新しめの版(BGEEなど)におけるクレリックのキット、「プリーストオブタロス」が設定上はこれにあたるが、能力などはNWN2のものとはかなり異なっている。「ストームロード」という語は、それ自体がタロス神自身の別名としても用いられることがあると共に、高司祭の称号でもある(これはラサンダーの「モーニングロード」等と同様、レルムの他の神にもよくあることである)。

 前述したように、NWN2のストームロードは前提条件に信仰対象の神性の制限はなく、単にストームロードのボーナス武器(NWN2ではスピアと手投げ投擲武器、すなわちダーツ、シュリケン及びスローイングアックス)のいずれかの「武器熟練」を持っていることが前提となっている。例えば、タロス神の好意武器はスピアなので、PnP通り、タロス信仰を選んで「戦」領域を選んだクレリックや、タロスのフェイバードソウルならばこの前提を満たす(これ以外の信仰だと、特技スロットを武器熟練に費やして調達しなくてはならない)。しかし、この他に、ミストラやタイモーラ(シュリケンが好意武器)のような、一見すると嵐とは関係なく、かつ善神のクレリックやフェイバードソウル経由でも前提を満たすことができる。対象を広めるにせよ、ストームロードのレルムでのイメージとは異なるこのような設定が選択された理由は定かではない。ちなみにクレリックだとしても、領域をそれらしいもの(風など)にするといった前提条件もない。
 また、PnPのストームロードは(荒神の司祭として)「稲妻に打たれて生き残る」という体験(儀式)を経る必要があるが、無論のことNWN2版は(モジュールで再現でもされていない限り)必要としない。単にアサシン等の前提条件同様にシステム的には再現されていないだけだと思われるのだが、そういった儀式を経た自然神の司祭とそうでないものではイメージが大幅に変わってくるだろう。
 何にせよ、荒神タロス自体については、NWN1の名作モジュール「ブラックガード」等と共に、今後述べる機会があると思われるので今回は詳細は省く。タロスやその聖職者、ストームロードの背景については、控え目に言ってもかなり特殊で説明が難しいと言わざるを得ないが、NWN2では上述のように前提条件が厳しくない以上は、自然神の高司祭であれば他にも存在し得るなど、より広い範囲をイメージしても構わないと思われる。


 NWN2版のシステムの話をすると、ストームロードはレベルごとの呪文能力などもベースクラス同様に成長し、なぜかキャスターとしても能力が落ちないという点も凶悪なのだが、それを差し引いても武器攻撃系の特殊能力がきわめて強力である。BABは中のままだが、HDも減らず、信仰系のベースクラスから物理能力の減少はない。そして、前述したストームロードのボーナス武器(スピア、ダーツ、シュリケン、スローイングアックス)を用いると強化ボーナスが加算され(最大+3, 武器自体の強化ボーナスと累積する)、電撃及び音波のダメージ(最大各1d8/クリティカル時各2d8)がつく(使用回数制限はないが、なぜか一定期間置きに特技使用を選択する必要がある)。
 なお、PnPでは稲妻を投げつけるイメージからこれら武器強化は「ジャベリン」での使用を強く想定されている節があり、ジャベリンしか適用されない能力もあるが(CDでは武器熟練の前提条件は「スピアか投擲武器」ではなく「スピアかジャベリン」である)NWN2では(デフォルトデータでは)ジャベリンのデータはない。元から信仰系が近接職としての運用が多く、またNWN2での他の上記使い捨て投擲武器はダメージ、取り回しの点からも心許ない点からも、「スピア」熟練キャラが使用することが多いと思われる。戦士系ほどはStrやConにつぎ込めないことから、大Strによる両手持ちの恩恵を期待するよりは盾の防御を重視し、大業物 Monkey Grip特技を用いてスピアを片手に持ち、盾を装備することの有利さを考察するゲーマーもいる。
 武器熟練や呪文(信仰レベル3)以外の前提条件は、追加hpや頑健ST+4, 頑健無比(FortST+)特技など、高lvこそ要さないがやや厳しめである。(なお頑健系が多いのは、上述した「稲妻に打たれる儀式をくぐりぬけた」等のイメージを反映していると思われる。)

 どの信仰系クラスからストームロードになるかだが、上述したスピアで近接戦を行う形態を想定した場合、クレリックが最も近接戦に向いた能力(重装鎧の習熟、領域呪文を選べるので「地」領域などを選んだ場合の強力なバフ呪文、魅力に余裕があればターンアンデッド回数に因する信仰特技など)が多いので有利とされることが多い。キャラ作成時にタロス、ホアー、ルルー、アンガラド(エルフ)、ベアヴァン・ワイルドワンダラー(ノーム)、グルームシュ(ハーフオーク)といったスピアを好意武器とする信仰を選び、クレリックのクラス取得時に2つの領域の片方を好意武器の武器熟練が得られる「戦」領域、もう片方を前記バフのための「地」領域(「風」の方が領域呪文内容含めてイメージには合うが、そのあたりはパワーかイメージかの兼ね合いである)などを選ぶことが考えられる。または(特に特技が多い人間や一部ハーフリングなら)2つとも「戦」以外の領域を選んだ上で、別途特技一つを費やしてスピア熟練を選ぶことになるだろう。
 フェイバードソウルも信仰対象として前述のスピアが好意武器の神性を選べば、前提のスピア熟練が得られるという利点があるが、鎧が中装までなのと、フェイバードソウルの方のレベルを上げて有利になる点(武器開眼など)があるので、クレリックより適性が劣るとされることが多い。ドルイドやシャーマンは同様に鎧が薄く、呪文が近接バフより後衛キャスター傾向で、熟練は特技を費やす必要がある。が、これらもストームロードを目指せないほどではない。


 ストームロードに大きな欠点は見当たらないが、NWN2ゲーマーらにしばしば指摘されているものとしては、上記「スピア」を使用した場合、DR貫通の問題がある。すなわち、スピアは「木」系の素材でしかクラフトすることができないので、DR貫通に金属(錬金術銀や冷たい鉄)を要する敵については対処することができない。また、音波はともかく電撃に耐性がある敵に対しては能力が大きく落ちる。加えて、MotBエピックレベルだと、武器に4つまでの印(例えば強化ボーナスに加えて3つまでの元素ダメージ)、しかも5d6元素ダメージまでも付与することが可能なので、ストームロードの能力もかなり霞む(なお、武器にすでに元素や魔法の追加ダメージが付与されている場合、それが電撃や音波とは異なる付与であったとしても、ストームロードの能力の方はうまく機能しないことがある、という報告がある)。そのため特にエピックなどでは利点が削がれることがあるが、大きな弱点のない強力なクラスであることには変わりない。




・ウェポンマスター


 「ポンm@s」と略す人がいるかは知らない。NWN1(HotU)ではおなじみの職だが、PnP版のゲーマー、3.0eの英語版時代からのプレイヤーは「なんでよりによってこんなものがNWNには採用されたのか」と理解不能の感を露わにすることも多い。それどころか、3.5eや4版、5版のみのプレイヤーであれば、そもそも「一体これはどこが出典の何なのか」と途方に暮れることがほとんどである。

 Weapon MasterはPnP版では3.0eのSword and Fist (以下S&F、2001年1月)及びOriental Adnventure (2001年10月)記述のプレステージクラスである。
 いずれも3.0eの、しかも最初期のルールだが、たとえWotC直々のルールであっても、特にデザインのノウハウの不足していた3.0eの初期にはしばしば見られたものとして、一見地味に見えて、デザインの考えが安直で浅薄なために、ぶっ壊れた性能のものが少なくない(3.0e版のDoFのTemplarなどが大変に有名である)。このS&Fも、後で大量にエラッタが入り、さらに3.5eの移行時には消滅したりまるで別物に差し替えられたルールが多い、3.XeのPnPの中でも、いわゆる信頼性の非常に低い初期ルールのひとつである。
 ウェポンマスターはそんなS&Fのプレステージクラスのひとつで、多分に時代劇の武芸者めいた武器の達人クラスである。では、このポンマスもS&Fのバランスがぶっ壊れた高性能職のひとつなのかというと別にそうではなく、前述の例とは逆に、「一見ものすごく派手に見えて『デザインの考えが浅いため』かなり微妙な性能」の職だといえる。

 いくらNWN1の時点では3.0eだったとはいえ、その中でもなぜよりによってポンm@sなどがNWN1(HotU)に追加されたのかも、様々な推測が語られているが、実の所よくわかっていない。ひょっとするとS&Fの時点で、「東洋風」か何かの理由でこのクラスに特に人気があったのかもしれない。
 なお、ウェポンマスターは3.0eのクラスであり、NWN2のベースである3.5eには非常に厳密な意味での同等物は存在しない(※1)。しかし、3.5eであるはずのNWN2では、全くひねりも無い3.0eのS&F版準拠そのままで、(NWN1同様の一部削除以外は)特に改変も調整もされず無造作に入っている。理由は、単にNWN1からの伝統(あるいは人気)と、おそらくは現実問題として、実装がさほど難しくなかった、というのが大きいと思われる。NWN2のDataフォルダのclass.2daの没データにはKensaiクラスが残っており、3.5eのKensaiを再現する予定だったのか、それが失敗したのでNWN1のポンマスが実装されたのか、想像の域は出ない。


 背景はさておき、NWN2でのこのクラスを検討すると、ポンマスでまず目につくのは、前提条件の異常な多さである。というよりも、《武器熟練》と《大旋風》が必要であり、その大半は《大旋風》の前提である大量の前提条件ツリーである。武器の達人と名乗るには武器熟練の他に開眼やらその他の戦闘特技も欲しいとなると、特技が大量に得られるファイターだけでもぎりぎりの必要レベルよりはかなり高いものを要求されることが多い。
 この《大旋風》特技そのもの、NWN1/2での運用については色々と問題が山積みなので、それ自体は別記事で述べることになると思われるが、「周囲の敵すべてに1回ずつ攻撃」というこの特技は、PnP版時点の評価でも「非常な仰々しさの割に微妙」と言われていることが多い。NWN2では、素の攻撃回数がPnPの4回よりも大幅に増えることもあって、周囲に何人いようが全て1回ずつ攻撃できるといっても、さらに微妙であると言わざるを得ない。

 苦労して《大旋風》を習得した果てに取得できるクラスなので、《大旋風》を生かせるような能力が伸びていくのかと思えば、必ずしもそうではない。例えばPnP版ではウェポンマスターのクラスレベル9lvで、「標準アクション」で大旋風が使用できるようになり、移動後に大旋風などDiablo2のWW馬場のWhirlwindを思わせるようなことも可能ではあったが、NWN1/2のウェポンマスターでは再現されていない。
 他の能力については、lvごとに使用回数が増えていく気ダメージ(武器ダメージダイスを最大化する)と、クリティカル関連(5lv, 7lvの気クリティカル倍率やクリティカル域を広めるもの)がNWN1/2でも再現されているが、これが大旋風とあわせて、3つともことごとく噛み合っていない。
 例えば大旋風は弱い敵に囲まれた際に有効なものだが、気ダメージやクリティカルは強敵に有効なものである。気ダメージはクリティカルで増加した分のダイスは最大化しない。
 気ダメージはダイス(最大ダメージ)が大きい武器、クリティカル関連はクリティカル域の大きい武器で用いた方がよいが、大概の武器ではこれらはトレードオフである(3.0eの初期には両方がぶっ壊れた性能の武器もあったが今それを言ったところで無意味である)。例えばシミターはクリティカル域は広いが、最大ダメージは中型武器で最大のカタナやバスタードソードより4点低いため、気ダメージとクリティカル関連の両方の利点を得るというわけにはいかない。
 つまり、複数の能力がバラバラで、互いの長所を生かすといったものではない。(なお、PnPにはこれもあまり他と整合しない、機会攻撃数が増大するという能力もあったが、NWN1/2では削られている。)東洋風の武術の達人といったイメージから想像できるような爽快な強さはなく、「これらの能力のうちのこれをこの目的に生かす」という明確な目的なしに漠然と目指したところで、前提やレベル相応の能力を発揮するには程遠い。


 が、完全な微妙職というわけではなく、NWN1/2ともに、近接系のいわゆるパワービルドの組合わせにはかなり頻繁に用いられ、30lvで最大の能力が得られるような組み合わせの構想の中には、このウェポンマスターが何レベルか入っていることがある。特に、上記能力のうちでも、クリティカルに関する能力は、NWN1/2のクラスでは他に代替がきかない強力さを持つ(※2)。5lvのクリティカル倍率増大とあわせて、7lvの《"気"クリティカル》によるクリティカル域の拡大は、特にNWN2ではキーンや《クリティカル強化》特技によるものが累積しないのに対して、このウェポンマスターの特技では確実にクリティカル域が増大する。そのため、パワービルドでは7lvまでだけを入れるものが多い。(なお、3.5eで同じ形のクラスとして再構築・再導入されなかったのは、これらのクリティカルが3.5eでは他の強クラスに比しても危険であるため、という説を唱えるPnPゲーマーもまれにいる。)前述の武器の選択だが、気ダメージよりもクリティカルに目的を絞り、クリティカル域が広い速剣類(シミター、レイピア等)や、他は微妙だがクリティカル倍率だけは5倍になり得るサイズなどを選択するビルドがある。

 しかし、やはり初プレイ者などが活用するのは易しくはないだろう。上述の利点であるクリティカルに関しても(Rog系の急所攻撃等にも言えることだが)高lvでは効果のない敵が増えてゆき、特にアンデッドやエレメンタルが次々と襲ってくるNWN2のMotBでは顕著である。このクラスを取得することに単独で目標にするだけの価値や特徴のある、OCやMotBを進めつつ「安心して目指してもいい」クラスのひとつと言い切るのは難しい。


※1 3.5e当初に
Wizards.comのサイトに載っていたルール対応表では、S&FのWeapon MasterはComplete WarriorのExotic Weapon MasterにRevisedされた、となっていた。
 しかし、Complete Warrior(邦訳『戦士大全』)のエキゾチック・ウェポン・マスターは、特殊武器(双頭武器など)の変わったマニューバを1lvごとに習得していく3lvマイナークラスで、S&Fのウェポンマスターとは完全に似ても似つかないクラスである。東洋の武器の達人的なクラスとしては、上記Complete Warriorではケンセイ(東洋風には限らず、また上記したように内容自体はこちらもS&Fのウェポンマスターとはかなり異なる)を想定しているように見える。要するに、3.0eのS&Fのウェポンマスターと同等・類似の能力を持つクラスは3.5eでは差し替えによって消滅している。
 が、上記の対応のためか、NWN2wikiのウェポンマスターの画像でも、この3.5eのエキゾチック・ウェポン・マスターのものが使われている。ただし、このクラス対応が今も正規ルールとして残っているかは定かではない。

※2 ちなみにルール把握ページでも触れた3.0eの紹介サイトのS&FのWeapon Masterの紹介記事(S&Fなので当然3.0eとしても非常に古い記事である)には、あこがれの「テンダイスソード」が実現できる等と書いてある。
 ここで、テンダイスソード(サイコロ10個剣)とは何のことかというと、D&D系とは別のPnP-RPGルール、T&Tのルールブックに言及されている物品で、攻撃力が10d6である(6面ダイスの数が攻撃力の目安になる。通常の剣は3d6とかである)というT&Tの半ジョーク・半伝説的物品である。
 やはりS&Fに掲載されている特殊武器「メルクリアングレートソード」はダメージが2d6でクリティカル倍率がx4なので、ポンマスの気クリティカルによってx5になり、クリティカル時は10d6なので、(クリティカル時のみ)テンダイスソードになる、という理屈である。ちなみにメルクリアングレートソードは、NWN1では追加するHak類があり、NWN2でも2da等を編集して追加したければ別にしたっていいんじゃないかしら。なお、NWN1/2のデフォルトでも「サイズ」は2d4で倍率x4、ポンマスでx5なので、クリティカルすれば10d4のテンダイスオカマになることはなるわいな。
 しかし、NWN2のMotBではクラフトによって5d6の元素ダメージを最大4つまでつけられるので、クリティカル時のみテンダイスどころか、通常運行で「トゥウェンティとあといっぱいダイスソード」が普通に可能であり、さらに前述のクリティカルの有効性への懐疑もあって、テンダイスという言葉にたいした意義はない。NWN2での実装は(NWN1と比べても一見)地味ながらも、やはりエピックのバランスはぶっ壊れ気味であることを示す例である。




・ペイルマスター


 Pale Masterは3.0eの最初期資料であるTome of Blood、及び3.5eでのアンデッドやネクロマンシー関連本であるLibris Mortisを出典とするクラスである。
 いわゆるネクロマンサーの強化上位クラスのひとつなのだが、特徴としてはキャスター能力(PnPでは1lvのみ元クラスより遅れるが、ほぼ等価の上昇率といえる)の他に、アンデッドに似た特徴によって「肉体」を強化していくクラスである。ACの増強や、クラスlvが上がると麻痺やクリティカルへの耐性、自分の側も麻痺攻撃などの近接能力も得るようになる。味方のキャスターとしても、1lvの術者能力低下と引き換えに少なくとも生存率は上がり悪くはないが、さらに「キャスターにしては厄介な敵役」に向いていると思われる。

 NWN1では、2番目の拡張パックであるHotUで追加された。しかし、その性能はPnPに比べるとかなり弱体化している。何より、キャスターとしてはPnPの1lvのみ遅れとは異なり、「奇数レベル」でしか呪文回数が増加しなくなり、しかも、NWN1では使用回数は増加するが「術者レベル」は増加しないので、キャスターとしての成長は半分以下となっている。これは単純にベースクラスの上位互換にしたくはなかったのではないか、と考えられるのだが、現実問題としてキャスターの強化クラスの選択肢としては非常に厳しいものになっている。PnPでは「ペイルマスターは1lv時のみ呪文能力が上がらないので、1lv取得直後のみ苦行」などと言われていたが、NWN1/2では1lv時のみどころの騒ぎではない。
 キャスターとして弱体化しているので、強化される肉体能力に注視し、魔法戦士などの強化に使えるかと考えてみると、PnPの時点からBABはキャスター系と同じ「低」のままで、ヒットダイスもそれほど高くはない(1d6)ので、前衛能力の強化というにも厳しい。前衛系の追加特殊能力も、PnPに比べると微妙に弱体化されているものが多い。
 おそらく、PnPの予備知識なしにNWNのデータだけ見ると、一体魔法系と物理系のどちらなのか結局よくわからない、と感じるであろうクラスとなっている。

 これらの状況と、NWN1ではエピック級を含めた拡張パックであるHotUで追加された、という事情をあわせて考えると、おそらくは既にキャスターとしての能力が成長しきった高レベル(主にエピック)において、単にキャスターのベースクラスを伸ばし続けるよりは他の特殊能力を付加する、あるいはやはり「敵役」としての使用などが想定されたクラスだったのではないかとも考えられる(特にNWN1では、どのプレステージクラスを実装するかが、キャラとしての強力さよりも、PWなどでのロールプレイやキャラの特徴付に偏って選択されていた可能性がある、という推測についてはここではさておく)。

 NWN2の話に移るが、結局のところNWN2でのペイルマスターの実装もほぼNWN1と同様である。NWN2には他にはエルドリッチナイトのように、1lv時以外はキャスター能力が延びるクラスもあるにも関わらず、ペイルマスターの方はNWN1同様、相変わらず半分の速度でしかキャスター能力は伸びない(こちらは一応、呪文回数だけでなくキャスターレベルも伸びる)。NWN2ではエピックは30lvまでで、プレステージは10lvまでしか伸びず、エピックでのボーナス特技もなく、またNWN1でエピックペイルマスターがデミリッチを召喚できたような意外な売りがあるわけでもない。
 そのためNWN2では(特にhakやカスタマイズ解説でもないような)通常の攻略記事に、「2daを弄って術者能力がx1速度で伸びるように改変したらいいよ! それでようやくPnPと同じなんだからきっと反則とかじゃないよ!」などと平気で書かれていたりすることがある。ユーザーhakでも、例えばKaedrin PrCでもキャスター能力の上昇が早くなるように改変されていたり、その他、BABやHDを割増するように改変しているhakなどもある。このように、元のペイルマスターが強力な特殊能力を持ちつつも、基本能力の半端さのせいで使い勝手の悪いクラスとなっていることを残念がる海外プレイヤーやhak作者が少なからずいるようである。

 クラスの前提条件はNWN1/2ではアライメント(善以外)と秘術呪文のレベルのみで、呪文系統や特定呪文の必須条件はなく、例えば、専門化死霊術士である必要はなく、ソーサラー等でもよい。(なお、NWN1では術者レベルが3lv、例えばWizやSorのクラスが3lvで前提を満たしたが、NWN2では「呪文レベル3」が必要である。)
 要は秘術系であればレベルを伸ばしているだけでほぼ条件は満たすので、プレステージの中でも前提条件はかなり満たしやすいといってよい。しかし、上述の事情から、NWN1/2入門者は、術者能力がまだ不十分な低レベルのうちから取得してしまう前に、よく考える必要がある。
 フルに延ばす以外の習得法としては、キャスタークラスがベースの場合1lvのみ入れ(PnPと異なり奇数lvで呪文能力が伸びるため、1lvではベースに対して呪文能力が落ちない)AC+2上昇の利点のみ得るというビルド例もある。





・シャドゥダンサー


 シャドゥダンサーは3.0eのDMGに由来し、そのまま3.5eのDMGにも記載されている最も基本的なプレステージクラスである。が、DMGに載っている他の多くにも言えることだが、コアルール記載だからといって強力・鉄壁選択とは言い難い。
 どんなクラスかといえば、RogやMnkに、影に潜りこむ・影を渡るといったさらに超自然的な隠密能力のイメージが重なっているもので、ニンジャ(カタカナの方)やシャドゥジャック(ゼラズニイの『影のジャック』や、T&Tのそれに影響された種族等)をイメージすべきものではないか、と考察するPnPゲーマーが多い。D&D5版ではモンクの選択できるスタイルとなり、さらにMnk寄りとなりつつある。NWNシリーズでは、NWN1の最初の拡張SoUから追加されており、NWN2でも実装はほぼ同様である。

 強いクラスであるか、伸ばす(クラスlvを上げる)価値があるかというと、実の所、PnP版やNWN1の時点から、かなり評価が分かれている。(実のところNWN1のSoU当時、「遂にプレステージクラスのシステムが実装」のアナウンスと共に、このクラスが入っていたことに、「いきなり微妙」の声を上げるゲーマーも少なくなかった。)
 クラスで得られる能力は、まずシャドゥダンサー特有の能力として、障害物の無い場所でも隠れ身が可能な影隠れ能力(Hide in Plane Sight, HiPS, 後述)や影による遮蔽がある。それ以外にも、軽戦士の回避系特技など、奇襲系や軽戦士としてかなり有用なものを取得していく。
 問題は、これらのシャドウダンサーの能力のうちのかなり多く、上記特有の能力ではないものが、RogやMnkの能力と大幅にかぶっていることである。例えば、身かわし・直感回避・防御ロール・心術破り等は、Rogと重複しているので、Rogを下積みにシャドウダンサーを伸ばすとかなり残念感が伴う。しかも、シャドウダンサーのレベルでは、折角得られる奇襲能力を役立てるべき「急所攻撃」が得られず、伸びもしないので、こちらを伸ばすならRogを伸ばし続けた方がよいと思えないでもない。
 Rogではなく、MnkやRngやBrdからシャドウダンサーを取得する手もあるが(しかし、Mnkや、3.5eのNWN2ではRngも、身かわし等かぶる特技が結局出る)こちらはベースクラスでもシャドウダンサーでも全く急所攻撃が伸びないのでやはりいささかの残念感が漂う。MnkやBrdは、元のベースクラスのクラスlvが重要なので、ベースの方を伸ばしたいというのも難点である。
 シャドウダンサー自体は弱いクラスではないと思われるのだが、前提を満たせるようなクラスとの兼ね合いを見ていくと、相性が悪いというわけではないが何かいまひとつな所が多く、どうもキャラ人生の目標にするには躊躇させられるクラスである。

 が、実はこのクラスは、PnPやNWN1の時点から、「1lvだけ取得する」というパターンがきわめて多い。シャドウダンサー1lvで上記のHiPSが得られるが、HiPSは急所攻撃の乗る奇襲はもちろん、通常の攻撃・呪文戦闘や、単なる危機回避の局面だけとっても非常に役立つためである。無論、プレステージクラスなので1lvだけ取得してもマルチクラスの経験ペナルティーには関係しない。軽戦士どころか、魔法系のビルドでも、なにげにシャドウダンサーを1lvだけ咬ませてあるものがある(RogやMnkを前提としない魔法系などのパワービルドには、直感回避等を得られる「2lv」だけを咬ませているパターンも多い)。おそらくDMGで想定されている位置づけとはかけ離れてしまっているが、定番クラスのひとつとなっているといえる。




・アーケイン・トリックスター


 アーケイン・トリックスターはTome of Blood(3.0e最初期の秘術系拡張本、2001)に記載され、後の3.5eでは基本ルールのDMGに載ったことで最も主要なプレステージのひとつとなっているクラスである。特徴を一言で言えば、秘術系の術者能力と急所攻撃がいずれもベースクラスと同等に延びる、「魔法盗賊」「怪盗」のプレステージである。なお、5版などでは通常のローグの選択できるスタイル(旧版のキットやスプリットクラスに近い)に魔法盗賊タイプがあり、名もアーケイン・トリックスターとなっているが、3.Xeではプレステージクラスである。

 つまり秘術盗賊として最も主要な一般的なクラスといえるが、しかし、3.Xeのアーケイン・トリックスターのプレステージクラスは、PnPの時点から色々とカツカツな点が多く、魔法盗賊ならば誰でも無条件に目指していいとは言い難いという評価もある。例えば、前提条件に急所攻撃+2d6、秘術呪文レベル3があるということは、例えばコアルールクラスから目指すとRog3/Wiz5からということで、クラスを取得できるのはキャラクターレベル9lv目と遅く、それまではいかにもローグと術者のどっちつかずを続けることとなる。また、急所攻撃+2d6のためにRog3を入れると、Wizだと9lv呪文に達するのはRog3/Wiz7/AT10で20lv時という非エピック最大となる。さらに、WizのかわりにSorだと呪文習得がWizより1lv遅れるので、非エピックでは9lv呪文に到達することはできない。例えば、AD&Dまで(GoldBox, BGシリーズ等)のデミヒューマンのメイジ/シーフのマルチクラスは、両者の成長速度のちょっとした齟齬から両方ともシングルクラスよりも若干遅い程度の成長で済み割と強力なクラスだったのだが、次版3.XeであるNWN1/2では、たとえアーケイン・トリックスターを入れてもそれを再現することは難しいとみてよい。
 そのためメインキャスターではなく、他に術者がいる場合のローグ技能と組み合わせた目的を絞った運用が前提となると考えられるが、Rogに比べるとBABは低に、HDは1d4に落ち、技能のポイントも4と半減するので、急所攻撃以外のローグ能力は大幅に落ちる。したがって、ローグと術者の両方について、一定用途に特化したビルドと立ち回りを考慮しなくてはならない。急所攻撃はローグと同等に伸び、しかもPnPでは攻撃判定を要する幾つかの呪文に急所攻撃ダメージが乗るので、隠密の技能や呪文に特化した奇襲役がよく考察される。

 が、NWN2では、呪文に急所攻撃ダメージが乗る能力は実装されていない(ユーザーhakではある程度実現しているものはある)。PnPの、遠隔で(例えば罠から離れた場所から)盗賊技能判定を行う能力などもNWN2には無い。普通にローグとして奇襲するだけなら盗賊系のプレステージなどの能力で他にも有効なものがいくらでもある。なので、呪文活用と能力(主に急所攻撃)をどう組み合わせるかはよく考えなくてはならない。単にクラスを取得しただけで、安易に高数値データが得られてそれだけで周りよりも活躍できる、といったクラスではないわけである。
 もっとも、「魔法と盗賊技能の組み合わせ」自体、PnPは無論のこと、CRPGでもBG,NWN1/2のようなD&Dゲームであれば多々考察の余地がある分野なので、プレイヤー次第ではある。




・アーケイン・スカラー・オブ・キャンドルキープ


 アーケイン・スカラー・オブ・キャンドルキープ(ASoC, ASC)はPnPのD&D(少なくともWotC社によるもの、サードパーティーのd20等ではないもの)には相当物は存在せず、「NWN2で独自に創作された」数少ないシステム(ルール)のひとつである。秘術呪文系のプレステージクラスで、呪文修正特技(メタマジック)を習得する他、さらには既存の呪文修正特技をより低レベル呪文スロットを用いて発動できるようになる。
 NWN2ゲーマーからは3.0eのMagic of Faerun, 3.5eのPlayer's Guide to Faerunに載っていたインカンタトリックスがよく似ている、と考察されているが、最終的に似た能力は得られるものの、特技の内容や構成は大きく異なっており、結果的に共通点が出たに過ぎないと思われる。

 ここで、このクラスの名になっている「キャンドルキープ」とはFRの設定、フェイルーンの西岸端、バルダーズ・ゲート市の南にある図書館城塞で知識の集積地のひとつである。BGシリーズの主人公の出身地でBG1の序盤などの舞台であり、多くのD&DゲーマーはBGを通じて知っていると思われる。BG以前にはそれほど古い設定があるわけではない。
 FR設定上のキャンドルキープは知識や予言の地だが、魔術の中心地といったものではなく(無論、性質上秘術、信仰、モンクなどの強力なキャラクターが中心人物には居る)特にこのクラスの能力の強い根拠となるような設定が存在するわけではない。NWN2の説明では、新しい呪文の習得よりも従来の呪文の発動に傾注し、キャンドルキープの書物で多くの魔術師らの事績を研究するうちにこれらの能力を身に着けた、等とあるが決して自然なものではない。おそらくはソード・コーストの地名で有名な名のうち、秘術系に関係の深そうな名を取っただけではないかと思われる。ただし、NWN2プレイヤーの中ではBGの主人公の養父ゴライオンら、キープの強力な術者はASoCであっただろうという説が出る。

 ASoCはクラスレベル1lvごとにベースとなったクラスのキャスターレベルも1lv増加する、「本命」系の術者プレステージのひとつである。本職の(キャスターレベルを落としたくない)術者が選ぶプレステージの選択肢となり得るのは無論として、他にどのような特有の能力があるかということになるが、上述したように最大化や高速化といった呪文修正特技を習得する他、幾つかはより低い呪文レベルスロットで発動できるようになる。具体的には3lvで威力強化、7lvで最大化、10lvで高速化を、通常より1lv低いレベルで発動できる。
 これは相当に強力な能力で、特に、このクラス以外では2lv上のスロットを要する呪文威力強化(ダメージ等の威力が1.5倍になる)を、わずか1lv上のスロットで発動できる(例えば、威力1.5倍のファイヤーボールを4lv呪文スロットで発動できる)。これは単に上位スロットの節約になるというだけではなく、その呪文より1lv上のスロットを取得すれば威力強化したバージョンを投射できることを意味するため、火力があからさまに高くなる。NWN1/2では、(エピックの自動化を除くと)複数の呪文修正特技を適用することはできず、エピックキャラクターでも呪文レベル10以上のスロットを増加させたりもできないが、これらができないために、かろうじてASoCのバランスが抑えられている、とすらいえる。
 前提条件は厳しめで、特に2つの技能熟練(精神集中、呪文学)は無駄でこそないがかなり厳しいといえるのだが、パワービルド(キャラクターレベル30lv以内で最大の能力を追及するパズル)でも、術者系ビルドは無論のこと、魔法戦士系でもかなり無理をしてASoCのクラスを入れていることも少なくない。なお知識の集積地キャンドルキープの設定上ベースとなる秘術クラスはウィザードに限る、ということもなく、他の秘術系でもよい。

 しかし、ASoCがたいやきやトッポのように隅から隅まで旨みたっぷりなクラスかというと、そういうわけでもない。呪文修正特技の増強のうち、呪文威力強化の他が同じくらい役立つというかというとそういうわけにもいかない。例えば、そもそも呪文威力強化と最大化の比較(
参考:NWN2wiki)において、呪文にもよるが、最大化の方が有効とは限らない、少なくとも強化の呪文レベル2上に対して最大化の呪文レベル3上の価値はない、という議論がある。特にASoCが強化のレベル1上に対して最大化のレベル2上と考えると後者の価値についてはかなり微妙である。また、ASoC最大のクラスレベル10lvでは呪文高速化が通常レベル4上のところレベル3上で使えるようになるが、余所の特技解説でも述べているようにNWN1/2の呪文高速化自体が問題も多く、またエピック特技で自動高速化すると使用する意味はなくなる。
 それを考えると、ASoCは呪文威力強化が増強される3lvまで取得すれば、後は要らないのではないか、という考え方もある。実際にパワービルドで3lvまでだけを入れているものも無いわけではないが、しかし、多くの例では10lvまでフルに入れている。結局のところ、ASoCを厳しい前提を費やして3lvまで入れたキャラが、以後を諦めてまで入れる価値があるクラスが他にあるかというと、それも多くないのだろう。




・ネヴァーウィンター・ナイン


 ネヴァーウィンター・ナイン(以下NW9)はNWN2で独自に創作されたプレステージクラスで、(FR関連の設定を含め)PnP版には完全に対応するルールは無い。
 ネヴァーウィンター・ナイン(称号)とは、NWN2のOCで説明されるが、ネヴァーウィンター市の騎士の中でも精鋭であり、(少なくとも1372DRの時点では)特に9人とは決まっていない。OCやSoZに登場するネヴァル卿が代表であり、青い上着にNW市の「眼」の模様という独特の服装を作中目にすることも多い。ネヴァーウィンター・ナイン称号の名前そのものは、これもOCの中盤のネヴァー城の地下の場面で説明されるが、市の創始者ハルエス・ネヴァーの精鋭だった9人(4版のNeverwinter Campaign Settingsでは「ネヴァーウィンター九人衆」)に由来するが、以後の時代ではこの九人衆に因んだ称号名となっている。
 なお、NWN2よりも百年以上後の4版の時代のNeverwinter Campaign Settingsでは、災害によりネヴァー城は廃墟となっているが、初代の九人衆の霊などはシナリオフックなどとして登場することがあり、結構な分量が説明されている。

 D&D3.Xeのプレステージクラスのうち、3-5lvといった低クラスレベルまでしかないいわゆる「マイナー」プレステージには、世界設定の背景や称号に関連する、そしてシステム的にはさほど強力ではないものが多く存在し、例えばオームーの影盗賊やハーパーのエージェントなどはNWN2にも実装されている。また、プレステージクラスは、DMGによると世界設定やキャンペーンの背景にあわせて各DMが自由に創作・設定することが推奨されている。
 このNW9クラスは、これらの前例やガイドラインに則り、NWN2というキャンペーンのセッティングに合わせた、最大5lvまでのマイナー・プレステージクラスを追加したものだといえる。そのため、背景設定の異なるPWサーバーによっては、またシステム的に重要なクラスではないためもあってか、このクラスを取得できない設定にしている場合もある。
 この背景もあってか、旧バージョンでは、ストーリー上で「ネヴァーウィンター・ナイン」に任命される(背景特技を取得する)必要があったが、SoZ以降は不要となっている(これはシャドウシーフ・オブ・オームーも同様である)。その結果、「BAB+6」のみの前提技能で取得することができ、特に前衛系や、そうでなくともかなり取得が容易なプレステージとなっている。

 別の箇所でも述べているが、今でも2daファイルに残っている初期ファイルによると、NW9クラスにはWarder, Agent, Magusというそれぞれ衛士(戦士)系、エージェント(盗賊)系、賢人(術師)系の3種類が予定されていたようだが、後者2つは実装されずに終わり、Warderと予定されていたものだけがNW9クラスとして残っている。
 その基本的に戦士系(前衛系)のNW9(Warder)のクラスレベルごとの特殊能力としては、自分以外にわずかなボーナスがつくオーラ、1日1回の(クレリックの領域特典のような)戦闘能力の底上げなど、特にいずれかのベースクラスの能力を強化するともいえない地味な能力がつく。

 これらの背景から見ると、他のマイナー・プレステージ同様、システム的な「強さ」としてはあまり期待できない、労力を費やしてまで取得を目的にしたり、取得してもキャラの主な特徴にはならないクラスに見える。基本的にはそう捉えるべきで、(同じNWN2オリジナルのASoCのような)過大な期待をすべきではないのは確かだが、一方で選択肢としては、なかなかどうして侮れないクラスになっている。
 BABが「高」の戦士系のクラスであるのだが、戦士系の弱点を補うような能力が多い(ただし、かわりにHDは1d8に下がってはいる)。セービングスローは戦士系とは逆で頑健が低、反応と意志が高である。そのため、戦士系が取得しても(他に大きな目的があれば別だが)少なくとも損にはならないことが多い。3lvで得られる能力のひとつには+2d6の急所攻撃があり、ある意味では、BABが高で急所攻撃が得られる、ブラックガード同様の貴重なクラスといえる。
 例えばOCのコンパニオン、ケルガーは(デフォルトのシステムでは、またイベントで転向しない限り)純ファイターで、Ftrレベルを伸ばし続けると潤沢な特技を取得できるが、Intが13に満たないため、(特技追加のhakを入れていなければ)だんだん取得できる特技の選択肢そのものが尽きてくるので、Ftrを伸ばし続ける利点が乏しくなってくる。そのためCompanion Multiclassなどマルチクラスができるhakを導入し、他のクラスとして、両手持ちに転向してバーサーカー等になることも視野に入れるところなのだが、その頃になってビルド構想自体を変更するよりは、そのままこのNW9クラスあたりを取得するのも手である(SoZまでプレイするとキャラ設定にも合致することがわかってくる)。
 戦士系や、それ以外の戦闘能力のサポートとして考慮することもできるが、それ以外の側面として、技能ポイントが多く、クラス技能も多彩である。これとクラス取得の前提条件がかなり緩く、かつプレステージなので当然経験ペナルティーに計上されないことをあわせて、1lv程度咬ませることで、別のクラスの前提条件を満たすのに利用できる場合がある(ウォープリーストの項目でも述べている)。
 いわゆるパワービルド例を見ると、強力なビルドにメインで入っていることはさすがに少ないが、オーラなどの能力とこれらの技能面のタイミングなどが合致する場合に、数レベル咬ませてあるという例は時々目にする。決して強力なクラスではないが、背景ロールプレイのみならず工夫の余地のある選択肢といえる。








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