・Kaedrin's PRC Packの導入 (新vault


 これはずっと後回しにしようと思っていたのだが、Baldur's Gate Reloadedの和訳の話も進んでおり、深く関連するので早めに導入法だけでも触れておく。


○導入〜tlkファイルの併合


 Kaedrin PRCはNWN2のシステム追加用のoverrideの中でも特に有名なもので、かなりの割合のプレイヤーに普及している。NWN1のPRCpackと同様だが、NWN2はシステム追加によるコンフリクトが起こりにくいので、普及の割合で言えばNWN1のものより高いと思われ、海外ではこれの導入を前提としてビルド等を解説しているサイトも少なくない。
 "PRC"の名の通り、追加のプレステージクラスがおよそ40種程のほか、数種類のサブ種族と基本クラス、またこれらのクラス等に対応したもの以外のシステムの追加も多い(作者サイト)。


 しかし、例によって、当サイトでも紹介しているような手段で「日本語化」したNWN2に対して、例えばアーカイブを解凍してできるファイルをドキュメントに従ってoverrideフォルダ等に入れても、機能しないものがほとんどである。
 海外製のoverrideが日本語化したNWN2とコンフリクトする理由は様々であるが、Kaedrin PRCの場合は「表示」である。すなわち、日本語化したNWN2は、テキストを格納するdialog.tlkが複数存在するとうまく表示されない。そのため、このKaedrin PRCのoverrideはクラスの名などを格納しているカスタムtlkファイルの分が表示されなくなっている。
 NWN2の場合、クラス名などの基本システム用語の多くは、対応するtlkが存在しないと、(用語の部分だけ空白や英語になる等ではなく)そのクラス自体が表示されない、という状況に陥る。


 この問題については、カスタマイズファイルを導入する場合には日本語化したものでなく英語版に戻すなどして対応しているプレイヤーもいるが、dialog.tlkを単一に併合すれば解決する。
 NWN2本体のオフィシャルキャンペーン〜SoZでは、tlk番号のID「234920」までが使われており、Kaedrin PRCの追加要素には240001以後のみが使われている。そのため、本体の240000以前とKaedrin PRCの240001以後をくっつけて一つのdialog.tlkファイルにしてしまえばよい。


 具体的な手段としては、Kaedrin PRCのtlkをベースにして、テキスト化した本体tlkをインポートして併合するという方法をとる。日本語化wikiのtlk併合の手順に似ており、経験があるプレイヤーはやりやすい方法で行えばいいが、以下は例である。


(1)Kaedrin PRCをvaultなどから落として解凍、overrideなどにインストールする。dialog.tlkの場所(「kaedprcpack_v1.42.1_override_dialogtlk」のバージョンを導入したなら、そのフォルダの直下)を確認し、リネームするか、どこか別の場所にわかるように移動する。

(2)すでに日本語化されている本体のdialog.tlk(ユーザーのNeverwinter Nights 2フォルダの直下)もリネームし、ついでにバックアップを取っておいた方がいい。

(3)日本語NWN2wikiでも紹介されているNeverwinter Nights 2 Talk Table File Editor(NWN2TLKEdit)を使って、(2)の本体の方のdialog.tlkを開く。

(4)この本体tlkを、Tool -> Export Multi Bytes Char (KO,JP,CH...) Stringsで、txtファイルにエクスポートする。

(5)ついで、NWN2TLKEditで(1)の方のKaedrin PRCの方のdialog.tlkファイルを開く。

(6) このファイルに、さきほど(4)でエクスポートした、txt化した日本語化本体tlkをインポートする。Tool -> Import Batch Files -> All item(s)を選択してOKをクリックし、先ほどのtxtを指定する。「240001以降」のKaedrinのtlkの入ったデータ(正確には、234902以前には本体の英語版のデータが入っている)に、240000以前の日本語の本体tlkが併合され、既訳の部分が日本語で上書きされる。

(7)この併合tlkを「dialog.tlk」の名で保存し、元の本体tlkのあった場所(NWN2のユーザーフォルダ直下など)に置いて使用する。
 なお、繰り返すが、元々あったdialog.tlkやKaedrin PRCのフォルダ内のdialog.tlkは削除、リネームなどして、読み込まれないようにしておく。dialog.tlkが複数存在するとうまく機能しないためである。


 なぜKaedrinのtlkの方をベースに本体tlkを併合するのかというと、tlkのIDの数字が小さい方は、以後の数字の領域が確保されていない(ことが多い)からである。なので、数字が大きいIDを使っているtlkをベースに、数字が小さい方を併合するという作業を行う。

 今後、日本語化の翻訳がさらに進み、本体dialog.tlkファイルがアップデートした場合は、インポートしなおせばよい。すなわち新しい日本語の本体tlkをダウンロードしたら、上記と同様にテキスト化して、併合tlkにインポートし、保存する。Kaedrin PRCのtlkはID 240001以降なので、本体tlkが書き換わっても影響はない。



○2daファイルのコンフリクト回避


 すでにこのサイトで紹介しているような種族やクラスの追加、あるいは自分でracialsubtypes.2daやclass.2daを改変している人もいるかもしれない。
 その場合、例えば、自分で改変したracialsubtypes.2daと、Kaedrin PRC側にあるracialsubtypes.2daはコンフリクトしており、どちらか片方しか機能しないため、これも併合するなどの対策が必要である。


 Kaedrin PRCのフォルダの下に「2DA」「Core_2DA」といったフォルダがあり、この下に設定ファイルが入っている。racialsubtypes.2daは、Core_2DAフォルダに入っている。
 このうちracialsubtypes.2daを、まず、自改変の方とコンフリクトしないように(ファイル名の頭に記号をつける等)リネームする。
 次にこのファイルを開き、Kaedrin PRCで追加されたサブ種族の行をコピーして、自改変racialsubtypes.2daに追加する。Kaedrin PRCで追加されたサブ種族は、#67(スターエルフ)〜#73(スペルスケイル)の7行である(空白が1行あり6種族)。この7行を、自改変した(overrideフォルダの直下にあると思われる)racialsubtypes.2daの#67以降に追加すればよい。
 例えば当サイトで行っている種族追加では、自改変racialsubtypes.2daは#50代に種族を追加しており、#66までは「padding」が書かれた空白行になっている。この下の行に、無造作にKaedrin PRCからコピーしてきた#67以降の行を追加するだけで良い。フォーマットが異なっているかもしれないが(例えば、元の2daファイルはエクセル編集用にカラムが整理されているが、Kaedrin PRCはNWN1のテキスト編集時代同様に1カラムに全データが記入されているなど)「行」さえあっていれば特に支障はない。


 今回、自改変racialsubtypes.2daの方をベースにしたのは、自改変の方が、当サイトで説明しているようにハーフセレスチャルやハグスポーンなどの「既存種族」の行にも少なからぬ変更を加えていたり、一方でKaedrin PRCの方は、種族追加については追加箇所が7行と少ないことを念頭に置いている。自改変の方が少ない場合は、Kaedrin PRC側のracialsubtypes.2daをベースにしても構わない。おそらくclass.2daなどはKaedrin PRC側が膨大なのでそちらをベースにした方がよいだろう。







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