〇ビルド類型 〜 低レベルマルチクラスつまみ食い


 3.Xeのマルチクラスの様相は、AD&D2ndまで(BGシリーズなど)や、「転職」のある多くのCRPGとは全く異なっている。マルチクラスのシステム自体については(4〜5版はもちろんのこと、現在3.Xe系では日本語で詳細に確認可能なPathfinderでも、NWN2の3.5eとは全く異なる以上は)改めて別途説明を設けるかもしれない。


 3.0e/3.5eと他の版・他のPnPや他のCRPGとの比較は置いておいて、手っ取り早くNWN1/2での従来の話に移る。
 NWN1の頃は、というよりも3.0eのマルチクラスは、メインのクラスを延ばす一方で、1lvだけ他のクラスを入れることで大幅に有用な能力が得られる組合わせが多数あった。例えばNWN1では、Mnk1lvのst増強・wisによるACボーナス・身かわし、Rng1lvの二刀流、Pal1lvのDivine Graceによる魅力分のst増強、Clr1lvの「治癒+動物」領域による治癒効果の最大化と召喚物の強化、等である。
 その一方で、NWN1では「3クラス」までしかマルチクラスができないため、何でも片端から入れるというわけにはゆかず、特にプレステージを見越すと綿密な計画が要求されるので、この制限がかえってNWN1のビルドを面白くしていた。

 一方、NWN2が採用している「3.5e」では、NWN1の3.0eに比べると、クラスレベル1lvだけでは有用な特技が得られず、2-3lvが必要となっているものが多い。
 例えばMnkの身かわし、Rngの二刀流(を含む戦闘スタイル)、PalのDivine GraceはいずれもNWN1(3.0e)の1lvに対し、NWN2(3.5e)では「2lv」が必要になっている。他のベースクラスの特徴となる低レベル特技には、ときに3lvが必要なもの(例えば、スワッシュバックラーのInsightful Strikeなど)がある。
 2lv必要というのはかなり曲者である。普段伸ばしているメインクラスの他に、他クラスを2lvを入れると、あからさまにメインのクラスの能力が遅れる。例えばメインがキャスター系の場合、習得可能な呪文が呪文レベル1分遅れてしまうので、それに見合うメリットがあるかはよくよく考えなくてはならない。
 ベースクラスが3lv必要となるとさらに厄介である。3.0e, 3.5e(Pathfinderではないもの)の厄介な点として、マルチクラスでは(種族適性クラス以外は)「1lvまでのずれ」しか認められない(超過するとxpペナルティーがつく)」というものがある。例えばメインで伸ばしている第1クラスが適性クラスである場合、つまみ食いの第2クラスの1つを3lvにすると、さらに1つの第3クラスを入れる場合は、2-4lvの範囲でなければならない。すなわち、第2クラスを先に3lvまで上げてしまった場合、後から1lv新しく第3クラスを入れた時点で、その時点で2lvずれているのでペナルティーになってしまう。そのため、ある程度は並行して伸ばさなくてはならない。すなわち、第2クラスが1-2lvの時点で第3クラスを入れて1-2lvにしておく、といった順序が必要になる。
 さらに、NWN2では「4クラス」までのマルチクラスが可能となっている。NWN1の3クラスと、この4クラスの差というのは結構大きい。1lvかじるだけでない複数x複数のマルチクラスを多々考えなければならないので、ビルドが大幅に複雑化しているのである。


 考えてゆくときりがないため、ここでは主にメインクラスを伸ばしていたビルド初級者が、第2、第3クラスとして、あまり考えずに1-2lv入れることで若干有用という(NWN1の頃と同様の)組み合わせを考える。「強ビルド」というほど立ち入った話ではないし、一本伸ばしとは異なる様相のプレイを可能とする一方、一本伸ばしの利点とは秤にかける必要がある。
 当たり前の話だが、メインクラスと第2以降のクラスが両方とも適性クラスでない場合、第2クラスを1lv入れた時点でメインクラスと大差があると経験ペナルティーがつく。よって、メインクラスまたは追加するクラスが種族の「適性クラス」である必要がある。例えばシールド・ドワーフがこのマルチクラスを行う場合、「メインクラスがファイター+他のクラス(何でも)1lv」でも、「メインクラスがファイター以外+ファイター1lv」でも、いずれも経験ペナルティーはつかない。シールド・ドワーフの適性クラスである「ファイター」はlvが高くとも低くとも経験ペナルティーの計算には用いられないからである。しかし、これ以外の組み合わせの場合、2lv差ができた時点でペナルティーがつく。一方、必然的に、メインクラス(一番lvの高いクラス)が自動的に適性クラスになる人間やハーフエルフであれば、どんな2クラスの組み合わせでもペナルティーはつかない。考えるのが厄介ならばこれらの種族を選んでおくのが手である。


・フェイバードソウルXlv + クレリック1lv

 これはフェイバードソウルの説明でも書いたものである。FSとClrは、設定や能力を一見すると、設定上は相反し、能力もかぶっていて、同一人が両方持つのはこの上なく不自然かつ無駄なクラスに思える。しかし、FSにClr(領域は何でもいい)を1lvだけ入れ、このときClrと同時に「信仰特技」(Divine Mightなど)を習得したとする(Clrは同時に特技が習得できるキャラクターlvの時点、例えば3の倍数lv等で入れる必要がある)。FSは元から呪文依存能力である魅力が高い(と思われる)が、Clrによりターンアンデッド(回数は魅力依存)を習得し、信仰特技の威力も魅力依存なので、FSの高い魅力によって強力な信仰特技の使い手となり、きわめて強力な前衛能力が得られる。FSには無かった重装鎧の習熟や、注意して選べば領域特典(領域呪文はFSの呪文能力では使用できないので注意する必要がある)も得られる点も有効である。

 問題は(低レベルのマルチクラスではこれに限ったことではないが)FSとClrがいかにもかぶっていることからもわかるように、低レベルにおいては、恩恵よりも弱点の増大の方が大きいことである。FSは呪文の習得が(Clr, Drd, Wizと比べて)1lv遅れているところ、Clrに寄り道すれば(ほんのわずかなClr呪文スロット追加を除いて)さらに遅れることになる。また、Clrは1lvではBABも増えないので、(信仰特技は近接特化であるにも関わらず)ただでさえBABの伸びが「中」のFSの、命中率の伸びもさらに遅れることになる。
 もともと高い魅力も前衛能力もターンアンデッドも持つ、定番の信仰特技の使い手としてはPalがいるので、Palに比べてまさっているFSの呪文回数をうまく活用できず命中率も低いようでは完全に「とんぬら(サマル)」化である。Palに差をつけられないためには、Clrを入れるタイミングがかなり重要である。



・メインクラスXlv + クレリック(水領域)1lv

 上記FS+Clrとも重なるが、FS以外のメインクラスの場合でも、上記した「身かわしのためにMnkを入れる」ビルドの代替ともなるものである。NWN2(3.5e)ではMnkの身かわしは2lvを必要とするので、つまみ食いで入れることは難しくなっている。しかし、一方でClrの領域特典の効果の変更により、「水」の領域で身かわしの特技が得られるようになっている。NWN2の領域特典は、NWN1のものとは大幅に変更されているが、それもこのひとつである。Clrを入れることで頑健、意志stも向上する。もうひとつの領域等の恩恵も多い。(さらにPnPでは「クレリックのアイテム(キュアワンド等)が使用可能になるのでプレイの幅が広がる」等の利点をうたわれることも多いが、多人数パーティーを操作することが多いNWN2ではそれほどでもないことも多い。)
 NWN1のMnk1lvによる身かわしにおいても定番であったが、メインクラスがPalの場合に特に有効である。stが魅力分上昇し、身かわしの反応stの成功率も高くなる。無論、ロールプレイ(設定)もへったくれもあったものではないが(「水」領域を持つ神性は通常は自然神で、聖騎士を持つようなものではなく、ムルホランド・パンテオンのイシス(NWN2デフォルトでは選択できない)くらいのものである。それ以前に、NWN1/2では制限はないがPalはそもそも元ルールでは一部プレステージを除いて別クラスに寄り道できないことが多い)NWNの性能面の利点など、得てしてそんなものである。
 それ以上に問題は、水領域で身かわしが得られるのはともかく、身かわしが得られるクラス自体がNWN2では他にも多く(NWN1同様のMnk, Rogの他、Rngも高レベルで得られる)さらには、身かわしどころか「身かわし強化」が得られるアイテムなども存在したりする。また、NWN1ではPnPと異なり、鎧の重さにかかわらず身かわしの効果が得られたが、NWN2では中装・重装鎧を着て身かわしの効果が得られるかはバージョンやカスタムコンテンツ(fix)の導入により異なる。1lvを費やす価値があるかはよく考える必要がある。
 なお、NWN1の頃から他にも領域特典目的でClrを1lv入れる場合が多数あったが、NWN2では領域の効果がかなり変更されている。例えば冒頭に挙げた「治癒」「動物」の領域だが、治癒は治癒呪文効果の最大化から強化(相当)に、動物は召喚クリーチャーの上位化からアニマルコンパニオンに変更されている(特に後者は1lv入れるだけでは全く役に立たない)。



・Bbn/Rog/SB等のメインクラスXlv + ファイター1lv

 当たり前すぎて情報とすら呼べない選択であるが、NWN1から依然として有用である点とそうでない点をあわせて述べる。一般的に言えば、軍用武器すべて・重装鎧などの各種の武器防具の習熟と、1つの特技が確保できるため、戦闘能力を場合によっては大幅に上昇できる点が肝である。
 すべてのメインクラスに対してFtr1lvのマルチが有用であるとは限らず、特にNWN2ではNWN1に比べて有用性が大きく低下した組み合わせが多数ある。例えば、キャスター系やPal, Mnkなどがメインである場合、メインクラスの能力を1lvでも高くしておきたいので、たとえ1lvのマルチといえども能力の遅れにつながるデメリットは熟慮する必要があるのだが、フェイバードソウルやスピリットシャーマンのようなNWN2の新規キャスタークラスは、元から呪文習得がClrやDrdより1lv遅れているのでそれ以上の遅れは特に深刻である。Clrについて、NWN1ではClrメインに1lvのFtrを入れることもあったのだが、NWN2では特技などで戦闘能力を底上げできるので(例えば、領域に「戦」を選ぶことによる武器熟練など)Ftr1を入れる利点が大きく低下している。Brdはキャスターレベルの低下の他、NWN2ではNWN1よりもBrdが元から使える武器も防具(鎧の術者特技により、逆説的に重い鎧の重要性が薄れた等)も手当されているのでFtrを入れる有用性がかなり低下している。
 そのためNWN2では、戦闘力を大きく増強でき、メインのクラスと相互に利点を生かせるクラスはやや限られる。Bbnクラス自体の記事でも述べているが、Bbnに対してFtr1を入れると、重装鎧と、Bbnでは不足ぎみな戦闘特技が得られ、さらにBbnの回避や速度は(NWN1/2ともに)Ftrの重装でも低下しないため、依然としてFtrを1lvだけでも入れるのは割と有用である。RogもFtr1を入れると同様に戦闘能力の大幅な底上げが得られ、(例えばFtr1lvを入れた時点で武器防具の習熟、追加特技で武器の妙技や二刀流などが選択可能なことが原因で)低キャラクターレベルで一気に戦力としても働けるようになる可能性がある。SB(スワッシュバックラー)はFtrでかぶっている部分や、特技が得られても利点が得られそうもない部分(重装鎧習熟など)も多いが、SBクラスの記事でも述べたように、盾や戦闘特技1つによる利点は大きい。








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